INABA/SALAS『Maximum Huavo』が大差で首位に 息の合った2人の音楽愛に満ちた1枚がヒットした理由

 発売中の『音楽と人』内の記事によれば、今回の再始動の発端もスティーヴィー・サラスのメール攻撃。いわば、遠くにいる友だちから“いつヒマ?”と言われ続けて腰を上げた、みたいなものであり、“B’zのフロントマンにしかるべき次の一歩”なんていう前提はハナからなかったのではないかと思われます。ギラギラと躍動するファンク魂と、尽きることのないハードロック愛、そして洋楽とも邦楽とも言い切れないブレンドの妙。USのトレンドなど小気味よくスルーしているし、ついでにいえば『Maximum Huavo』なるタイトルも相当笑えます(意味は各自お調べください)。そういう作品が初登場1位、しかもセールスが約6万枚とは、この時期において特に心強い話だと思います。

INABA / SALAS “Demolition Girl”

 これはB’zの稲葉浩志だからできる話じゃないか、と言われれば、もちろんその通り。メガヒットを生み続け、確固たるファンベースを築いている大物アーティストゆえ、遊び心たっぷりのプロジェクトも発売初週からしっかりヒットさせられる。ただ、そうではない中堅の実力派や無名のアーティストがCDショップで“たまたま発見される”機会は現状失われたままです。ネットとSNS、さらにサブスクがその機能を担っている今、チャートはどう変わるのか。フィジカルは今後どうなるのか。引き続き、追っていきたいと思います。

INABA / SALAS “KYONETSU ~狂熱の子~”
INABA / SALAS “IRODORI”

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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