今、ハロプロに何が起こってるのか メンバー卒業&加入、BEYOOOOONDSの躍進などから解説
では新たに加わったのは、どんなメンバーなのか? Juice=Juiceに加わったのは松永里愛(14)と工藤由愛(14)の2名。どちらもデビュー前から、熱心なハロプロファンによく知られた存在だった。松永は、実力診断テスト(Hello! Project 研修生発表会2019 ~春の公開実力診断テスト~)でベストパフォーマンス賞を獲得。完全実力主義で知られるこのイベントで観客を納得させた彼女は生粋のディーヴァであるといえるだろう。
モーニング娘。の新メンバーは北川莉央(15)、岡村ほまれ(14)、山﨑愛生(14)の3人。ハロプロ研修生だった山崎以外の2人は、一般からのオーディション加入である。近年のハロプロでは「オーディション不合格→ハロプロ研修生加入→メンバー正式加入&デビュー」という道が主流になりつつあるので、新鮮な風を吹かせる存在になるだろう。現時点ではまだパフォーマンスに参加しておらず、実質的な合流は秋から始まるモーニング娘。の全国ツアーから。パフォーマンスの実力は未知数ではあるものの、加入時の配信映像で先輩メンバーに容赦なく突っ込むなど、物怖じしない姿勢が喝采を浴びている。
アンジュルムに加わった橋迫鈴(13)は「大豊作」といわれたハロプロ研修生26期の一員。同期がデビューを次々と決めていく中、3年近く腕を磨き続けた。尊敬する先輩にアンジュルム新リーダーの竹内朱莉(21)を挙げていることもあり、ファンも納得の加入劇であった。研修生時代は幼い容姿や発言をからかわれることも多かったが、ここに来て凛とした美少女に進化しつつある点にも注視したい。
グループのリーダー2人を含む3人が卒業し、8人の新人が加入──。これだけ入れ替われば、当然、グループのカラーにも変化が生じている。新メンバー加入によって、ますますパフォーマンスが先鋭化したのはJuice=Juiceだろう。『うたコン』(NHK総合)や『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』などの大舞台に出るたび、「こんなにすごいアイドルがいたとは……!」と“見つかった”状態が続いている。ソウルフルな声の持ち主である高木紗友希(22)と段原瑠々(18)、変幻自在の表現力を持つ宮本佳林(20)、艶っぽいアクセントを随所で与える金澤朋子(24)など、どのメンバーも歌唱エースとしてセンターに立てるような逸材ばかりなのだ。
新章に突入したアンジュルムも、難しい舵取りを竹内が懸命にこなしている。もともと陽気な性格で人望も厚いだけに、メンバーは和田体制と変わらず一枚岩で邁進中。蒼井優と菊池亜希子が編集長を務めた『アンジュルムック』が売れたことで女性ファンもさらに急増しており、ここから一気呵成に上を目指していくことだろう。
カントリー・ガールズ、こぶしファクトリー、つばきファクトリーはメンバー変動がなかったものの、もちろん指をくわえて変革の季節をやり過ごしているわけではない。メンバーはBEYOOOOONDSのメジャーデビューによって尻に火がついたような焦りを抱えているし、曲がり角を迎えるハロプロ内で下克上を虎視眈々と狙っているはずだ。少女たちの熱い夏は、まだ始まったばかりである──。
■小野田衛
おのだ・まもる◎出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆を行っている。ハロプロメンバーへの取材も多数。著書に「韓流エンタメ日本侵攻戦略」(扶桑社新書)、「アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実」(竹書房)がある。芸能以外の得意ジャンルは貧困問題、サウナ、プロレス、フィギュアスケート。