乃木坂46 秋元真夏 1万字インタビュー「後輩グループも背負っているという責任感が芽生えてきた」
京セラドームの4日間でメンバーみんなが強くなった
ーー2019年の乃木坂46はライブが印象に残った1年でもありましたよね。2月には京セラドームでのバースデーライブがあり、5月には選抜、アンダー、4期生と内容の異なる横浜アリーナ3DAYS公演を開催。夏には全国ドーム&スタジアムツアーを行い、10月には幕張メッセイベントホールでのアンダーライブ、11月には先の3・4期生ライブがありました。また、1月には台北、10月には上海での海外公演もありました。
秋元:そう考えると、今年は例年に比べてライブが多かった印象がありますよね。乃木坂46ってライブが少ないイメージを抱かれがちなんですけど、2019年はかなり充実したライブができたかなという気がしています。
ーー秋元さんが個人的に、特に印象に残ったライブは?
秋元:私は2月の京セラドームの4日間、メンバー全員の団結力がすごく印象に残っていて。これは裏にいたメンバーにしか感じられないものかもしれないですけど、かなりタイトなスケジュールの中、誰も体調を崩すことなく、万全な状態を4日間どうにか保てたのは、たぶんめちゃめちゃ神経を張り詰めてやってくれたからだと思うんです。そういう気合いをすごく感じられたライブでしたし、あの4日間でメンバーみんながすごく強くなった気がします。
ーーそもそも、4日間で177曲を披露するってこと自体がかなり無茶なことですものね(笑)。
秋元:そうなんですよ(笑)。初期は曲数も少なかったので、体力的にもよかったんですけど、回を重ねるごとに「これ、何年続くかわかってるのかな?」と不安になるし(笑)。でも、ここまできたらメンバー同士で協力するしかないので。1年のうちにバースデーライブでしかやらない曲もたくさんあって、振り付けを確認するために古い動画を持っていないか、メンバー同士で声を掛け合って、持っているメンバーがみんなに送って、それを観ながら必死に思い出したりしてます(笑)。そうやって「もうやるしかない、やり遂げるしかない」とみんなが集中して、必死にやることで本当に大きなものを全員で作り上げている感覚が、特にバースデーライブでは感じられますね。
ーー年に一度、そういう実感ができる瞬間があるのはよかったですよね。
秋元:本当に。でも、卒業生のポジションに入る後輩たちは信じられない曲数を一から覚えなくちゃいけなくて。前回も(山下)美月がかなり頑張っていたんですけど、そういう姿を周りから見ていて、忙しい中でも頑張っているのを知っているから積極的に支えようと思うし、本人も頼りすぎちゃいけないと思ってできる限り自分で頑張ろうとするし。グループ的にも、メンバー間の関係性がそこでより強固なものになった気がします。
強い歌詞を繊細なアレンジを使って表現するのが「乃木坂らしさ」
ーー今度は楽曲面で2019年を振り返りたいと思います。乃木坂46は2019年、4月に4thアルバム『今が思い出になるまで』、5月に23rdシングル『Sing Out!』、9月に24thシングル『夜明けまで強がらなくてもいい』と3作品をリリース。それも印象的な楽曲が含まれた作品でしたね。
秋元:本当にそうですね。
ーーアルバムのインタビューで松村沙友理さんに話を伺ったとき、リード曲「ありがちな恋愛」の歌詞について「『ぐるぐるカーテン』の子たちがそのまま大人になったという感覚」と答えていたのが印象に残っていて。デビューから8年経とうとする今も、その感覚が引き継がれているところが「乃木坂46の楽曲」の魅力なのかなと思いました。
秋元:確かに。毎回新曲が届いたときは、メンバー同士で感想を言いあったりするんですけど、この「ありがちな恋愛」は「すごく乃木坂っぽいね」っていう声が多かったんですよ。きっと、みんな歌詞に過去との共通点を見出していたんでしょうね。
ーー改めて、秋元さんの目から見た「乃木坂46の楽曲」の魅力ってどういうところにあると思いますか?
秋元:乃木坂46の楽曲って、サウンドやアレンジで衝撃を与えたりインパクトを残すことは少ないかもしれないけど、実は歌詞の中には強さが秘められているんですよね。その強い歌詞を繊細なアレンジを使って表現するのが乃木坂らしさかなと思っていて、この雰囲気はメンバーが入れ替わったり後輩がたくさん生まれても、続いていってほしいなと思います。
ーー何年か前に、皆さんがよく口にしていた、誰もが知る……。
秋元:ヒット曲ですよね。よく言ってましたね。
ーーそれについては今、どう考えていますか?
秋元:そこの難しさはずっと感じています。「インフルエンサー」でレコード大賞を獲らせていただいたときは、それこそ特徴的なメロディやちょっと変わったダンスもあって覚えてもらえたのかなと最初は思っていたんですけど、あとになってみると……じゃあ誰もが知っているかと言われると、そこはまだ完全に達成できた気がしていなくて。なので、まだまだ目標としてずっと残ったままなんです。「誰もが知っている曲」を生み出すことって、本当に難しいことなんだなってこの8年で身を以て実感しました。
ーー特に乃木坂46がデビューして以降、音楽業界の構造自体も大きく変化して、「CDがたくさん売れた曲」が必ずしも「ヒット曲」とは言いきれない時代になりましたものね。
秋元:今はYouTubeから流行る曲もありますものね。となると、やっぱりSNSとか最近の中高生の発信力が重要になると思っていて。その層に知ってもらって、あちこちで「この曲が好き」と言ってもらえることが一番広まりやすい気がします。
最近、キャプテンの重みを感じ始めました
ーー改めてここまでのお話を振り返ると、現在の状況は決して悲観的になるものではないですし、むしろ3期生や4期生が成長してここから乃木坂46がどう進化していくのかが楽しみになってきました。
秋元:私もです。正直、もう何期って関係なく活動していきたいなって、最近は思うんです。各期とも10人前後になってきて、特に1期生なんてもともと30人以上いたところが今はどんどん減っているので、もはや全体で見て考えたほうがまた違うものができるような気がしていて。そうすることで、2020年から新しいものを作っていけるんじゃないかと思うんです。
ーーそれこそ日向坂46は、けやき坂46から日向坂46に改名したことによってみんな横並びで一から再スタートした感覚もありますし。
秋元:確かにそうですね。欅坂46も日向坂46も、乃木坂46とは形態がまた違うので、そういった後輩グループから学ぶことも多くなりそうな気がします。
ーー2020年はグループの飛躍はもちろんですけど、秋元さんのキャプテンとしての飛躍にも期待しています。
秋元:ありがとうございます。でも……最近になって「私、なんでキャプテンなんだろう?」って、より思うんですよね(笑)。「大丈夫なのかな?」って。
ーー3カ月以上経ってから?
秋元:そう、ちゃんと重みを感じ始めました。キャプテンになりたての頃って実感が湧かないことが多かったですし、それこそ舞台で玲香がいないときにキャプテンの代役をさせてもらうことも多かったので、「そのときとそんなに変わらないかな?」ぐらいに構えていたんですけど、やっぱり年末になってくるとキャプテンとしての意見を求められたり、1年の総括を聞かれる機会が増えるので。キャプテンが発した言葉って、絶対に乃木坂46の言葉になってしまうから、すごく大きなことだなと思って。それを「本当に私でいいんですか?」って誰かに聞きたいんですけど、誰も答えてくれないんですよ(笑)。
ーーでも、2020年に入ったらまた心境にも変化もあると思いますよ?
秋元:ですかねえ。うん、そうだといいなあ。