LOVEBITES、Sons Of Apollo、BMTH……2020年もメタル/ラウドシーンの盛り上がりを期待させる新作8選

 ハードロック/ヘヴィメタル(以下、HR/HM)やラウドロックなどエクストリーム・ミュージックを軸にしたキュレーション連載、これが2020年最初の記事となります。今回は昨年末から今年1~2月にかけて7組のアーティストがリリースした(する予定の)新作8作品を紹介していきたいと思います。

LOVEBITES『ELECTRIC PENTAGRAM』

 まず最初は、日本が誇るガールズメタルバンドLOVEBITESのニューアルバム『ELECTRIC PENTAGRAM』から。1月29日にリリースされたばかりの本作は、2018年12月初旬に発売された前作『CLOCKWORK IMMORTALITY』から約1年2カ月ぶりの新作となります。2017年から短期間で3枚のフルアルバム、2枚のEP、そしてライブアルバムと映像作品を各1作ずつ発表するなど、精力的かつ多作なイメージの強い彼女たち。実際、前作発表後は2度の国内ツアーに加えArch Enemyの中国ツアーやDragonForceのUKツアーのサポート、イギリス『Download Festival UK』やベルギー『Graspop Metal Meeting』、スペイン『Download Festival Madrid』、日本『SUMMER SONIC 2019』など国内外のフェス出演、さらにはHalestromの東京公演(2019年12月)のサポートアクトなど、ライブが充実した1年を過ごしています。

 そんなツアーの合間に制作された本作は全12曲、トータル70分超という過去最長の大作。どの曲も5~6分台と決して短くはない長尺ナンバーばかりですが、1曲1曲の完成度が非常に高く、かつキャッチーなメロディと聴き手を刺激しつつも耳馴染みの良いアレンジの妙技で、まったくだれることなく最後まで楽しむことができます。パワフルでファストな楽曲が続く前半も曲ごとに異なる味付けが施されており、しっかり差別化されているし、また、後半に入るとミドルテンポのヘビーチューンやシャッフルビート、スラッシュメタル然としたスピードナンバーなど楽曲のバラエティが広がっていきます。特に今回はメインソングライターのmiyako(Gt/Key)やmiho(Ba)、asami(Vo)に加え、midori(Gt)が初めて作詞・作曲に関与したナンバー、さらにはメンバー全員で作詞に関わった楽曲も含まれており、よりバンド感が強まった1枚と言えるでしょう。

LOVEBITES『GOLDEN DESTINATION』

 これだけでもかなりボリューミーで隅々まで堪能するのに時間を要するのに、LOVEBITESは2月19日に早くも最新EP『GOLDEN DESTINATION』をリリースします。本作はアルバム『ELECTRIC PENTAGRAM』収録曲「Golden Destination」をリードトラックに、惜しくもアルバムから漏れた未発表曲「Spellbound」「Puppet On Strings」、『ELECTRIC PENTAGRAM』のオープニングナンバー「Thunder Vengeance」にオーケストラアレンジを施した別バージョンを収録。未発表の2曲はアルバムから外れたとはいえ、アルバム収録曲に負けず劣らずの完成度で、「なんでこれが漏れたの?」と不思議に思うほど。また、「Thunder Vengeance (Orchestra Version)」もオープニングとエンディングに追加されたSEと曲中に加えられたストリングスサウンドが原曲以上のドラマチックさを演出。アルバムとの完全な被りは1曲のみなので、『ELECTRIC PENTAGRAM』を購入した方も新作感覚で接することができるはずです。

LOVEBITES / When Destinies Align [4K MUSIC VIDEO]
Sons Of Apollo『MMXX』

 続いては、多彩なキャリアを持つメンバーで結成されたスーパーバンドSons Of Apolloの新作アルバム『MMXX』です。このバンドはジェフ・スコット・ソート(Vo/SOTO、ex. Yngwie Malmsteen’s Rising Force、ex. Journeyなど)、ロン・“バンブルフット”・サール(Gt/Art Of Anarchy、ex. Guns N’ Roses)、ビリー・シーン(Ba/Mr.Big、The Winery Dogs、Niacin)、マイク・ポートノイ(Dr/The Winery Dogs、Flying Colors、Metal Allegiance、ex. Dream Theater)、デレク・シェリニアン(Key/Black Country Communion、ex. Dream Theater)といったHR/HM界における百戦錬磨の凄腕たちが2017年に結成。同年10月に発表したデビューアルバム『Psychotic Symphony』は個々の技量を活かしたテクニカルかつスリリングなアンサンブルと、ジェフのディープな歌声がフィーチャーされたプログレッシヴメタルを存分に楽しむことができる1枚でした。2018年9月には早くも来日公演も実現しており、翌2019年9月にはオーケストラとの共演を含むライブアルバム&映像作品『Live With The Plovdiv Psychotic Symphony』もリリース。ここまで順調な活動が続いています。

