LUNA SEAは常に“今”が全盛期だーー圧巻のオーラ放った『LUNATIC X’MAS』を観て

LUNA SEA『LUNATIC X’MAS』レポ

 ドラムソロでは、オレンジ色の華やかな和服を身にまとった真矢が、能を取り入れたパフォーマンスを披露。4人の能楽師をゲストに招き、本格的な和楽器とドラムの融合を見せた。この日、真矢が叩いたドラムセットは、Pearlの電子ドラム「e/MERGE」(日本未発売)。大型ライブでの演奏は、真矢が世界初だという。そこにベースを持ったJが飛び込んでくると、途端にレーザーが会場中を飛び交い、ステージには巨大な青い十字架が映し出された。ベースを掻き鳴らしながら「スーパーアリーナ!」とハイテンションにガンガンに煽るJの姿は、まさにロックスターだ。「Jesus, don't you love me?」とJの煽りをきっかけに「JESUS」へ。絶叫にも似た歓声が沸き起こると、拳を突き上げ「オイ! オイ!」と荒々しい声で叫ぶ観客たち。つづく『機動戦士ガンダム40周年プロジェクト』記念テーマ曲でもある「THE BEYOND」は、大きな愛を感じる壮大なバラード。柔らかく優しいメロディと、どこまでも伸びやかなRYUICHIの美声にアリーナ中が酔いしれた。

SUGIZO

 ここでSUGIZOの機材にトラブルが発生。急遽メンバー間でのトークタイムが始まった。「SUGIZOが機材さえも愛しすぎちゃうから」とINORANが茶化したかと思えば、「今日のライブは神回だね!」とどこか楽しそうなJ。トラブルシューティングの間を活用してメンバー紹介をしたり、真矢がJのモノマネ(!)を披露したりと、約20分間のフリートークが続く。直後に披露された「BLACK AND BLUE」では、SUGIZOの音をサポートするかのように、観客たちが大きな声で歌い、手拍子を打つ。この曲は、奇しくもSUGIZOがとある映画からインスパイアされた楽曲。恵まれない国に生まれながらも必死にロックを奏でるバンドの姿を描いたこの映画は、完璧な状況ではないものの熱いライブを続けるSUGIZOの今の状況と重なるようだった。ヒットシングル曲「STORM」では、SUGIZOの元へINORANとRYUICHIが駆け寄り、ギターソロを弾くSUGIZOの顔を覗き込んだり、「大丈夫だよ!」と言うように大きく頷いたりと、SUGIZOを励ましているようにも見えた。メンバー間の絆が感じられ、胸が熱くなるシーンだった。「SHINE」「BELIEVE」とライブ定番曲を立て続けに披露し、本編は終了。

 アンコールを待つ間は、スマートフォンのライトをかざした観客たちが「きよしこの夜」の大合唱を始める。姿を見せたメンバーたちも、その光景に感動した様子だ。SUGIZOの機材が復活したという嬉しい知らせもあり、和やかなムードでアンコールがスタートした。LUNA SEA唯一のクリスマスソング「HOLY KNIGHT」、しっとりと歌い上げる「I for You」とロマンチックなバラード曲から始まり、「TONIGHT」で再び会場を熱狂の渦に巻き込む。お決まりの「WISH」でラストを迎える……かと思いきや、この日最後に演奏されたのは、ライブでは初披露となる「LUCA」。LUNA SEAからSLAVEたちへのクリスマスプレゼントだろうか。「『LUCA』から、俺らのまた新たな旅立ちが生まれた。お前ら、一緒に旅しようぜ!」と叫び、ステージを降りるINORAN。SUGIZOは客席へ降りてハイタッチをしたり、王子様のように小さな女の子の手の甲へキスを落としたりと、ファンとの距離をグッと縮めていた。RYUICHI、J、真矢もアリーナ全体に大きく手を振りながら、ステージを降りる。こうして約3時間の濃密なライブは、幕を下ろした。

 「僕らのグルーヴはどこにも負けていない」「どこまでいけるかはわからない。だけど、LUNA SEAはずーっと昇っていこうとするから。皆と一緒に」と語ったRYUICHI。その言葉通り、LUNA SEAは常に今が全盛期だ。5人の天才たちが集まったバンドは、年齢を重ねても進化し続けている。そして彼らの絆は、30周年を迎えた今、最も強固なものになっている。LUNA SEAの魅力は衰えず、今後も日本の音楽シーンに影響を与え続けていくだろう。

(取材・文=南明歩/写真=田辺佳子、橋本塁、清水義史)

公式サイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる