“キムタク”にしか出せない存在感とは何なのか 木村拓哉が持つ“スター性”と“アイドル的身近さ”

 新ドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)が10月20日から始まった。主演は木村拓哉。「日曜劇場」枠の出演は2017年放送の『A LIFE~愛しき人~』以来、また令和初のドラマ出演となる。

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 今回、木村拓哉が演じるのはフランス料理のシェフである。彼のドラマでは、“職業”が話題になることが多い。ピアニスト、美容師、パイロット、カーレーサー、検事、政治家、最近では外科医やボディーガードなど、彼が演じてきた職業は枚挙に暇がない。

 逆に言えば、『HERO』(フジテレビ系)の久利生公平という例外はあったにせよ、彼は特定の役柄を続けて演じることがこれまでほとんどなかった。特定の役柄を演じ続けることで人気を得る俳優も少なくないが、木村拓哉はそうではない。

 そんな彼の生き方を端的に表す言葉、それは「プレーヤー」である。その場で与えられた役柄を全うすること。そんなプレーヤーとしての矜持が、木村拓哉を突き動かしている。かつてインタビューで、彼自ら「僕はもうプレーヤーでいいです」と語ったときの気持ちはおそらくいまも変わっていないはずだ。

 そしてそこに、俳優・木村拓哉の魅力の源泉もある。

 たとえば、彼ならではの受けの芝居の魅力がそうだ。芝居とはいわばチームプレーであり、相手の演技を受け止めることもプレーヤーの大事な仕事だ。

 ドラマ史上に名を残す『ロングバケーション』(フジテレビ系)を思い出してもらえば、そのことは理解してもらえるだろう。山口智子らを相手に見せる木村拓哉の繊細な受けの演技には、ぐっと惹きつけられるものがあった。そしてその魅力は、昨年公開された映画『検察側の罪人』で嵐・二宮和也と対峙する場面などを見ても変わっていない。

 また、プレーヤーとしての成長物語が作品の核になっているとき、俳優・木村拓哉はより輝きを放つ。

 『CHANGE』(フジテレビ系)などは好例だろう。木村拓哉演じる普通の小学校教師が政治家、さらには総理大臣として成長していくプロセスが瑞々しく描かれていたからこそ、クライマックスの20分以上に及ぶワンカットの演説シーンはより感動的なものになっていた。今年公開された映画『マスカレード・ホテル』にも、推理劇としてだけでなく、彼が演じる刑事が潜入捜査でホテルマンになり、職業の奥深さを知っていく成長物語の面白さがあった。

 しかも木村拓哉という俳優が興味深いのは、そうした一つひとつの役柄を演じるうえで独特のアプローチをしているところだ。

 「役になりきることが良い演技」という常識は根強い。しかし木村拓哉の場合は、むしろ真逆のアプローチをとる。彼は、「基本、キャラクターになるのはその人自身。そこでは、その人間のボキャブラリーやパーソナルな部分がすごく反映されていると思う」と言う(木村拓哉『開放区2』)。もちろん役作りを怠るわけではない。だが役のなかに俳優自身の人間性、いわば「素」の部分を反映させることが、木村拓哉にとってはごく自然なことなのだ。

 そのようなアプローチが、何を演じても「木村拓哉」だという声につながっていることは想像に難くない。しかし少なくとも木村拓哉は、自身の演技の方法論として役柄と「素」をあえて分けないことを選んでいる。そのことは知っておく必要があるだろう。

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