『フジロック2019』出演アーティストの注目ポイントは? 小野島大が来日61組を徹底解説

『フジロック 2019』出演アーティスト解説

7月27日(土)

[Green Stage]

Sia

LSD - No New Friends (Official Video) ft. Labrinth, Sia, Diplo

 クリスティーナ・アギレラやリアーナ、ブリトニー・スピアーズ、ビヨンセ、ケイティ・ペリー、カーリー・レイ・ジェプセン、Maroon 5、エミネムなどが次々と彼女の曲を取り上げる屈指の売れっ子作曲家であり、現代ポップシーンを代表するシンガーソングライターでもあるSia。今年になってディプロやラビリンスとのユニットLSDのアルバム『Labrinth, Sia & Diplo Presents...LSD』をリリースするなど、勢いに乗っています。下積みが長く、前述したように職業作曲家としてのイメージも強く、メディア上でもライブでも素顔を公表しないという方針もあって、謎に包まれた存在ですが、音楽、映像、ビジュアルパフォーマンス、ダンスなどを複合したアート性の高いライブでは定評があります。もちろんダークでエモーショナルな曲調、飛び抜けて高い歌唱力、ハスキーで力強い声など、音楽面でも最高ですが、Sia自身は脇で影のように顔を隠して歌い、中央でSiaの分身であるダンサーが踊るという特異なライブは必見です。フジロックはもちろん初出演。

Sia - Chandelier (Official Music Video)
Sia - Elastic Heart feat. Shia LaBeouf & Maddie Ziegler (Official Video)
Sia 『アライヴ feat. 土屋太鳳 / Alive feat. Tao Tsuchiya』
Sia - Cheap Thrills (Performance Edit)
Sia - Alive (BEST PERFORMANCE - Live From The Graham Norton Show)
Sia 2019 - Chandelier Live | Music And Dance 2019

Martin Garrix

Martin Garrix feat. Bonn - No Sleep (Official Video)

 オランダ出身、弱冠20歳でDJ MAGのTOP DJランキングで1位を獲得、EDM界のトップDJの名を欲しいままにするマーティン・ギャリックス、23歳。2018年2月には平昌オリンピックの閉会式でDJプレイを披露し、日本にも何度か来ています。初のフジロック出演は光や花火やスモークなどど派手な演出と、ポップアンセムの連発で盛り上がることは間違いありません。

Martin Garrix - Animals (Official Video)
Martin Garrix - Live @ Ultra Music Festival Miami 2019

Cake

 アメリカのインディロックの良心Cakeは8年ぶりのフジロック出演です。昨年になって久々の新曲「Sinking Ship」を発表。近々予定されている7枚目のアルバムからの先行シングルと説明されていたので、フジではその新作からの曲も聴けるかも。

CAKE | SINKING SHIP
Cake Live Full Concert In Monaco 2018 HD

[White Stage]

Death Cab for Cutie

Death Cab for Cutie - "Gold Rush" (Official Video)

 昨年、3年ぶり9枚目のアルバム『Thank You for Today』をリリースしたDeath Cab for Cutie。前作のツアーメンバーだった2人が正式加入し5人組になっての一作で、そのメランコリックで美しいメロディラインはますます冴え渡り、叙情的で端正な楽曲の出来はおそらく過去最高レベル。プロダクションの精度や完成度も素晴らしく、全曲泣ける大傑作でした。アメリカンインディの最高峰は、今最高に良い状態にあります。お見逃しなく。

Death Cab for Cutie - Thank You for Today tour Live (Palace Theatre in St Paul, MN for The Current)

American Football

American Football - I Can’t Feel You (ft. Rachel Goswell) [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

 先ごろ3作目『American Football』を発表したばかりポストロック〜エモの代表格。マイク・キンセラ(Vo/Gt)はOwen名義の活動でも知られています。新作はParamoreのヘイリー・ウィリアムスやSlowdiveのレイチェル・ゴスウェルなどがフィーチャリングされ、持ち前の美しく透明感のある音作りがさらに冴えています。2年ぶり3度目の来日、フジは初めてですが、苗場の空気感にすんなり馴染みそう。

American Football - Silhouettes [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
American Football - Every Wave To Ever Rise (ft. Elizabeth Powell) [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
American Football | Pitchfork Music Festival 2017 | Full Set

Courtney Barnett

Courtney Barnett - Charity (Live from Piedmont Park)

 初のフジロック出演となった2015年には、竹を割ったようなきっぷのいいプレイが痛快だったコートニー。2017年にはカート・ヴァイルとの共演作を、昨年はソロ2ndアルバム『Tell Me How You Really Feel』を発表し、順調にキャリアを積み重ねています。今回も彼女の気取らぬ生成りのロックンロールが聴けるはず。

Courtney Barnett - Need A Little Time (Live from Piedmont Park)
Courtney Barnett - Everybody Here Hates You (Official Video)

