嵐、デジタル戦略の狙いは? コラボ企画、インスタ活発化、ドキュメンタリー……これまでの活動を解説

 2020年1月24日、ジャニーズの嵐による楽曲「Turning Up (R3HAB Remix)」がリリースされた。本作は、昨年11月にリリースされた「Turning Up」のリミックスであり、世界的DJのR3habとのコラボによって、従来のジャニーズファン以外からも注目を集めた。また、2月4日に1〜256までがカウントアップされた「256」動画が公式Twitterにて挙げられたかと思えば、2月7日にはオリジナルアルバム16作品全256曲が配信リリースされた。

 2019年のサブスク解禁から、立て続けにデジタル戦略を打ち出している嵐。ここまでのデジタル戦略をどのように理解すれば良いのだろうか?

記録破りの嵐、しかし……?

 嵐は、昨年10月からYouTube、Twitter、Instagram、TikTok、そして中国版TwitterのWeiboなどSNSを立て続けに解禁してきた。SNS自体は、2018年3月からジャニーズJr.がYouTubeチャンネルを開設していたものの、デビューを果たしたグループの中でも名実ともにトップグループである嵐が本格的に乗り出すことは、大きな衝撃であった。

 その初速は凄まじく、YouTubeは開設から28時間で100万登録者を突破、僅か25日で200万登録者となり再び日本最速記録を更新した。

 しかしながら、今後もその勢いが継続するかは不透明である。登録者数は、2月2日時点で253万人となっており、トップYouTubeであるとは言え、同じアーティストの米津玄師が誇る472万人や、日本一のYouTuberであるはじめしゃちょーの835万人からは未だ距離がある。

 SNS別にフォロワーを見ると、Twitterが228万、TikTokが120万、Weiboが28万、そしてInstagramが360万となっており、プラットフォームによってユーザー数やコンテンツ形式が異なるため一概に比較はできないが、2〜300万程度で落ち着いている状態だ。

 注目すべきは、Weiboにおいては後輩グループのSnowManが43万フォロワーを抱えており、嵐の数字を超えている点だ。ファンダムや知名度ではまだまだ嵐に及ばないことからも、一概にファンの実数がそのままフォロワー数に繋がっているわけではないことが分かる。すなわち、いくら名実ともに日本を代表するアイドルの嵐であっても、デジタルの攻略は一朝一夕にいかないのだ。

ジャニーズとしての思惑

 おそらく、そのことはジャニーズ事務所としても十分に理解していただろう。ジャニー喜多川社長の死去がデジタル化を早めたという俗説もあるが、事務所がデジタル戦略を強化しはじめたのは2016年頃からであり、4年前から動き出しははじまっていた。

 ネットに対して強固に距離をおいてきた事務所が、容易にデジタルを攻略できないことは当然であり、彼らとしてもデビュー前のグループを活用して試行錯誤を続けていく方針であったと想像できる。

 こうした背景を踏まえて、嵐によって事務所の戦略を一歩進めることは合理的とも言える。なぜなら、嵐は2020年末から活動休止が決まっており、しばらくはCDやライブでの売上が見込めない。休止前にデジタルの存在感を高めておけば、過去の映像を掘り起こしなどで既存ファンのロイヤリティを高めつつ、若年層を新規獲得することも可能である。また、嵐は長い準備期間を経て休止することが決まったため、デジタル戦略を十分に準備する時間も生まれた。

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