LACCO TOWERは比べようのないバンドへと成長している 結成16周年ライブ『黒白歌合戦』を見て

LACCO TOWER『黒白歌合戦』レポ

 また、すでに加入から5年が経つが、ここにきてギターの細川大介が楽曲ごとのアプローチを鮮明に構築しているのも見事だった。基本的にハードロックギターの王道を行きつつ、2014年『狂想演奏家』収録の「橙」ではストラトでブルースやジャズをイメージさせるフレージングを際立たせ、彼がギタリストとして自信を持って的確な演奏をすることで、1曲1曲の情景が浮かび上がり、松川の歌にも集中できる。今のアンサンブルの完成度の高さは、LACCO TOWERの文学性や日本語表現の美しさをさらに一歩も二歩も推し進め、初見のオーディエンスにも唯一無二のバンドであることを即座に感じさせるに違いない。ビジュアルの洗練とともに、他とは比べようのないバンドへと成長しているプロセスを、結成16周年ライブでしっかり証明したのだ。

 アッパーな楽曲ではダイバーやリフトも出現するエクストリームなライブだが、同時に夕立の前の土の匂いや、闇夜の心許なさ、涙が出るような夕焼けの美しさ、そんな五感を震わせる何かが今のLACCO TOWERのライブでは、スケールアップして再び強く実感できる。新作『若葉ノ頃』で感じ取れる叙情に気持ちははやるばかりだ。

(写真=Masanori Fujikawa)

■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Qetic」「SPiCE」「Skream!」「PMC」などで執筆。音楽以外にカルチャー系やライフスタイル系の取材・執筆も行う。

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