Awesome City Clubのバックグラウンドにある幅広い音楽地図 今夏の新曲プレイリストから紐解く

Awesome City Clubのバックグラウンドにある幅広い音楽地図 今夏の新曲プレイリストから紐解く

 7月には『フジロックフェスティバル ’18』のRED MARQUEEへの出演を果たし、8月には2020年のカルチャーフェス開催に向けた主催イベント『Welcome to AwesomeCITY Vol.0』を開催するなど、充実した夏を過ごしたAwesome City Club(以下、ACC)。そんな季節の幕開けを飾った配信シングル『SUNNY GIRL』の発表に伴い、彼らは「ACCの新曲『SUNNY GIRL』を知るための10曲」というプレイリストを公開していた。

 ストリーミング時代に突入し、海外ではアーティストが自らの影響源やお気に入りの曲をプレイリストにして公開するケースが増えていたが、これまでも新しいツールを積極的に活用してきたACCだけに、非常に彼ららしいアクションであり、その選曲自体も非常に興味深いものであった。

 「SUNNY GIRL」でテーマとして掲げられていたのは“レトロソウル×エレクトロ”。これまでも生演奏と打ち込みをオーガニックに融合させて、ソウルやファンクを今に更新してきたが、「SUNNY GIRL」ではクラップやタンバリンを用い、60年代のスタックスやモータウンを連想させる跳ねたリズムを基調としながらも、ホーンやオルガンといった生楽器ではなく、シンセサイザー/シンセベース、ボーカルエフェクトなどを組み合わせることで、新たな質感の楽曲が生まれている。そして、この曲をさらに紐解くためのヒントが、プレイリストに詰まっているわけだ。

 10曲の内訳は、海外アーティスト4曲、国内アーティスト4曲、そして、ACCの過去曲が2曲。まず海外アーティストから見てみると、ジャネール・モネイ「Tightrope(feat.Big Boi)」、ベック「Up All Night」、メイヤー・ホーソーン「Back Seat Lover」、エル・キング「Ex’s & Oh’s」といった並びで、いずれも2010年代に発表された曲であり、ブラックミュージックをそれぞれの形でモダナイズしているという意味で、「SUNNY GIRL」と通じていると言えよう。

 一番直接的なリンクが感じられるのはメイヤー・ホーソーンだろうか。一聴シンプルながら、洗練されたアレンジメントは流石の一言で、過去へのオマージュを忍ばせつつも、さりげないシンセ使いなどが現代性を感じさせる。涼しげなハーモニーやトレモロのかかったエレピなど、まさに「夏に聴きたい一曲」でもある。

 また、エレクトロ寄りのベック、ブルース寄りのエル・キングもさることながら、新作『Dirty Computer』も話題のジャネール・モネイによるレトロフューチャーな独自の質感は、現在のACCにとってのひとつの指標となっているのではないだろうか。

 一方、国内アーティストはというと、Mr.Children「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」、斉藤和義「ずっと好きだった」、KIRINJI「グッデイ・グッバイ」、大橋トリオによる小沢健二のカバー「ラブリー」の4曲。KIRINJIに関しては、かつて「エイリアンズ」をカバーするなど、かねてから影響を公言しているだけに、独特なコード進行などは今回も大きなインスピレーション源になっていると思われる。

 Mr.Childrenと斉藤和義に関しては、それぞれの曲がエルヴィス・コステロとチャック・ベリーのオマージュ的な曲であることもポイントだが、ここでより注目すべきは歌詞だろう。「SUNNY GIRL」は溢れ出す〈君〉への想いを男目線で歌った一曲であり、「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」も「ずっと好きだった」も、同様のモチーフをユニークな視点で描いていることが共通点。「ラブリー」も同じく〈君〉について歌っているが、こちらはアコースティック寄りなアレンジによって、夏の夜に聴きたい一曲となっている。

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