アーティストが語る“ミュージックヒストリー” 第二十四回:JY

ラナ・デル・レイ、中島美嘉、YUI……JYが影響を受けた“映画にまつわる音楽”

 隔週木曜日の20時~21時にInterFM897でオンエアされているラジオ番組『KKBOX presents 897 Selectors』(以下、『897 Selectors』)。一夜限りのゲストが登場し、その人の音楽のバックボーンや、100年後にも受け継いでいきたい音楽を紹介する同番組では、ゲストがセレクションし、放送した楽曲をプレイリスト化。定額制音楽サービスKKBOXでも試聴できるという、ラジオと音楽ストリーミングサービスの新たな関係を提示していく。3月29日の放送には、28日に最新シングル『星が降る前に』をリリースしたばかりのJYが登場。“自身が影響を受けた音楽”と“100年後に残したい音楽”を紹介する。今回はそのプレイリストから彼女の音楽性を掘り下げるべく、同回の収録現場に立ち会った模様の一部をレポートしたい。

ラナ・デル・レイ「Young and Beautiful」

 JYがまず「10代20代の節目となった曲」として挙げたのが、ラナ・デル・レイ「Young and Beautiful」(アルバム『ミュージック・フロム・バズ・ラーマンズ・華麗なるギャツビー』収録)。幼少期のころから幅広く音楽を聴いてきたというJYは、役者・知英としても活躍中だ。彼女が感動したという映画『華麗なるギャツビー』に登場した聞き慣れた声、それがラナ・デル・レイのものだったという。「私が歳を取っても、何もなくても愛してくれるの?」という内容の歌詞もお気に入りだそうだ。JYの音楽性はデビュー以降も目まぐるしく変化しているが、最近の作品ではより洋楽的なサウンドを志向し、気鋭のクリエイターたちともコラボレーションしている。そのルーツにこの楽曲があるというのは、納得のいく結果だ。

Awesome City Club「Magnet」

 続いて20代で印象に残っている楽曲として挙げたのは、Awesome City Clubの「Magnet」。Awesome City Clubは前回のゲストであるPORINの所属するバンドであり、この曲は先日リリースされたばかりの新アルバム『TORSO』に収録されている。そしてJYが主演を務めた映画『レオン』のエンディングテーマだ。彼女はこの楽曲について、「初めて長編映画の主演を務めた作品なので、その楽曲にも思い入れが深い」と述べた。また、JYが「音楽を始めてから影響を受けた曲」として挙げたのが、NANA starring MIKA NAKASHIMA「GLAMOROUS SKY」(アルバム『THE END』収録)。これも映画と紐づいた名曲というセレクトだ。彼女は中学生のころに初めて日本の映画作品に触れ、この楽曲を映画『NANA』で知ったことで衝撃を受けたという。この映画をきっかけに日本の世界に興味を持ったという意味では、現在の活動にはなくてはならなかった作品であり楽曲ということだ。

YUI「Good-bye days」

 同じテーマでもう一曲ピックアップしたのは、YUI「Good-bye days」(アルバム『CAN'T BUY MY LOVE』収録)。JYは映画『タイヨウのうた』主題歌であるこの曲と映画自体に影響を受け、ギターを始めたのだという。現在もギターは練習中で、ワンマンでも何度かステージの上でプレイすることもあった。現在はそんな影響源であるYUIと同じレーベルに所属しているというのも、何かの縁だろう。

 なお、番組ではほかにも、JYの“100年後に残したい音楽”や、新シングル『星が降る前に』の紹介も行われた。デビュー以降、様々な音楽性を追求してきたJY。今回のプレイリストと、それに紐づく映画を見れば、その表現の根幹が少し理解できるはずだ。

(文=中村拓海)

■番組情報
KKBOX presents『897 Selectors』
DJ:野村雅夫 
放送日:毎月第一・第三週木曜20:00からInterFM897でオンエア
番組ホームページ

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