m-flo VERBALと☆Taku Takahashiが語る、“loves”の可能性とシリーズ再始動の意義

m-flo VERBALと☆Taku Takahashiが語る、“loves”の可能性とシリーズ再始動の意義

 m-floが2004年から2008年にかけて、当時まだ日本のメインストリームでは一般的ではなかった、アーティスト同士が自由にコラボレーションをする「featuring(フィーチャリング)」という新概念を軸に、豪華アーティストと共演し一世を風靡した“loves”(ラブズ)プロジェクト。2018年にLISAが復帰して再始動後の基盤を固めたm-floが、2020年に次世代のアーティストたちと世代、 国境を超えて共鳴する新たな“loves”サウンドの第1弾として、韓国HipHopシーンの若手実力派・Sik-K、日本のJ-POP/R&Bシーンの双璧・eillと向井太一を迎えた「tell me tell me」をリリースした。

 現在、新型コロナウイルスの影響で世界中が自粛を迫られ、DJ/クリエイターの活躍の場が制限されている中、「クリエイティブを止めずに音楽でつながっていたい!」というm-floの願いが込められた「tell me tell me」のリミックスコンテストを開催中。優秀な作品にはオフィシャルリリースのチャンスもあるという。

 今回のインタビューでは、VERBALと☆Taku Takahashiを迎えて“loves”シリーズ再始動に至ったきっかけや、シーンにフィーチャリングの可能性を提示した画期的な同プロジェクトの意義について語ってもらった。(編集部)

国内でも面白いアーティストが増えていると感じていた

ーー“loves”シリーズを再始動することになったきっかけは?

☆Taku Takahashi

☆Taku:2004年から2007年にかけて、“loves”シリーズとして『ASTROMANTIC』『BEAT SPACE NINE』『COSMICOLOR』と3枚のアルバムをリリースしたのですが、数多くの素晴らしいアーティストたちとフィーチャリングしたことで、僕らとしても当時は「やりきった」との思いがありました。フィーチャリングはとても面白い経験だけれど、毎回やっていくのは大変なパワーを必要とすることなので、2018年にLISAが復帰して再始動してからは、まずm-floとしての基盤を固めようというモードになっていきました。でも、最近はSNSなどを通して世界のアーティストと繋がることが容易になりましたし、日本国内でも面白い表現をするアーティストが増えていると感じていて、徐々に「もう一度、“loves”シリーズをやってみたい」と考えるようになっていきました。

VERBAL:“loves”シリーズは、LISAが脱退してから始めたことだったから、彼女にそのアイデアを話すのには少し懸念がありました。「私のほかに別の女性シンガーも入るの?」と気にする可能性があるなと。ところが実際に話してみたら「いいね、やろう!」と言ってくれて。そこから☆Takuが向井太一君やeillちゃん、Sik-K君みたいなかっこいいアーティストを提案してくれて、どんどん現実的になっていきました。

ーー2019年末に開催された、アルバム『KYO』を提げた20周年記念ライブは、m-floのキャリアの集大成と言えるような素晴らしい内容で、ライブ中に“loves”コーナーが設けられていたのも印象的でした。あのライブの成功が、“loves”シリーズ再始動を後押しした部分もあるのでは。(参考:m-flo、20年の長い旅路は“KYO”のためにーー原点から未来までを体感したアニバーサリーライブ

VERBAL:あのライブに関しては、ファンのみなさんに本当に感謝したいです。僕らがデビューしたての頃にライブを行ったZepp Tokyoで、あのような光景を再び見ることができたのは感慨深かったし、昔からのファンの方はもちろん、新たにファンになってくださった方も含めて、みんなが一つになった瞬間で、僕らがやってきたことは間違いではなかったのだと感じることができました。LISAと“loves”アーティストのコラボも大いに盛り上がりましたし、僕ら自身も大きなパワーをもらったライブだったので、その意味ではたしかに今回の“loves”シリーズに繋がった経験だったかもしれません。

☆Taku:『KYO』は修行僧のようにストイックに作ったアルバムだったけれど、「m-floにはいろんな側面がある」ということをうまく表現できた作品で、ライブでもその面白さをちゃんと出せたと思います。意識はしていなかったけれど、多面的なアプローチを推し進めた先に、今回の“loves”シリーズがあったのかも。

