嵐、『Reborn Vol.1』に感じる未来への希望 今の5人だからこそ歌える生まれ変わった3曲
One Love / One Love:Reborn
先の2曲がメロディ的には明るく華やかなアップデートを積んだのに対して、こちらは逆にしっとりと落ち着いた一曲に生まれ変わったのが印象的だ。原曲は演奏隊も華やかで祝福に満ちた色とりどりの音が溢れているが、Rebornバージョンではあえてメロディをシンプルに、クリアにすることでメンバーの歌声をくっきりと浮かび上がらせている。ソロパートも多く、 3曲の中で最もメンバー一人一人の歌声が堪能できる曲と言えるかもしれない。
また、先述した2曲が改変された英詞にメッセージ性を強く持たせているのに対して、“残した”日本語詞のチョイスにセンスが光る。
〈泣いた季節を 越えた僕らは/今とても輝いてるよ〉
〈すれ違いに傷ついた夜/それでもここまできたんだ〉
まさに、苦悩を重ねてそれでも歩いてきた、嵐の軌跡に重なって響いてくる。
〈それぞれ描く/幸せのかたちは重なり/ 今 大きな愛になる〉
〈かけがえのない/出逢いは奇跡を繋いでく〉
それでも、彼らは自分たちの絆を信じている。彼らの決断は愛になり、きっと奇跡を繋いでいく……そう思わせるフレーズが、今だからこそ改めて胸に強く響く。
原曲は、松本の出世作『花より男子』(TBS系)の劇場版にあてられたラブソングだが、歌詞中で歌われている「大きな愛」はドラマの中の二人だけではなく、男女間の恋愛をも超えて、メンバー間の信頼や親愛、あるいはファンとメンバーとの愛情にも置き換えて聴くことができる。「Reborn」バージョンで、またこの曲の味わいが深まるだろう。
もちろんこちらも、英詞部分にもにくい演出が詰まっている。特に震えてしまうのはラスサビに向けての流れだ。
〈I'll be yours/Promise Yes, I do〉
(意訳するならば「僕は君のものだ、約束するよ、絶対に」となるだろうか)
に続いて、大野以外のメンバーが一人ずつ
〈Yes, I do〉
と「約束」を誓うように歌っていく。
あれ? と思う間もなくそのままラスサビに入るのだが、大野は一人でコーラスを担当しており、他の4人のメンバーがメインパートを歌い上げる。そして最後に、ゆっくりと噛み締めるように、大野が〈Yes, I do〉と2回繰り返す。
まるで4人が大野へ呼びかけ、それにしっかりとうなずき返す大野かのような構造は、メンバーの固い絆を感じざるを得ない。さらに、この曲中に「約束」はもう一箇所出てくる。
原曲から引き継がれ、据え置かれた〈同じ明日約束しよう〉という日本語詞だ。改変された英詞の〈Promise〉は明らかにこの箇所を意識してのものだろう。加えてこの歌がウェディングソングとしてよく使われていることを鑑みると、まるで嵐からファンへの「誓いの言葉」のようにも聞こえてくる。
「同じ明日約束しよう」
「ここに誓います」
そんな風に。
たった3曲でもここまでのボリューム、進化、そして再生(Reborn)。このEPタイトルに“vol.1”とついているのが頼もしくて仕方ない。まだ告知さえされていないvol.2、3、それ以降に思いを馳せずにはいられないだろう。
■佐久良夏生
1988年生まれ。茨城出身。日本の音楽・コミック・サブカルチャーが好きです。