『カセットテープ少年時代 80年代歌謡曲解放区』発売記念インタビュー
マキタスポーツとスージー鈴木『カセットテープ少年時代』インタビュー “理系的”音楽分析のススメ
マキタ「次の世代に渡すのが役割」
ーー番組ではシンガーソングライターの河村唯さん(通称、うめ子)が登場することで、若い世代の方とのトークを展開していますが、お二人の話を聞いて『北の国から』が気になってドラマを見てみようと言っていたのが印象的でした。(※書籍P151)
スージー:そういう効果もあるかもしれないですね。この本を読んで若い方が見てみよう、聴いてみようと繋がっていく。
マキタ:おいしくものを食べている人がいたら、同じものを食べたくなったりするじゃん。本当は生姜焼き定食を食べに行こうと思っていたのに、隣の人がとんかつをおいしそうに食べていたら、「とんかつで!」って言っちゃうような感じ。すごく分析的に語っている部分もあるけれど、熱い部分もある。そもそも興奮していなかったら、そういう分析とかしてなかったはずだからね。
スージー:とんかつ定食を、総論としておいしいよって言ってるんじゃなくて、とんかつ定食の横に積まれているキャベツの千切りの仕方を語る、とかね(笑)。そういう話です。
ーー番組で行われているオマージュ企画、レコード大賞ならぬ「輝く!日本カセットテープ大賞」 、「カセットテープ紅白歌合戦」とすごく面白かったです。今後やってみたい企画はありますか?
スージー:たくさんあります(笑)。「カセット24時間テレビ」とか、QVCのショッピング番組の中にたまにギターを弾いて入っていくとか。あとは「27時間テレビ」もありますね。
マキタ:「カセット甲子園」とか! 高校で分けてね。
スージー:「47都道府県出身ロック」で。トーナメント戦で、おそらく準決勝は東京対広島。福岡も強い。
マキタ:本当に甲子園みたいな感じだね、結局(笑)。神奈川と大阪も強そう。
スージー:神奈川! ああ、野球の強豪校はロック校なんだ!
マキタ:東京とか福岡とか神奈川とかが本当に強いかもしれませんね。ロックの歴史の中で、さっき言った出身地で組んだらおもしろい。いやー、広島対東京の決勝戦が観たい。夢の共演になるからね。
スージー:東京出身……先発、佐野元春さんですよ東京は。広島の一番セカンドは奥田民生さん。
マキタ:あはは(笑)。佐野さんいきますか。すごい対決だねそれ。永ちゃん(矢沢永吉)とか、DHででてくるとか。
スージー:奥田民生さんが1番、2番原田真二さん、3番世良公則さん、4番矢沢永吉さん、5番吉田拓郎さん、6番西城秀樹さん! あとは乱闘要員で吉川晃司さんがいますからね。
マキタ:西城秀樹さん、そうか! 広島だ!
ーー乱闘(笑)。
マキタ:吉川晃司さんの乱闘はもったいないでしょ! かっ飛ばせ、かっ飛ばせ、クリーンナップだよ。
スージー:バク転しながら出てきますよ。この広島対東京やりたい。我ながらおもしろい。
ーー最後にこの書籍が気になっている方に向けて一言ずつお願いします。
スージー:日本ロック評論界の、“読ませる分析”です。いままでロックは感覚と感性で語られることが多かったですが、これで一つ理系的な物差しができたんじゃないかと思います。ぜひ一家に一冊。ホテルにもおいていただいて(笑)。
マキタ:若い人にも読んでもらいたいですね。間違えて手にとって欲しい(笑)。でもほら、最近……こんなこと言ったらいけないけど、いわゆる大物アーティストっていないでしょ。もうちょっと時代的に寝かせたら、語るべきアーティストとかも出てくると思うんだけど。我々は、超大物と言えるアーティストがいた、ポピュラーミュージックが急激に豊かになっていった時代を経験している。僕らは世代的にもこれまで語られてこなかった部分をまとめて、次の世代に渡すのが役割だと思っています。若い人たちにも読んでもらって、90年代以降の、例えば浜崎あゆみさんとかを語ってもらってもいいかもしれません。
スージー:「ミニディスク少年時代」っていうコーナーとして、一世代下の人たちが語るとかね。
マキタ:「MD」だったら歴史がちょっとしかないけどね(笑)。
(取材・文=柚月裕実/写真=神保達也)
■発売情報
『カセットテープ少年時代 80年代歌謡曲解放区』(KADOKAWA)
監修・協力 ザ・カセットテープ・ミュージック、マキタスポーツ、スージー鈴木
定価 1,500円
発売日:2018年6月1日(金)
公式サイト