「tell me tell me」はいろんな国の方に聴いてもらえている

ーー「tell me tell me」のフィーチャリングアーティストについても教えてください。

☆Taku:僕は4~5年くらいまで、しばらく日本のアーティストの楽曲はあまり聴いていなかったんです。ところが、先ほども言ったように、ここ数年はグローバルな音楽シーンの潮流とも合った面白いアーティストがたくさん出てきていて、僕が主宰しているインターネットラジオ「block.fm」でも日本のアーティストの楽曲をかけることがすごく多くなった。eillちゃんは、block.fmでかかった「HUSH」という楽曲で知りました。向井太一君とは2018年末に「Break up」という曲を一緒に作っていましたし、Sik-K君は僕らとも親交のあるJP THE WAVYさんの楽曲「Just A Lil Bit Feat. Sik-K」に参加していて、めちゃくちゃ良い声をしているなと。3人とも、音楽を通した自然な出会いですね。みんな本当に歌が上手いし、表現力があって、あらゆるジャンルに対応できるタイプ。音楽性の幅広さは、VERBALとも共通しています。

ーー3人と一緒に楽曲作りをしていて、以前の“loves”シリーズのときと違いを感じる部分はありますか。

VERBAL

VERBAL:以前の“loves”シリーズのときは、歌は上手いけれど、自分で曲を書かないタイプの人が多かったんです。だから、「好きなように歌ってください」と言っても、最初はどうして良いかわからない感じで、僕らが「ラップっぽく歌ってみたら?」とか「もっとブレッシーにしてみたら?」とかアドバイスして、そのうち「自分で曲を書いてみたら?」と勧める感じでした。Crystal Kayはまさにそんな感じで、僕らとセッションする中で自分らしい歌い方を見出していった部分もあると思います。“loves”シリーズが、参加してくれるアーティストにとっても、普段とは違う一面を見せる場になっていたというか。でも、eillちゃんたちは最初から自分の歌い方があって、わざわざ「R&Bをやっています」と主張しなくても、自然とできている。一方で、漫画好きのオタク少女という一面があったりと、一人の中にいろんなカルチャーがあります。昔のR&Bシンガーというと、髪は編み込みでブラックミュージック大好きで、まさにディーバという感じだったと思うんですけれど、今の子はナチュラルにいろんなカルチャーを吸収していて、そこが現代的だと感じます。

ーー「tell me tell me」は、英語と日本語と韓国語が混ざり合っているのも現代的ですね。特にVERBALさんがSik-Kさんのリリックに韓国語でアンサーするところが印象的でした。

VERBAL:Sik-K君は『SHOW ME THE MONEY4』で注目を集めた韓国のアーティストでもあり、折角インターナショナルなコラボなので自分も韓国語で返したら面白いかなと。とはいえ、韓国語はあまり得意ではないので、スタジオではSik-K君に言葉のニュアンスなどをチェックしてもらいました。

☆Taku:あれは良いバトンリレーだと思いました。日本に来てもらえる時間があって、実際に一緒にスタジオに入ってセッションができたからこそ、出てきたラインだなと。

ーー本作の制作は、スタジオでのセッションがベースになっているんですか。

☆Taku:そうですね。最初は僕とeillちゃんと向井太一君でスタジオに入って、「tell me tell me」とは別の曲を作ろうとしていたんです。みんなで集中してやっていたのですが、あと一歩、パンチが欲しいなという感じでした。それで、気分転換にみんなで韓国料理を食べに行くことになって、VERBALも近くにいたから合流して、ちょっとお題を変えてみようかということになりました。いろんな案が出るなかで、VERBALが「わからない」をテーマにしてみてはどうかと提案してくれて。その後、スタジオで向井太一君が「わからない~」と歌って、だんだんと「tell me tell me」の方向性が見えてきたんです。

VERBAL:実はその後、一月にフランスのパリ・コレクションで自分のブランドのショーの会場にSik-K君が会いに来てくれたので、その場で曲について打ち合わせしました。「どんな感じが良いですかね?」と聞かれたので、まずは自由にやって欲しいと伝えて。

☆Taku:その後、僕もSik-K君と話してテーマを伝えて、日本に来たときにスタジオに入ったという流れです。そして、最後にLISAに決めてもらいました。

ーートラック面ではどんな工夫をしましたか。

☆Taku:ざっくり言うとフューチャーベースなんですが、それをどう崩していくかをまず意識しました。加えて、素晴らしいボーカルが揃っているので、各々の個性をいかに出すかも重要なポイントでした。“loves”シリーズはただ良い曲を真面目に作るだけではダメだというか、参加するアーティストがそれぞれ思いっきり遊ぶのが大事だと思っていて。そのためにどうするかを考えて作っています。

ーー楽曲への反響はどうでしょう。

☆Taku:YouTubeのコメントを見ると、良いバランスで日本のコメント、英語のコメント、韓国語のコメントが寄せられていて、いろんな国の方に聴いてもらえている実感があります。音楽には国境がないということは、m-floで表現していきたいことの一つなのですが、いよいよそれが実現できる世界になってきた印象です。

tell me tell me / m-flo♡Sik-K & eill & 向井太一 Music Video

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