NEWSのアルバムプロジェクト4部作は現実を生きる私たちの物語ーー最終章『STORY』から感じたこと

 NEWSの最新アルバム『STORY』がついにリリースされた。2017年より、N=『NEVERLAND』、E=『EPCOTIA』、W=『WORLDISTA』と続いた、コンセプチュアルアルバムプロジェクト。S=『STORY』は、4部作の最終章となる。

NEWS『STORY』(通常盤)

 夢の島、宇宙、そして仮想空間……と、アルバムごとに異なる舞台へ誘ってくれた、このアルバムプロジェクトもついにエンディングを迎える。何年もコンスタントに楽しんできた長編作品がクライマックスを迎えることに、楽しみと寂しさとが入り交じる複雑な気持ちを抱えつつ、アルバムを開いた。

 これまでの3作品では、最初に世界観を表すBGMと共に、案内人のアナウンスが聞こえてくる、というお決まりの流れがあった。今作も、まず私たちの耳に飛び込んでくるのは、まるで往年の名作映画のオープニングを彷彿とさせるゴージャスなファンファーレ。いよいよ始まるという高揚感と同時にちょっぴり懐かしいような、不思議な感覚に包まれる。

 そして、聞こえてきた「STORY」。歌詞には〈NEVERLAND〉〈EPCOTIA〉〈WORLDISTA〉の文字が。さらに耳をすませば、各アルバムで登場したキーワードも囁かれている。〈声あげた2003 旅ははじまり〉と歌うのは、もちろんNEWSのデビューした年のこと。 〈そして僕ら 2020 夢見たあの場所へ〉すべての点が振り返ると線につながっていく。これまでの日々が、一瞬一瞬が積み重なって、人生というSTORYになっているのだと気づかされる。

 コンセプチュアルなアルバムは、現実とはかけ離れた夢の世界を描いているように見えた。だが、前作『WORLDISTA』で、私たちの意識は大きく揺さぶられた。現実と非現実を分けるものなんてあるのだろうか、と。「想像することがみちしるべ」自分自身の想像力次第で、この世界は素晴らしいものに変わる。

 そう、かつての夢物語が、現実のSTORYになる日が来るということ。夢の島の大冒険も、異星人と宇宙旅行を楽しむことも、そして時間や空間の概念を超えることも……はじまりは過去の誰かが思い描いた空想だった。それが小説や歌、舞台、映画をはじめとしたエンターテインメントの力で広まり、それ受け取った誰かの夢になり、そして現実になっていった。NEWSが、アルバム4部作で見せてくれたのは、人類が叶えてきた夢の旅路であり、NEWS自身がファンと紡いできた歩み。そう、紛れもなく現実を生きる私たちのSTORYだったのだ。

 4部作を通じて現れてきた7という数字も「SEVEN」という曲に収束されていく。ドレミファソラシの〈7音階〉は、そのあとに「ド」ではなく「ゲ」と続けたくなる、暗黙の了解が私たちの中にはある。〈7つの惑星〉と聞けば、あの宇宙旅行を思い出さずにはいられない。歌詞内にある( )は、自分たちのパートだと思える特別なシルシになった。「4」も「7」も、今や単なる数字ではないのだ。そこには、もう忘れられないSTORYがあるから。

 もちろん、困難や挫折のない物語はない。ここまでたどり着いたNEWSとファンにも、多くの痛みがあった。歯を食いしばって耐えた日々。自分の存在がなんてちっぽけなんだと感じることも。だが、これまでなんとか乗り越えて、生きてきた。それだけで、もうスーパースター。私たち1人ひとりが自分のSTORYの主人公であるということを、続く「SUPERSTAR」という楽曲で思い出させてくれる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる