サマソニとSpotifyに共通するマインドとは? 2社のトップが語り合う

サマソニ&Spotifyトップ対談

MGMT、セカオワ、NCT127らブッキングの裏側

ーー素晴らしい考え方だと思います。それぞれのブッキングについてはどのように進めていったのでしょうか。

清水:海外のアーティストは主にうちを中心に動いたんですが、自分たち目線で「夜中に見たいよね」と思ってブッキングしたのはMGMT。コンセプトも含めて本人たちに伝えたら面白がってくれたし、Spotifyというワードにも敏感に反応してくれたのは大きかったです。R3HABも東京→大阪→東京という3連チャンになってしまうにも関わらず「絶対出たい」と言ってくれました。それぞれ、うちからエージェントを介して声を掛けたんですが、Spotify側からも同時に動いてもらったことで、アーティスト側もかなりやる気になってくれたんです。ほかにも海外からは「出たい!」って手を挙げてくれたアーティストが実は何組もいたんですけど、それはまたの機会に。

玉木:国内アーティストはSpotifyを中心に動いたんですが、SEKAI NO OWARIは比較的縁が深いアーティストで、2016年には「Spotify Sessions」に参加してもらったり、最近では渋谷でコラボウォールアートを展開して、本人たちがファンと触れ合うイベントを行ったりしてくれてました。音楽的に見ても海外アーティストとのコラボも積極的に展開していますし、End of the Worldとしての活動もあります。

 amazarashiは強いメッセージ性のあるリリックと、それを活かしたビジュアル面での演出力など、夜中にぴったりな表現方法を持っていて、同じく『東京喰種』で海外のリスナーを多く獲得したTK from 凛として時雨も含めて、敢えて新しいファンに見て欲しいと、夜中のイベントにも関わらずお声がけしました。NCT 127は、2017年の「Spotify on Stage」にも出てくれましたし、日本とアジアを繋ぐアーティストとして彼らがいることは大きいです。

清水:結果、かなりボーダレスになりましたよね。『サマソニ』本編もSEVENTEENやBLACKPINKといったK-POP勢に力を入れたブッキングで、バランスもさらに良くなりました。

ーーもともとアジアの音楽にも力を入れてきた『サマソニ』ならではの花の開き方ですね。

清水:「Asian Calling」ステージとして、アジア圏のバンド・アーティストに多数出てもらってきましたが、それが結果的にメインステージや海外フェスに出演するところまでいってるわけですよ。HYUKOHなんかまさしくそうで、いまや『Coachella』でプレイするバンドにもなった。これを日本のアーティストでもやっていかなきゃいけない中で、今回のような取り組みは非常に意義があると思います。

玉木:「Spotify on Stage」自体のフォロワーも海外には多数いるので、日本のアーティストにとっては今回のイベント出演が世界的な展開に向けてのさらなるブーストになればいいなと思いますし、そうすることで日本・アジア・世界への道筋がだんだん見えてくる気がしています。出ているアーティスト同士でも、NCT127のリスナーとamazarashiのリスナーは同じ海外の方でも全然属性が違うわけですし、極論を言えばセカオワとamazarashiのファン同士でも、お互いすごい発見になるのかもしれません。

ーーこうして同じテーブルに並べることで文脈ができていく、というのは面白いです。

清水:これをただ「MIDNIGHT SONIC」でやっていたら、文脈としてバラバラに見えていたかも。Spotifyという名前があることでしっくりくるというのはすごいですよね。

玉木:今回のようにサマソニにSpotifyの名前を乗せたことで我々2社が歩んできた道のクロスオーバーの文脈が見えれば有り難いですし、音楽ファンがどういう文脈でこういうラインナップになったのかと謎解きをしてくれていたら嬉しいですね。

ーーそうなんですよね。セカオワの最新作を聴いていなかったり、最近の動向を追っていない人間からすれば「なんで?」と思うのかもしれませんが、実際に聴くとぶっ飛ぶくらいの衝撃を受けるという。

清水:彼らにとっては10代のファンが来れない深夜帯でのライブというのは結構な挑戦ですよね。新しいフェーズに入った自分たちを、尖ったリスナーにプレゼンするいい機会でもあるけど。

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