“大人数グループ”はなぜ韓国で発展を遂げた? SUPER JUNIOR、IZ*ONEら誕生背景から考察

TWICEとSEVENTEEN、プデュシリーズの流行

 2015年以降、さらに大人数グループが増えるきっかけになったと思われる出来事は大きく分けて2つ考えられる。ひとつは女子ではTWICE(9人)、男子ではSEVENTEEN(13人)のデビューとブレイクだろう。TWICEは少女時代、SEVENTEENはSUPER JUNIORを思わせる人数であり、特にSEVENTEENはSUPER JUNIORが変則的に行ってきたユニット活動をボーカル・ラップ・ダンスという担当パート別に分けて固定したという点が進化系で、同時に13人という大所帯をフルに活用したダイナミックで演劇的なパフォーマンスがシグネチャーでもあり、ある意味でパフォーマンス面における「大人数グループシステム」の究極形とも言えるかもしれない。これらの影響を受けてか、2016年から2017年にかけてはSF9(9人)、PENTAGON(10人)、宇宙少女(13人)、LOONA(12人)、Stray Kids(9人)など、小・中堅クラスの事務所からも大所帯グループの企画やデビューが相次いだ。

IZ*ONE『Vampire』

 もう一つ大人数グループ流行のきっかけになったと考えられるのが、2016年に始まった『PRODUCE 101』シリーズである。シーズン1からデビューした11人組のI.O.Iがブレイクし、続くシーズン2のWanna One(11人)、『PRODUCE 48』のIZ*ONE(12人)が続けて人気を得たこともアイドルシーンのグループ制作に影響を与えたと考えられるだろう。実際、以降のアイドルサバイバル番組からデビューしたグループは10人前後が多い。

 一方、「大人数グループ」の概念を作ったSMエンターテインメントは、2016年から「無限にメンバーが拡張し続けるグループ」という新しい概念のNCTというシステムをスタートさせている。これは、固定のメンバーではなく楽曲やコンセプト毎にメンバーが増えたり入れ替わり、それぞれのユニット活動が前提のシステムである。SUPER JUNIORで頓挫した「メンバーが入れ替わっても継続していくグループ」というコンセプトがベースにあると思われるが、韓国内で男子グループは固定メンバーの集団にファンドムがつきやすいという問題に直面したためか、2018年には18人のメンバーによるNCT2018という固定メンバー内でユニットを組ませるという方向に転換した。2019年現在、曲ごとのユニットであるNCT U、ソウルが活動ベースのNCT 127、未成年メンバーのNCT DREAM、中国活動を目的とした威神Vなどのユニットが存在している。

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