ichikaというプレイヤーの可能性 独創的なスタイルとInstagramで広がるネットワーク

 4月28日に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で川谷絵音が紹介し、大きな注目を集めたギタリストのichika。2016年にInstagramでの演奏動画の投稿から活動をスタートさせると、瞬く間に国内外から称賛の声が届き、現在はソロと並行して、川谷とのインストバンドichikoroでも活動している。5月7日時点でInstagramのフォロワーは18万人超えで、「日本人のみならず」というよりも、むしろ世界からの注目が先行している感もある中、改めて、彼の魅力と可能性について紹介したい。

 ichikaの楽曲やSNSでの動画におけるテクニカルかつ独創的なプレイスタイルの背景として大きいのは、彼がもともとジャズピアノを演奏していたということ。かつてビル・エヴァンスに憧れてソリストを目指したが、途中でギターに転身し、ソロピアノで描かれるストーリーや感情をギターインストで描くため、ピアノのプレイをギターに置き換えた結果として生まれたのが、あの両手でのタッピングを駆使した奏法なのだ。「ギター以外の楽器をギターで表現する」という発想は、ペトロールズの長岡亮介にも近いかもしれない。

 また、昨年はギターインストの『she waits patiently』と、ベースインストの『he never fades』を同時に発表しているように、ギターだけではなく、ベースをプレイするというのも彼の特徴のひとつ。トレードマークとなったIbanezの7弦ギター(現在は6弦や8弦など幅広くプレイ)は、ピアノやベースにも劣らないレンジの広い音域を奏でるために必要不可欠で、それが彼のプレイの幅をさらに広げることにもなっている。

ichika – illusory sense (Official Music Video)
ichika – he waits patiently (Official Music Video)

 そして、テクニカルなプレイを習得するために重要だったのが、ジャズの次にハマったというメタルで、Iron Maidenにはじまり、Veil of MayaのようなDjentと呼ばれるプログレッシブなメタルを聴き、リフ、コード、リズムなどの面で強い影響を受けたという。これはPeople In The Boxの波多野裕文や、the cabs~österreichの高橋國光といった、日本のポストロック史の中でも異彩を放つ個性的なギタリストにも通じるもの。ポリリズムや変拍子の感覚は、現代のジャズとも通じるものがあると言えそうだ。

 音源で聴くことのできる深いリヴァーブのかかった独特な音質のクリーントーンも彼ならではのもので、そのアンビエント~ニューエイジな音像は非常に現代的でもある。「ギターインスト」にこだわりながらも、ありきたりなプレイスタイルやジャンルの概念からはあらかじめ解放され、「ichika」としてのスタイルを確立しているからこそ、その唯一無二のサウンドを求めて、世界から注目が集まっているのは間違いないだろう。

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