Unknown Mortal Orchestra

Unknown Mortal Orchestra - Hunnybee (Official Video)

 ニュージーランド出身、現在は米ポートランド在住のルーバン・ニールソン率いる4人組で、昨年4枚目のアルバム『Sex & Food』を、続いて実験的なインストアルバム『IC-01Hanoi』をリリースしています。初期のローファイサイケロックから、アルバムを追うにつれ、80年代R&Bやファンク、ラテンなど、華やかなポップ色を強めてきましたが、『Sex & Food』はポップとサイケとローファイがうまく同居した佳作に仕上がっています。ライブではニールソンの内省的で繊細なボーカルと落ち着いた演奏のバランスが素晴らしいですね。

Unknown Mortal Orchestra - Everyone Acts Crazy Nowadays (Official Video)
Unknown Mortal Orchestra - Can’t Keep Checking My Phone - Live at Coachella 2019

[Red Marquee]

Daniel Caesar

Daniel Caesar "Best Part" Live at Java Jazz Festival 2018

 トロント出身のダニエル・シーザーの艶やかな声と風通しのいいオーガニックなサウンド、シンプルでメロウなネオソウルは、フジロックの空気感にあいそう。ゴスペルの伝統と、同郷のドレイク以降を感じさせる伸びやかなポップ感覚は素晴らしいですね。バラードなど静かな曲が多い印象ですが、ライブではどんな面を見せてくれるか期待大です。

Daniel Caesar & H.E.R. - Best Part, a Visual
Daniel Caesar - Get You ft. Kali Uchis [Official Video]
Daniel Caesar: NPR Music Tiny Desk Concert

Alvvays

Alvvays - Dreams Tonite [Official Video]

 カナダのインディポップ4人組。ハスキーな女性ボーカルをフィーチャーしたノスタルジックでセンチメンタルでメロディアスなドリームポップをやります。垢抜けないSaint Etienneといった感じの素朴なサウンドは、日本人好みっぽい。

Alvvays | In Undertow | CBC Music Festival

Jay Som

Jay Som - Superbike [OFFICIAL LYRIC VIDEO]

 サンフランシスコ在住のを拠点にする女性アーティスト、メリナ・ドゥテルテによるプロジェクト。ドリーミーで内省的なインディ〜ベッドルームポップといった音楽性で、今回のフジロックが初来日。今年夏に3枚目のアルバム『Anak Ko』をリリース予定ということで、そこからの曲もやってくれるでしょう。先行公開された新曲「Superbike」は、これまでになく開放的で躍動感のあるポップ感覚を漂わせて期待できそうです。mitskiといい、最近アジア系女性のオルタナ〜インディロックシーンへの進出が目立ちますね。

Jay Som | Baybee | AEA Sessions
Jay Som - The Bus Song [OFFICIAL MUSIC VIDEO] (Amazon Original)

落日飛車(Sunset Rollercoaster)

Sunset Rollercoaster - Summum Bonum (Official Lyric Video), 2019

 台湾のシティポップス6人組。これまでの2枚のアルバムを発表しており、欧米へのツアーを敢行するなど海外進出にも積極的。初めて聴いたバンドですが、その洗練されたサウンドと美しい楽曲は素晴らしく、英語の歌詞もあいまって、本場のAORバンドを聴いているような気分にさせてくれます。日本のリスナーに馴染みやすそうな感じ。

Sunset Rollercoaster - Slow / Oriental (Official Video),
Sunset Rollercoaster on Audiotree Live (Full Session)

[Trabal Circus]

Jonas Blue

Jonas Blue - Rise ft. Jack & Jack

 ロンドンを拠点とするEDM/エレクトロハウスのDJですが、ポップでメロディアスな歌もののプロデューサーとして連続ヒットを飛ばして、たちまちシーンのトップに上り詰めました。もともと<Defected Records>のメロディアスなポップハウス、ダンスミュージックにハマったというだけあって、楽曲もDJプレイも親しみやすくキャッチーです。1stアルバム『Blue』が大ヒット中。

Jonas Blue - What I Like About You ft. Theresa Rex
Tiësto, Jonas Blue & Rita Ora - Ritual (Official Video)
Jonas Blue | Tomorrowland Belgium 2018

Anna Lunoe

ANNA techno set at CRSSD Fest | Spring 2018

 オーストラリア出身の女性DJ、アンナ・ルノー。それだけでなくシンガーソングライターとしても活躍しています。エキゾティックな美貌も魅力です。DJとしてはテクノ、ヒップホップ、ハウスなど幅広いスタイルをカバーするようですが、個人的にはがっつりストイックなテクノセットでお願いしたいところ。

Anna Lunoe - Creep (Official Visualizer)
Anna Lunoe - Radioactive
Anna Lunoe & Flume - I Met You [OFFICIAL VIDEO]

