LACCO TOWERは比べようのないバンドへと成長している 結成16周年ライブ『黒白歌合戦』を見て

LACCO TOWERは比べようのないバンドへと成長している 結成16周年ライブ『黒白歌合戦』を見て

 LACCO TOWERがバンド結成日を照準に毎年開催している『黒白歌合戦(こくはくうたがっせん)』が、今年も恵比寿リキッドルームで開催された。なんと今年は「白の日」「黒の日」に分けての2日間公演という、コンセプチュアルなアプローチである。しかもこの『黒白歌合戦』の開催に際して、オフィシャルサイトでは“趣旨書”というか、高級料亭の季節のお品書きのような、もしくは絵画展の案内のような(それはメインビジュアルをかの“鳥獣人物戯画”から引用しているせいもあるのだが)コーナーを設ける念の入れよう。しかも2日間に分け、どちらの日に参加するのか? 悶々とするファンのために1曲の未定曲以外が曲順不同で、あらかじめ演目(演奏する楽曲)が公開されるという、バンド結成日にメンバー自らがお客様(ファン)をおもてなしするかのような準備が整えられていたのである。

 昨年は一部を「白」、二部を「黒」に分け、衣装も和装と洋装に分けるという、情報量の多い展開だったが、今年は2日間公演ということで、1日に賭ける熱量を重視し、量より質のサービス(!?)へ、趣きをシフトした印象だった。ちなみに白と黒の定義は「これまで“日本語1つのワード”で曲のタイトルを統一してきた我々。その曲たちが持つ、激しさや柔らかさ、歌詞の世界観やその内容において、メンバー自体が“白い曲”黒い曲”の2つの世界を軸に曲を振り分けることが多くありました」(引用:オフィシャルサイト)と、サイトの説明にもあるが、彼らの曲の世界観はメジャーコードで開けていくメロディを導き出したり、逆にマイナーコードでアグレッシブな展開を構成したりしている印象だ。メジャーデビュー以降は自然とメジャーコードだがどこか切ないLACCO TOWERの表現の心臓とも言える日本語の美しさが映える“白”の世界観を持つ楽曲、たとえば「薄紅」や「遥」といった名曲が、バンドの表現の幅を拡張してきた。つまり、“白い曲”の充実によって、『黒白歌合戦』はさらに意義のあるものになってきたのだ。

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松川ケイスケ
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 筆者が見たのは2日目の「黒の日」。あらかじめ演目(演奏する楽曲)が公開されているので、ファンのイントロ一音一音への反応が凄まじい。ちなみにこの日、メンバーはブラックスーツなど、かなりフォーマルな出で立ちでステージに登場し、松川ケイスケ(Vo)にいたってはこの日初めて前髪を上げてライブに挑んだという。ドラキュラ伯爵やモンテ・クリスト伯を想像させるビジュアルであった。選曲は2009年『短編傷説』収録の「苺」から、唯一非公開だったアンコールでの新曲「狂喜乱舞」(8月22日リリースのメジャー4thアルバム『若葉ノ頃』収録)まで、新旧のレパートリーを散りばめていた。いわばキラーチューンばかりの選曲であるし、基本的にハードかつエッジーな攻めの選曲なのだが、今のLACCO TOWERの各楽器の音の良さと、ボーカルを含めたバランスの良さにこの日は特に圧倒された。

 テンポチェンジやコード感の変化がまさに狂騒的な2017年『遥』収録の「純情狂騒曲」の統制され、研ぎ澄まされたアンサンブル。2012年『心枯論』収録の「仮面」での〈研いだ刃は いつの日か戦うためとか 御託を並べては 仕舞う現実〉という歌詞の符割から、LACCO TOWERのメロディがどこか唱歌に近いことを感じさせる。日本人のDNAを呼び起こす理由を改めて実感した。非常にハードでアグレッシブな演奏の中に、日本的な叙情もあり、確実に心が反応しているのがわかる。

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