 「スーパーグループは短命」というジンクスを打ち破るかのように、早くも届けられた2ndアルバムは前作の延長線上にある作風ながらも、楽曲の完成度や精度はより強靭なものになっています。これは、前作リリース後83公演におよぶワールドツアーを経たことでバンドとしての絆が深まり、よりお互いを理解できた結果が曲作りにも良い方向に作用したという表れなのでしょう。このアルバムも前述のLOVEBITESの新作同様に1曲1曲が長尺で、全8曲中5分前後の楽曲が3曲、6分前後が2曲、7~8分台が2曲のほか、ラストには約16分におよぶ超大作「New World Today」が用意されていますが、こちらも不思議と飽きがこない仕上がり。緻密に計算されたアレンジと、自由度が高いものの単にテクニカルだけではなく、しっかりと“聴かせる”ことにもこだわったソロプレイがちょうど良いバランスで共存しているからこその結果と言えるでしょう。

Sons Of Apollo – Goodbye Divinity
ANNIHILATOR『Ballistic, Sadistic』

 3組目はカナダが誇るスラッシュメタルの雄、ANNIHILATORのニューアルバム『Ballistic, Sadistic』です。ジェフ・ウォーターズ(Vo/Gt)を中心に、30年以上にわたり活動を続ける彼ら。2015年に専任ボーカルのデイヴ・パッデン(Vo/Gt)が脱退して以降はジェフがフロントに立ち、『Suicide Society』(2015年)や『For The Demented』(2017年)といったオリジナルアルバム、CDとDVD/Blu-rayで構成されたライブ作品『Triple Threat』(2017年)を定期的にリリースしています。

 前作『For The Demented』から2年2カ月ぶりに発表された通算17作目のアルバムは、ジェフとファビオ・アレッサンドリーニ(Dr)の2人のみで制作。 “This is REAL ANNIHILATOR!”と断言できるほど、濃度の高いテクニカルスラッシュメタルアルバムに仕上がっています。ひたすらアグレッシブなジェフのリフワークとファビオのドラミングは、どこか最初期のMegadethを彷彿とさせるものがあり、ジェフの吐き捨てるようなボーカルもそういった楽曲にフィット。捨て曲一切なし、首尾一貫して暴力的で攻撃的な本作は、ANNIHILATORの新たな代表作と呼ばれることは間違いないでしょう。

ANNIHILATOR – Armed To The Teeth (Official Video)
British Lion『The Burning』

 4組目はIron Maidenのリーダー、スティーヴ・ハリス(Ba)がサイドプロジェクトとして立ち上げたバンドBritish Lionの2ndアルバム『The Burning』です。2012年に発表した1stアルバム『British Lion』ではIron Maidenで聴けるメタルサウンドをよりレイドバックさせ、スティーヴのルーツであるUFOやThin Lizzyなどのブリティッシュハードロックを現代に蘇らせたような楽曲を展開。古くからのMaidenファンを喜ばせました。一時は単発で終了したかと思われましたが、2018年11月には奇跡の来日公演が実現。それから1年弱を経て、ニューアルバムが届けられたわけです。

 7年ぶりの新作ですが基本路線は前作から変わっておらず、パーカッシブなスティーヴのベースプレイと、メロディアスで耳に残るギターフレーズ、適度な深みが心地よいボーカルがクラシカルなハードロックナンバーを彩っています。曲によってはIron Maidenとの共通点も見つけることができますが、それはスティーヴが曲作りに参加し、ベースを弾いている時点で避けては通れないこと。ですが、それと同じくらいに「今のIron Maidenでは挑戦しないであろうスタイル」も至るところから見つけることができるので、Maidenファンはもちろんのこと、“古き良き時代のブリティッシュハードロック”に関心のあるリスナーにも手に取ってもらいたいものです。派手さ皆無、本当に地味で音の“隙間”が多い1枚ですが、だからこそその隙間に身を委ねつつディープな音世界に浸ってみるのもいいかもしれません。

British Lion – The Burning (Official Music Video)

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