luz×RAHWIA×奏音69によるRoyal Scandalが人気を集める理由 1stアルバムにも感じる奥深い世界観がポイントに
甘美な歌声でリスナーを魅了し続けるボーカリスト・luz、イラストレーターで映像制作も手掛けるRAHWIA、作詞と作曲、また作品ストーリーを作っている奏音69による3人組クリエイターユニット・Royal Scandal(略称・ロイスキャ)。奏音69の楽曲「チェリーハント」を2014年にカバーしたのをきっかけに結成され、ユニット活動開始の合図となった「クイーンオブハート」の公開から、今年で5周年を迎える。そんな彼らが、12月18日に待望のメジャー1stアルバム『Q&A -Queen and Alice-』をリリースした。YouTubeで公開されている「チェリーハント」は845万回再生(12月21日現在)、「クイーンオブハート」は785万回再生(12月21日現在)を突破するなど、どれも好調な伸びを記録しており、2018年には、初の全国ツアー『WONDER TOUR 2018 -BITTER & SWEET-』を開催。演劇性のあるパフォーマンスで、Royal Scandalの世界観へとリスナーを誘い込んだ。そのほか、「チェリーハント」、「REVOLVER」の2本をコミカライズ、演劇×音楽を融合した舞台、LIVE THEATER『Royal Scandal~秘恋の歌姫[ディーヴァ]』が開催されるまでにも至っている。
Royal Scandalの楽曲は、なぜこれだけの注目を集めているのだろうか。
まず、奏音69の制作する楽曲が、充実したストーリー性を含んでいることが一つの理由だ。『不思議の国のアリス』や、『美女と野獣』、『シンデレラ』などの童話の世界をモチーフとしたこの物語の舞台は“Barマスカレイド”。そこで活躍する歌姫・チェルシーと、彼女と恋仲になるバーテンダー・ルイスを中心として、快楽、嫉妬、強欲に塗れていく人間の本性=“仮面の裏”が描かれている。2011年頃のボカロシーンで流行した、ボカロP・じんの「カゲロウデイズ」、「チルドレンレコード」をはじめとした物語性と、ボカロP・梅とらの「威風堂々」、「虎視眈々」のようなセンシュアルな楽曲の2つの要素を的確に捉えているRoyal Scandalの楽曲は、その時流の中で誕生したこともあり、当時のボカロシーンを知るリスナーからも支持を受けている。
また、歌詞にセンシティブなワードが使われていることでも度々話題を呼ぶ。ここで特筆すべきなのは、そうしたワードが、奏音69による当て字で美しく表現されているということ。そのギミックは、〈光(きみ)〉(「光」)、〈雑花(あのこ)〉(「REVOLVER」)などといったものから、〈淫猥(みだ)ら〉〈愛撫(あい)してあげる〉(「クイーンオブハート」)といった過激なワードまでにも施されている。こうしたワードを含んだ楽曲が、luzの歌声によって色香を含みながら構築されていく。その互いの絶妙なバランスがあって、耽美な作品を展開することができているのだ。