佐野元春、般若、SUSHIBOYS……新型コロナの状況下に生まれた新曲を聴く
ZOMBIE-CHANG
メイリンのソロプロジェクト・ZOMBIE-CHANGは4月6日に「PLEASE STAY HOME」を公開した。彼女のTwitterでは、以下のコメントとともに投稿された。
日本だけでなく世界中ででとても大変な状況になっていますが、みなさんがこの曲を聞いて、お家にいて、踊ったり体を動かしたり。健康でありますように。そして、少しでも楽しく幸せに過ごせますように。
作品は、アシッディーなサウンドで充満したイルなビートに「Where is my toilet paper?」とつぶやく声が延々と繰り返されていくというもの。ラストはタイトルの「PLEASE STAY HOME」が掲げられ、外出自粛が呼びかけられている。トイレットペーパーの買い占めが起きたような、おかしな現実に対する風刺作品としても秀逸だが、印象的なサウンドや極彩色の映像によって、ポップアート的な側面も強い。一度観ると脳裏にこびりつく作品だ。
SUSHIBOYS
ヒップホップグループ・SUSHIBOYSが4月9日に公開した「おうち時間」。“おうち時間を極めた結果部屋の家具だけで曲が出来上がりました”とあるように、鍋や炊飯器など家にあるあらゆる物を使ってビートを作り出している。制作過程を収めた動画も公開されており、できることが限られている中でも想像力を目一杯働かせて楽しんでいる様子は痛快。行動が制限されている中でもクリエイティブに徹する彼らの姿勢は、こうした状況を何とかして楽しむための手助けになるかもしれない。
Naybe
渡辺直也によるソロプロジェクト・Naybeは10日、「Veranda(Stay Home)」を公開した。映像は自宅のベランダで弾き語りする様子を定点カメラで撮ったもの。〈模様替えをしたのさ/片付けたら案外広い部屋さ〉といった素朴な歌詞は多くの人びとの生活感覚と近しいものだろう。缶ビールをひと口飲んで終わる最後は、穏やかながらも、どこか孤独や不安の入り交じる映像になっている。
このように作品が発信するテーマやメッセージはそれぞれ。並べてみると各アーティストの個性が浮かび上がってくるのが面白い。
■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)