ZAQの変幻自在な楽曲制作術 TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』OP&EDを語る

ZAQの変幻自在な楽曲制作術 TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』OP&EDを語る

 ZAQが17枚目のシングル『ソラノネ』を1月23日にリリースする。

ZAQ / ソラノネ -Music video full size- TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』オープニング主題歌

 このシングルの表題曲は現在放送中のTVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』(TOKYO MXほか)のオープニング主題歌。西部劇のような荒野の風景を美少女たちが駆るレトロな戦闘機が飛び交うこのアニメに、ZAQはナマ感あふれる正統派ビッグバンドジャズとJ-POPの融合という、これまでの彼女のディスコグラフィにはない、しかし確かにZAQ一流のマッシュアップサウンドで応えてみせている。

 さらに彼女は『荒野のコトブキ飛行隊』出演声優陣が歌うアニメのエンディング主題歌「翼を持つ者たち」の作詞・作曲・編曲も担当。一見フォーキーなアレンジに思わずシンガロングしたくなるようなメロディが乗るキャッチーな楽曲でありながら、やはり一筋縄ではいかない、ZAQならではのデコレートが施された1曲で、この曲を含むシングルが1月30日にリリースされる。

 今回リアルサウンドでは『荒野のコトブキ飛行隊』の放送開始と『ソラノネ』『翼を持つ者たち』のリリースを記念して、彼女を直撃。2019年のZAQ、そしてアニメソングシーンを語る上で欠かせない1曲になるだろう「ソラノネ」の誕生秘話と、彼女のキャラクターソング制作術に迫った。(成松哲)

泥臭くもあり、女の子が活躍する絵も見えるジャズサウンド

——新曲「ソラノネ」なんですけど、昨年末のライブで初めて聴いたとき、そのビッグバンドジャズサウンドにビックリさせられたものの、同時に頷けた感じもあったんですよ。

ZAQ:そうですか?

——2018年にリリースしたシングル曲「JOURNEY」しかり、アルバム『Z-ONE』のタイトルチューン「Zone」しかり、ドラム、ベース、ピアノにラッパが乗っかるジャズナンバー、スウィングナンバー、ブラスロックが続いていたから、それがここ1〜2年のZAQさんのモードなのかしら? っていう気がしたので。

ZAQ:ああ、確かに。自分の中で去年、一昨年の一番のキラーチューンに位置付けている「カーストルーム」(2017年8月リリース)っていう曲があるんですけど、あの曲がアシッドジャズで。で、おっしゃるとおり「JOURNEY」は間違いなくジャズだし、「ソラノネ」はその2曲をもっともっとキャッチーに、ポップに振った曲ではありますね。

——なんで今、ZAQさんの中でジャズがキテるんでしょう?

ZAQ:いや、ジャズモードになってるって感じでもないんですよ。鍵盤を突き詰めていこうとするとジャズの勉強って避けて通れないので。

——学生時代から常にジャズには触れていた?

ZAQ:そうですね。で、どんどん知れば知るほどジャズの奥深さがよくわかるというか、ジャズならではのハーモニーの美しさを追究したくなるから、絶えず研究を続けている感じなんです。


——つまりZAQさんの手札の中には常にビッグバンドジャズというカードがあった、と。じゃあなぜそのカードをこのタイミングで切ったんでしょう? 『荒野のコトブキ飛行隊』(以下、『コトブキ』)というアニメにビッグバンドジャズサウンドが似合うと踏んだのか? 逆にビッグバンドジャズをやりたいから、アニメに当ててみたのか?

ZAQ:前者ですね。最初はもっと映画『荒野のガンマン』みたいな泥臭い雰囲気、ドブロギターっていうスチールギターをハードにストロークする感じのカラッと乾いたテキサスサウンドで、というオーダーをもらったんですけど……。

——確かにイントロはスチールギターをかき鳴らして口笛がリードを取る、いかにもウェスタンなムードですよね。

ZAQ:でも全編それだとオープニング映えしなかったんですよね。泥臭くはあるけど、その曲に乗せて女の子が活躍する絵が全然見えなかったから、アイデアを揉んで揉んだ結果、EGO-WRAPPIN’に辿りついたんです。あのお二人は正統派のジャズをご自身のサウンドに取り入れてるんですけど、もっとアッパーで年齢感低めのEGO-WRAPPIN’を目指せばちょっと泥臭くもあるし、女の子が活躍する絵も見えるんじゃないか? って。 それならビッグバンドジャズだろうっていうことになったんです。ただブラスを入れることはアレンジの最後に決めていて、最初にあのシャッフルのリズム、グルーヴを決めて、サビのメロディを作って、そのあとAメロ、Bメロをサビにつなげるように作るっていう順番で書きました。

——これは作曲家・ZAQの特徴だと思うんですけど、メロディやリズムが1曲の中で大胆に変化するにも関わらず、どの曲もすごくスムーズにノレる。「ソラノネ」についてもマイナー進行だったBメロから一気に明るいサビへと転調するものの、Bメロの終わりにカッコいいキメが2発入るから、違和感なく、ただただ盛り上がれるんですよ。それだけに作り手もAメロからサビまで一筆書きのように書いているもんだと思ってました。

ZAQ:むしろそういう曲は少ないんですよ。イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、ソロとそれぞれ全然色やデザインの違う車輌を作っておいて、それを全部エイ! ってくっつけてひとつの列車に仕立てるような感じで曲を作ってるので(笑)。「ソラノネ」にしたってAメロとBメロ、それからイントロは一気に作ったんですけど、それもサビが完成したあとでしたから。あの突き抜けた疾走感みたいなものを感じられるサビありきで、何かが始まりそうなワクワク感のあるイントロのベースラインや、半音で動く不穏なベースラインとユニゾンで歌い出すAメロなんかが生まれたんです。で、このシャッフルビートはかどしゅんたろうさんに叩いてもらいたい、という感じでドラマーをはじめとしたミュージシャン陣も決まっていった感じですね。

——そのいかにもジャズ然としたAメロ、Bメロと、いわゆるJ-POP的なヌケのいいサビという“全然違う車輌”をくっつけてみようと思った理由は?

ZAQ:アニメの制作チームから「サビはとにかく大きく、スケール感のあるもので」ってオーダーされていたっていうのもあるんですけど、私自身、サビで圧倒的な突き抜け感を表現したかったんですよ。だから先ほどおっしゃっていたサビ前の二段階のキメを挟むことで、ちょっと不気味な場所から一気に明るい方向へと階段を掛けていく感じにしたくて。アニソンファンって「さあ、ここからサビだよ!」っていう爽快感のある展開や転調にちゃんとビビッドに反応してくれるっていうのもあって、逆算的にAメロ、Bメロを渋めにしたかったし、そのキメを抜けたサビ頭の歌詞は〈飛び立つ〉にしたかったんですよね。サビはメロディも大きいことだし、歌詞もバーンッと大きなものにしようって。

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