嵐の魅力はアルバム曲にこそあり 『ARASHI No.1』『ARASHIC』『Are You Happy?』‥‥…サブスク解禁を機に解説

 嵐がこれまで発表した全アルバム曲のデジタル配信、サブスクリプションサービスでの配信を開始した。「Love so sweet」や「Happiness」「GUTS !」をはじめとするヒットシングルのある嵐だが、シングル以外のアルバム収録曲にも隠れた名曲は多い。ソロ曲含め、彼らの魅力はアルバム曲にあると言っても過言ではない。これを機に、嵐のアルバム曲の魅力に触れてみよう。

個性と王道が交錯したデビュー作『ARASHI No.1〜嵐は嵐を呼ぶ〜』

 今でこそ揺るぎない人気を誇る嵐だが、はじめからそうだったわけではない。デビューシングルと2ndシングルの2作はオリコン週間シングルチャート1位を獲得こそすれ、3枚目〜4枚目は首位を逃している。1stアルバム『ARASHI No.1 〜嵐は嵐を呼ぶ〜』(2001年)はそんな時期の彼らの作品で、オリジナルアルバムとしては唯一ポニーキャニオンからのリリースである。

〈たぶん僕はフェイクなんだね/好きなのは他のヤツ〉(「サワレナイ」)

 と歌詞に描かれる恋愛もどこかうまくいっていない。まだ軌道に乗り切っていない時代の彼らの“もがき”が表れているようだ。今の嵐には十二分に感じとれる安心感や包容力。そうした魅力を得るには、嵐と言えど時間と経験が必要だったのだろう。

〈胸をはだけた どこまでも君の/野性を知りたい 猛る野性を〉(「野性を知りたい」)

 このアルバムにあるのは大人の余裕や落ち着きというよりむしろ荒々しい“若さ”。「DANGAN-LINER」や「アレルギー」、スケボーキングのメンバーが曲を提供したこともあった初期のミクスチャーロック路線のサウンドも作用して、嵐が文字通りの“嵐”たる所以を感じ取れる一枚になっている。ただ、そんな中にひっそりと忍び込む「愛と勇気とチェリーパイ」や「Deepな冒険」といったソウル〜AOR路線の楽曲に確かなジャニーズの王道の血脈が流れている。彼ら独自の個性とジャニーズの王道が織り混ぜられた一枚だ。

嵐『ARASHI No.1〜嵐は嵐を呼ぶ〜』

飛躍の時代ーー『One』から『ARASHIC』へ

 軌道に乗り出した2000年代中盤、『One』(2005年)に収録されている全14曲のうち、シングル曲は「サクラ咲ケ」のみ。そういう意味でも“嵐のアルバム曲”を楽しみたいのならまずこの一枚をオススメする。メロウなフュージョン調の「Overture」でゆったりとはじまり、「夏の名前」で爽やかに駆け出し、高速ファンクチューン「ROMANCE」で一気に加速、パワフルなディスコ曲「Lai-Lai-Lai」で爆発させ、優しいピアノバラード「Days」へと着地。その先にあるのは「素晴らしき世界」……と前半の流れだけでも非常に高い完成度。後半にはメンバー5人のソロ曲も収録され、バラエティに富んだ展開を見せる。ストーリー性を持ちつつ、多様性も併せ持つ。本作で何かを掴んだのか、嵐はこのアルバムの発売後から立て続けにヒットソングを連発。ある意味、その後の快進撃のきっかけとなった一枚だ。

嵐『One』

 翌06年にリリースした『ARASHIC』は音楽性の幅にさらなる広がりを見せる。全体的にサウンドもクリアに響いており、ストリート感の滲んでいた初期の彼らからしたら考えられないほどの進化だ。リード曲「COOL & SOUL」の野心的な作りもさることながら、音楽通も唸ること必至のグルーヴィーな「Ready To Fly」や「Secret Eyes」、ライブで盛り上がること間違いなしのぶち上げソング「CARNIVAL NIGHT part 2」までどれも聴き応え充分。裾野を広げはじめた中期の嵐を象徴する一枚である。

嵐『ARASHIC』

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