ジョン・フルシアンテ、ギタリストとしてバンドに与えた影響とは Red Hot Chili Peppersへの復帰を機に解説
ソロ活動で新たな音楽を追求するジョンの一方で、Red Hot Chili Peppersはギタリストとしてジョシュが加入。ジョンとジョシュは、それぞれバンドにどのような影響を与えていたのだろうか。同氏は以下のように述べた。
「ジョンは1992年に脱退後、1999年に再加入しているのですが、その後リリースされた『Californication』、『By the Way』、『Stadium Arcadium』は、ジョンのギタープレイにフォーカスされていました。例えば、『By the Way』では、全面的に彼のギターが押し出されていましたし、彼の在籍時最後のアルバムである『Stadium Arcadium』は二枚組28曲という大作でしたがほぼ全曲にジョンのギターソロが入っています。さらに、ジョンの加入後はサウンドも変化していて、それまでファンクに寄せていたものが、メロディに趣を置く方向に舵を切りました。それほどにバンドメンバーは、ジョンのギターセンスに信頼を置いていたのだと思います。
ジョシュは、各パートの良さを引き出すタイプでした。彼は歌も上手で、他の楽器もできるマルチプレイヤーなんです。コーラスワークも非常にいい。そのため「ギターで勝負」というよりは、楽曲の隙間に的確なアレンジを入れて、バンド全体のグルーヴやサウンドスケープを広げていく役割を果たしていました。その集大成となったのが『The Getaway』です。リフやソロなどに重きをおかず、多種多様なアレンジが施されていて、楽曲全体の良さに注力されています。また、ジョシュが加入したことで、バンド自体も楽曲の構築力や空間作りに重きをおいたサウンドメイクを強化していったように思います」
最後に同氏は、ジョンのRed Hot Chili Peppers復帰についてこのような期待を述べた。
「ジョン自身、ヒット曲を何度も披露したり、同じようなセットリストを繰り返したりといった「過去の再生産」を好まない人なので、ソロ活動で追求した音楽をバンドにどう織り交ぜていくのかが楽しみです。アレンジ面に関して電子音楽的なアプローチを取り入れる可能性もあるかと思いますし、リズム面での新たなアプローチ展開にも期待したいです。また、ジョシュによって新たな魅力が引き出されたバンドに、ジョンが復帰することでさらにスケールの大きなサウンドを聴かせてくれるのではないでしょうか」
ジョン・フルシアンテとジョシュ・クリングホッファー。異なる魅力を持つギタリストが携わってきたことで、Red Hot Chili Peppersの音楽性はさらに広がりをみせた。両者それぞれが在籍していた作品を聴き比べながら、最新作ではどのようなサウンドを展開するのか心待ちにしたい。
(文=北村奈都樹)