Perfume、「Challenger」MV完成までの軌跡 11歳小学生の“挑戦”に対する思いが映像に
最終プレゼンテーションに立ったHirotoさんは、MVのアイデアについて“2つのつながり”をテーマにしたと話す。
「一つは、『人と人とのつながり』で、もう一つは過去・現在・未来という『時間のつながり』。この2つのつながりがあるから、僕たちは色んなことにチャレンジしていけるのだと思います」(Hirotoさん)
また、曲のタイトルである「挑戦」については「大きな夢に向かっていくこと、高い壁を越えようとすること、新しい場所にたどり着くために闇の中に突き進むことも『挑戦』です。でも、そんな大きなことだけが『挑戦』ではないと僕は思います。嫌なことがあった日は、次の日のことを考えただけでため息が出る時もあります。これは子供でも大人でも同じだと思います。それでもみんな毎日頑張っていると思うと、1日1日が『挑戦』の連続で、全ての人がチャレンジャーなのだと思います」と語った。
そんなHirotoさんのアイデアを基に、関監督によって完成したのが「Challenger」のMVだ。オープニングでは、手足を鎖で縛られた3人が映し出される。Hirotoさんによればこれは、“過去”に縛られている状態を表現している。その鎖から解き放たれた3人は、“辛かったり、苦しかったりした過去から解き放たれ、未来に一歩を踏み出したチャレンジャーたち”となる。映像の中に登場する数々のキューブは、“人”や“時間”を表したもの。
「縁があれば自分のキューブとぴったり合うキューブに出会うことができます。そしてその出会いによって何倍もの力が生まれ、未来への道が広がっていきます」(Hirotoさん)
途中、キューブの連なりによってできた別々の道を3人が歩くシーンがあるが、それについてHirotoさんは、「誰もが違う人生を生きていて、違う場所で、それぞれのことに挑戦し続けていること」を表しているという。
「そして3人が一緒に集まる場面は、どんなに違う場所にいても、みんな同じ今という時間を生きていることを表しています。硬い絆で結ばれたかしゆか、あ~ちゃん、のっちの3人が、デビュー15年という過去を超えて、次の未来に力強く進んでいく姿を、このミュージックビデオで観られたら嬉しいです」(Hirotoさん)
「Challenger」という楽曲の本質を、見事に捉え映像化する企画を創り上げたHirotoさん。将来の夢について聞かれると、「まだ今のところあんまり決まってないんですけど、この曲のようにチャレンジして、どんどん範囲を広げて行けたらいいなと思います」と答えていた。いつか彼が、再びチームPerfumeと“つながる”未来が訪れるのだろうか。
■黒田隆憲
ライター、カメラマン、DJ。90年代後半にロックバンドCOKEBERRYでメジャー・デビュー。山下達郎の『サンデー・ソングブック』で紹介され話題に。ライターとしては、スタジオワークの経験を活かし、楽器や機材に精通した文章に定評がある。2013年には、世界で唯一の「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン公認カメラマン」として世界各地で撮影をおこなった。主な共著に『シューゲイザー・ディスクガイド』『ビートルズの遺伝子ディスクガイド』、著著に『プライベート・スタジオ作曲術』『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』『メロディがひらめくとき』など。ブログ、Facebook、Twitter