香取慎吾を突き動かす“原動力”とは? 20年前から変わらないスタンスを読み解く

「とにかくあまり細かい記憶はないんだけど、記憶がないくらいでよかったなって。もし今ぐらい色々と考えられる頭があったら、耐えられないくらいに動いてたんじゃないですかね」

 香取慎吾が、2月10日発売の雑誌『POPEYE』に登場し、20歳のころを振り返った。香取は10歳でジャニーズ事務所に入り、11歳でSMAPとしてデビュー、19歳のときには『透明人間』(日本テレビ系)で連続ドラマ初主演、そして『SMAP× SMAP』(フジテレビ系)をスタートさせていた。20歳のころといえば、私たちの知る“慎吾ちゃん”というパブリックイメージが確立し、お茶の間に浸透していったころ。 国民的アイドルへの階段を駆け抜けていった、まさに真っ只中だった。

 「高速で動く人の時間は遅くなる」とは、アインシュタインの相対性理論で有名な現象だが、香取の半生は一般的な人のそれと比べると光の速さほどだったのではないか。もしかしたら、圧倒的なスピードで動き続けた結果、彼の中の時計は私たちよりもずっと遅く進んでいるのかもしれない 。そう考えると、香取には確かなキャリアに裏付けされたオーラがあるのに、みんなの“慎吾ちゃん”という親しみやすさが根底に流れているのも納得だ。40代の今も、変わらぬ心の若さを感じさせる。

 「大人にはなりたくない、いつまでもこのままでいたいな、と思っていたような気がします」と、20歳のころの記憶を手繰り寄せる香取。人は20回誕生日を迎えれば、誰もがハタチになる。だが、一律に“大人になる”わけではないのだろう。香取のように、若くして多くを経験したからこそ、“大人”という概念へのハードルが高くなることもあるのではないか。 また“大人になる”という言葉には、若さ特有の勢いにブレーキをかけるようなイメージもある。次々と目の前に見えるハードルを飛び越えて、飛び越えて、飛び越え続けた人だけが見えるスターダム。減速させたり立ち止まったりすることなど、考えられない。そんな日々だったに違いない。

 そうして20年。香取は、稲垣吾郎、草なぎ剛と共に、また新しい道を走り始めた。40代でWebという未知なる世界を開拓し、これまで使ったことのないSNSを手に、インターネットテレビで72時間生放送に挑んだ。その後も、新しい挑戦は続く。映画『クソ野郎と美しき世界』の撮影をしながら、稲垣とサントリー新オールフリーのCM撮影対決をLIVE配信したり、4月からの7.2時間時間の生放送レギュラー番組が決定したり。雑誌『芸術新潮』で横尾忠則とアーティスト対談を繰り広げたり、女性ファッション誌『InRed』に初めて登場したり……。3人揃って雑誌『JUNON』に、16年ぶりの再登場も果たすことでも話題になっている。

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