Bart B More

Bart B More - Superzoom

 オランダ出身のバート・ヴァン・ダー・ミアーことバートB・モアは、マーティン・ギャリックスのレーベル<Stmpd Rcrds>所属として知られていますが、もともとはシカゴハウスやアシッドハウスに影響を受け、本国ではすでに長いキャリアを持つベテランです。DJプレイの基本はグルーヴィなハウスミュージックのようで、大ネタを挟みつつ深夜のレッド・マーキーを気持ち良く盛り上げてくれそう。

Bart B More – The Street
Bart B More & Chocolate Puma - Rising Up (Official Music Video)
Bart B More @ Rocking The Daisies 2018
Bart B More @ Rocking The Daisies 2018

[Field of Heaven]

George Porter Jr. & Friends

George Porter Jr. Trio 4/26/16 New Orleans, LA @ NOLA Crawfish Festival - Nola Brewing Company

 ジョージ・ポーターJr.は、ニューオリンズファンクの伝説、The Metersのベーシスト。70歳を超える今も精力的なライブ活動を行っていますが、今回のフジロックは、「The MetersとNew Orleans Jazzfestの50周年を記念するスペシャルセット」だそうで、ニューオリンズファンクの精鋭メンバーを集めての特別セッションです。

[Gypsy Avalon]

Alice Phoebe Lou

Alice Phoebe Lou - Lou Reed - Walk on the wild side

 アリス・フィービー・ルーことアリス・マシューは南アフリカ出身、ベルリン在住のシンガーソングライター。「ルー」はルー・リード、「フィービ」はフィービ・スノウからとられてるんでしょうか(未確認)。路上演奏で鍛えたという歌はか細いようでいて強靱。どことなくジョニ・ミッチェルを思わせる毅然としたクールさもありますが、実際のライブでは音源以上に表情豊かで親しみすい。去年には日本ツアーを成功させていますが、もっと知られていい才能だと思います。

Alice Phoebe Lou - Something Holy (official video)
Alice Phoebe Lou - Galaxies (official video)
Alice Phoebe Lou Japan Tour 2018 "Take Flight"
Alice Phoebe Lou live at Primavera Sound 2019

[THE PALACE OF WONDER]

Sunnyside

Sunnyside | Disco Banana | Baked Goods Live Sessions

 オーストラリアのジャズ・ファンク6人組。シリアス、ストイックなものではなく、リラックスしたパーティバンドで、クリーントーン中心の隙間の多いラウンジ的なユルさが魅力でしょうか。気持ち良く酔わせ、踊らせてくれそうです。最新作は昨年リリースの『Body Heat』。

Sunnyside - "Stevie Wondering" Live at Yah Yah's 2018

DJ Baby Soul

DJ Baby Soul spinning at Gaz's Rockin Blues

 スウェーデン出身、ロンドン在住の女性DJ。ギャズ・メイオール主催のパーティ『Gaz’s Rockin’ Blues』レジデントDJで、40年代〜60年代のソウル、R&B、ブルース、R&R、スカ、ロックステディ、カリプソ、カントリー、ロカビリー、ゴスペルなどを全て7インチレコードでプレイします。フジロックでもおなじみ。28日のBLUE GALAXYにも出演。

[苗場食堂]

GLEN MATLOCK AND THE TOUGH COOKIES featuring EARL SLICK

Glen Matlock feat. Earl Slick - Pretty Vacant - 229, London - May 2019

 元Sex Pistols→Rich Kidsのグレン・マトロックが、なんと苗場食堂に登場! さらにデヴィッド・ボウイとの共演で知られるギタリスト、アール・スリックがゲスト参加するおまけつき。昨年発表されたグレンのソロアルバム『Good To Go』を受けての来日ですが、万難を排して最前列を陣取りましょう。28日のCRYSTAL PALACE TENTにも出演。

rich kids - rich kids (TOTP78)
Sex Pistols - Anarchy In The UK

Interactivo

Interactivo Live en El Sauce EL PODER DEL AMOR

 昨年も苗場食堂に登場した「キューバの渋さ知らズ」が今年も登場。キューバ伝統音楽にファンク、ジャズ、R&Bなどをミクスチャーした不定形のダン・バンドです。同じ27日に木道亭、28日にはホワイトステージにも出演します。

Interactivo Live en El Sauce VIVO PARA TI

[PYRAMID GARDEN]

Liam Ó Maonlaí

Liam O'Maonlai at Leo's Bar Meenaleck , Co Donegal

 昨年のフジロックで素晴らしいステージを見せたアイルランドの至宝、Hothouse Flowersのリアム・オー・メンリィが、単独でフジロック公演。しかもピラミッドガーデンで一回のみのライブです。それ以上の情報が何もありませんが、おそらくはピアノ弾き語りに近いものになりそう。

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