新型コロナウイルスで声を上げる音楽業界 ライブハウス、企業、アーティストが発信するそれぞれの支援活動
新型コロナウイルスの影響で音楽業界が苦境に立たされている。密閉、密接、密集の「3密」が揃っているライブハウスやホールなどのイベント会場はウイルス感染の危険性が高い。そのため現在ほとんどの文化施設は営業を自粛している。また、多くのアーティストが春に行われるライブの中止や延期を決めたほか、音楽フェスにも影響は出ている。『JAPAN JAM 2020』や『VIVA LA ROCK 2020』など国内の大規模音楽フェスも中止や延期を発表した。
自粛すれば公演に伴う収益は発生しない。ミュージシャンやライブに携わっている多くのスタッフの収入は絶たれてしまう。ライブハウスやホールは自粛が長引けば廃業に追い込まれる。しかし、少しずつではあるが希望も見えてきた。この苦境をなんとか乗り切ろうとする活動、支援の声をあげる団体や企業が増えてきたのだ。
新型コロナウイルスによる影響を受けたライブハウスなど文化施設への助成金交付案を提案する『SaveOurSpace』という署名活動が30万筆を集め話題になっている。助成金が出ることは4月9日現在決まっていないが、音楽文化を守る必要性を多くの人に考えさせるきっかけを作った。
音楽業界を救うために動いた企業や団体もある。J-WAVEは『#音楽を止めるな』プロジェクトを開始した。無観客ライブの配信などでアーティストやライブハウスの支援することを目的にしたプロジェクトだ。4月2日には04 Limited Sazabysが無観客ライブをYouTubeで配信し、Super Chatという投げ銭システムを使い視聴者からの寄付を求めた。
奏-KANADE-、プラムチャウダー、イープラス、サウンドクリエーターの4社が協賛し『聴志動感』というYouTube上での無観客ライブイベントを企画した。3月28、29日の2日間行われたイベントにはHump BackやMOROHA、SCANDAL、ハルカミライなど計11組が参加し、同じくSuper Chatで投げ銭での寄付を求めた。集まった収益は制作費を除きアーティスト支援に使用される。
また、企業からの支援は海外でも行われている。ユニバーサルミュージックグループは経済的な損失を受けた音楽業界関係者への具体的な支援策を公式サイトで発表した。メジャーレコード会社で具体的な支援策を発表した初めての例だ。従業員の給与と福利厚生の保証や、所属アーティストへの無利子でのロイヤリティ料先払いや経費の免除など様々な支援策を発表した。(参考:ユニバーサルミュージック、コロナ被害の音楽業界への支援を発表。社会不安を和らげるアーティストの活動も応援すると表明)