多様化する音楽オーディションの新潮流は? SNS時代の新機軸プロジェクト『Feat.』から考察

音楽オーディションの潮流を読む

 良質で新鮮な音楽のトレンドを作ることは、世界的に現代オーディションの基礎となっている。この潮流を作ったのは、2004年にイギリスで始まったオーディション番組『Xファクター』であることに間違いない。

 One Direction、Fifth Harmony、Little Mix、オリー・マーズ、ジェイムス・アーサー、JLSなど世界中のチャートやライブに影響を与える錚々たる国際派”新人”ポップスターを輩出してきた同番組は、それまで音楽業界に限定されていたオーディションの世界に、一般視聴者とマスメディア、SNSを巻き込むことで注目を浴び、それまでの新人発掘の概念を覆した音楽史上に残る歴史的な成功例だ。

 とりわけ、番組放送毎にオンエアされるライブパフォーマンスの審査基準を審査員だけでなく一般投票にまで拡大した投票システム、ファイナリストにフォーカスしたドキュメンタリータッチのストーリーテリングの要素は、デビュー以前からアーティストを応援したくなるファンとの繋がり開発として見事に機能している。こうした番組の取り組みは、SNSにトレンドとして表れ、音楽メディアはこぞってニュースとして取り上げるほど話題性を振りまくため、番組を卒業したアーティストたちは獲得した固定のファンに支えられ、その後の活動を続けることができるのだ。

 そういう意味で『Xファクター』が生み出したトレンド作りの考え方がソニーミュージックの『Feat.』から感じられ、今の時代性とシンクロしている。TwitterやInstagramが普及しつつある中、SNSから音楽のトレンドを作りファンベースに影響力を持つ新世代のアーティストを見つけ持続させることは、他のエンタメコンテンツと競わなければならない現代の音楽業界が抱える一つのチャレンジである。

 逆に、昨今のオーディションから人々に驚きや新しさ、感動をもたらす才能が見つけられれば、日本の音楽シーンはエンタメ市場において唯一の存在価値を発揮するに違いない。そのためにもSNSや動画配信、ストーリー型コンテンツ、リアルイベントなどあらゆる場所でファンの動きを可視化することは、オーディションの新潮流となるはずだ。『Feat.』から今後どのような音楽トレンドが生まれるのか、SNS時代の新しい新人発掘の形としてさまざまなヒントが見えてくるはずだ。

■ジェイ・コウガミ
デジタル音楽ブロガー。音楽ブログ「All Digital Music」編集長。ブロガーとして音楽サービスや音楽テクノロジーなど、日本のメディアでは紹介されない音楽の最新トレンドを幅広く分析し紹介する活動を行う。オンライン、雑誌に寄稿するほか、講演やテレビ、ラジオなどで活動。日本初ITx音楽のハッカソン「Music Hack Day Japan」審査員。オレゴン州ポートランド育ち。趣味はアナログレコード集め。http://jaykogami.com

■オーディション情報
『Feat.ソニーミュージックオーディション』
グランプリ賞品:「あなたの叶えたい夢への応援券」プレゼント
※ソニーミュージックで応援できること、もしくは300万円以内でできることに限る。
応募スケジュール:1月22日(月)12:00~4月16日(月)17:00
1次審査[書類審査]期間:2018年5月中旬までに通過者にのみメールにてご連絡
2次審査[対面審査]期間:2018年5月中旬~6月中旬 通過者にのみご連絡
ファイナル審査期間:2018年7月~10月
募集要項:音楽でトレンドを作れるアーティスト、バンド、グループなど
※性別不問、年齢不問、特定のレコード会社との所属契約がない方に限る。
応募方法:「Feat.ソニーミュージックオーディション」特設ページに掲載されている応募フォームに必要事項を入力
※WEBのみで受け付け。

オーディション特設ページ

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