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北野創の新譜キュレーション 第1回

寿美菜子、大原ゆい子、堤博明、rionos、『アイマス』新曲……声優・アニメ音楽の多様性示す新譜5選

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 はじめまして、ライターの北野と申します。このたびリアルサウンド編集部より「アニメソングの魅力を音楽的な切り口からガッツリ紹介してほしい!」と仰せ付かりまして、新しく「新譜キュレーション」を担当させていただくことになりました。よろしくお願いします。

 さて、アニメ音楽にはアーティストやアニソン専業のシンガーなどが歌う主題歌(および劇中歌)から、アーティスト活動を行う声優による声優ソング、キャストがキャラクター名義で歌うキャラクターソング、作品世界をサウンド面で演出する劇伴音楽といったように、色々な様式が存在しています。もちろん、みんなちがってみんないいわけですが、今回は初回ということもあるので「アニメ音楽の多様性」というテーマで、それぞれの様式から注目作を紹介していこうと思います。

 まず、ここ数年にアニメ音楽界隈で勢いを増しているのが声優ソングの分野と言えるでしょう。もともと林原めぐみや坂本真綾、水樹奈々のように、歌手活動にも軸足を置く声優はたくさんいましたが、2000年代以降『魔法先生ネギま!』や『けいおん!』のようにアニメ作品と音楽を結びつけた、キャストによるライブイベントの展開が増えたこともあってか、声優のマルチタレント化が加速。歌やパフォーマンスのスキルやタレント性を有する声優が注目を集めるようになり、2010年代には数多くの声優がアーティストデビューしていきます。

寿美菜子『emotion(初回生産限定盤)』

 そんななか、2010年にソロ歌手デビューしたのが、先述の『けいおん!』に琴吹紬役で出演していた寿美菜子。彼女は2009年に声優ユニット・スフィアの一員として音楽活動をスタートさせていましたが、ソロではアニメタイアップとはほぼ距離を置いて、自分らしさを表現した等身大のガールズポップ作品を届けてきました。3rdアルバムとなる最新作『emotion』では本人が初めて作詞にもチャレンジ。ジャングルビート(ボ・ディドリーの方です)を高速化したようなリズムに乗って威勢よく突っ走るリード曲「Ambitious map」を筆頭に、王道EDMライクな「LOVE JOY FUN」、ファレル・ウィリアムス「Happy」以降を思わせるソウルフルなビートを敷いた「I wanted to do」、シンガロング必至のアンセム系ダンスポップ「feel in my heart」など、洋楽好きとして知られる彼女の趣味嗜好が反映されたのであろう一枚になってます。カーリー・レイ・ジェプセンなどが好きな人なら気に入るはず!

 続いては2018年1月クールにスタートしたテレビアニメより、『からかい上手の高木さん』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマに起用されている大原ゆい子の新曲「言わないけどね。」をピックアップ。もともとライブハウスを中心に弾き語り活動を行うシンガーソングライターだった彼女は、2015年にアニメ映画『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』の主題歌「Magic Parade」で<TOHO animation RECORDS>よりメジャーデビュー。以降、アニソンシンガーとしても注目を集め、アニメ『宝石の国』のエンディングテーマ「煌めく浜辺」では鈴木慶一に曲提供を受けて、童話のようにファンタジックな歌世界を広げてみせました。

大原ゆい子『言わないけどね。(アーティスト盤)』

 それに続くシングル曲「言わないけどね。」は、中学生の少年少女たち歯がゆくもニヤニヤとなってしまう交流を描いたラブコメディ作品の主題歌ということで、学校での情景や淡い恋心を表した歌詞は誰もが共感を抱ける内容に。主役のスウィートな歌声と陽性のメロディが、軽やかなグルーヴを纏うバンドサウンドにマッチした上質なポップソングに仕上がっています。楽曲のテーマ性も込みで、井上苑子や瀬川あやかのような女性シンガーソングライター作品に通じる雰囲気があるかも。また、本人が作詞・作曲を行っているという点も重要で、これまでにも『干物妹!うまるちゃんR』などのアニメ作品にキャラソンを楽曲提供をしていることから、今後クリエイターとしてのさらなる活躍も期待されます。

 そんな『からかい上手の高木さん』において劇伴音楽を担当しているのが、ミラクル・バスに所属する作曲家/編曲家の堤博明。同アニメにおいてはリコーダーの音色を中心に学校生活を思い起こさせるBGMで作品を彩ってますが、ここでは彼が音楽を担当した昨年放送のテレビアニメのサントラ『TVアニメ『クジラの子らは砂上に歌う』オリジナルサウンドトラック 心(きろく) 〜Record〜』をご紹介します。砂漠を漂白する島のような船〈泥クジラ〉を舞台にしたハイ・ファンタジー作品となる本作の音楽は、ドイツでの60人編成によるオーケストラ録音やクワイアによる合唱を含む荘厳なものに。また、ギタリストでもある堤は世界各国の弦楽器を集めたり演奏するのが趣味とのことで、今回もマンドリンやスパニッシュ・リュートなどの音を取り入れて異国情緒溢れる不思議なサウンドを構築しています。とりわけ、泥クジラを象徴する謎の少女・エマ(CV:加隈亜衣)による劇中歌「光の唄」は、ネリとエマという二重の存在である彼女の性質を、加隈の多重録音による輪唱や重層的なコーラスで表現した、クジラの世界の音楽でなければ生まれ得なかったであろう幻想的な逸曲です。

      

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