YAMATOがNAOTOと語る、NEENEEの“混然一体”の魅力「背伸びせずにありのままでいること」

NEENEE、“混然一体”の魅力

 ORANGE RANGEのYAMATO(Vo)、MONGOL800のTAKASHI(Gt)、RYUKYUDISKOのTETSUSHI(DJ)、そしてバンドのマネージャーも務めるSEIJI(Ba)による沖縄在住のバンド、NEENEE(ニーニー)。彼らが2014年のデビュー作『N1』以来となる2ndアルバム『N2』を完成させた。作曲のほとんどをTETSUSHIが、作詞のほとんどをYAMATOが担当した『N1』に対して、この『N2』ではメンバー全員が作詞/作曲により流動的に貢献。エレクトロを基調にしつつも、様々なジャンル/要素がより混然一体となったサウンドを鳴らしている。今回リアルサウンドでは、メンバーのYAMATOと、彼のORANGE RANGEでの相棒かつTETSUSHIの実弟で、10曲目「最初で最後のダンス」にゲスト参加したNAOTOの2人に取材。沖縄で「長男」や、血が繋がっている/いないにかかわらず親しい間柄に使われる「お兄さん」という意味の言葉を冠したバンド名の雰囲気そのまま、人気ミュージシャンたちが親密な雰囲気で音と戯れるNEENEEのバンドとしての魅力や、ORANGE RANGEとの相互作用について聞いた。(杉山仁)

ひとつのジャンルに偏ってはいない感じがこのバンドならでは(YAMATO)

ーーNEENEEはもともと、TETSUSHIさんのソロプロジェクト、ORIONBEATSのアルバムにYAMATOさんやTAKASHIさんが参加した際、レコーディングがあまりにもスムーズに上手く進んだことから、「これをゲスト参加だけで終わらせるのはもったいない」という話になったことが結成のきっかけになったそうですね。

YAMATO:一番最初のきっかけはそうだったと思います。TETSUSHIは、ORANGE RANGEの作品でもずっとリミックスをやってくれていましたけど、スタジオで一緒に作業をしたのはそのタイミングが初めてでした。実は、そのときのエンジニアさんはずっとORANGE RANGEで一緒に作業をしてきた方だったので、だからこその呼吸や流れのようなものが、TETSUSHIたちには衝撃的だったのかもしれないですね。その要領のよさや速さも含めて、「もっとやってみたい」というきっかけになったのかなぁ、と。

ーーNAOTOさんからすると、ORANGE RANGEの仲間が実のお兄さんとバンドを組むことになったわけですよね。その様子をどんな風に見ていたんですか?

NAOTO:最初に思ったのは、「僕も入りたい!」ということですね(笑)。ただ、僕は三男なんで、第一次審査で落ちました。NEENEEは長男の集まりなので。

YAMATO: NAOTOは最初の頃、「入りたい! 入りたい!」ってずっと言ってたんですよ(笑)。

NAOTO:だって、めちゃくちゃ楽しそうじゃないですか!

ーー確かに、NEENEEには沖縄を拠点に活動を続けてきたミュージシャンたちが地元で集まって、ひたすらワイワイ楽しんでいるような雰囲気がありますよね。

YAMATO:実際、NEENEEは本当にただ楽しんでいるような感じで、感覚的には「遊び」に近いんです。放課後に集まって、みんなでワイワイしている感じというか。それに、普段はそれぞれ違う活動をしているミュージシャンの集まりなので、そもそも「どんな音楽にしよう?」「どんなバンドにしよう?」ということが、最初から決まっていなかったんですよ。それで、「こんな音はどう?」と色々とアイデアを出し合って、「ああ、いいね」「それもいいね」とみんなで盛り上がって……。その結果、バンド自体の方向性がどんどん変わっていきました。TETSUSHIがベースとなる部分を持ってきて、そこにTAKASHIがアレンジを加えて、僕もそこに入って、SEIJIさんも「やっぱりこれじゃない?」と乗っかってきて……という大雑把な流れはありますけど、その中で誰かが「こうしたい」と言うとみんな「いいね」って受け入れるので、結局初期段階とは全然違うものになるというか。

ーー演奏しているうちに、バンドの方向性自体がどんどん変わっていくんですね。

YAMATO:本当にそうです(笑)。例えるなら、沖縄のチャンプルーみたいにメンバーが持ち寄った要素を混ぜていった結果がNEENEEで、そもそもの「NEENEEらしさ」はちゃんと決まっていないというか。その結果として、最初に出来たのが2014年の1stアルバム『N1』です。あのアルバムを作ってみて、ある意味とっ散らかっているというか、ひとつのジャンルに偏ってはいない感じがこのバンドならではなのかな、と思いました。

NAOTO:1stアルバムって、衝動的で楽しいものになることが多いですけど、『N1』はまさにそういう作品でしたよね。僕はリリース後のライブにもついて行ったんですけど、そこでもみんなすごく楽しそうにしているのが印象的でした。

YAMATO:ついて行ったというか、NAOTOもライブに出てたよね(笑)。NAOTOはライブだけじゃなくて会議にもいるし、メンバーの食事会にもいるし……。

ーーほとんど正式メンバーじゃないですか(笑)。

NAOTO:だって、すごく楽しそうだったんで……。しれっと顔を出してました(笑)。

ーーとはいえ、NEENEEはそれぞれ自分の活動があるメンバーの集合体なだけに、1作だけで終わる可能性もあったと思います。2作目を作る話は、どんな風に出てきたんですか?

YAMATO:NEENEEは本当にノリではじまったバンドなので、「(アルバムを)何枚出そう」とか「何年までやろう」ということはずっとあいまいなままで。だから、2作目を作るというのも、ノリではじまったことなんですよ。「楽しかったし、また集まってみる?」って。ただ、今回NAOTOが関わることについては「メンバーに入れる、入れない」で会議しました(笑)。結局現時点では、(長男ではないため)サブメンバーということになっているんですけど、もともと「楽しい」ではじまって、ノリでやっているものなので、人数が増えたり減ったりするのも、僕はもっと自由にやってもいいんじゃないかとは思ってて。もし今後3枚目を作ることがあったら、NAOTOも絶対メンバーにいるはずですよ(笑)。

YAMATO

ーーNAOTOさんは今回「最初で最後のダンス」にゲスト参加して作詞/作曲を担当していますが、冷静に考えてみると、「作詞/作曲」ってゲストの役割ではないですよね。

NAOTO:(笑)。これもノリで決まったことで、SEIJIさんから「NAOTOも曲を作ってみない?」と話がきたんですよ。それで「はい」って言って、気づいたらこうなってました。

ーー今回の『N2』の方向性については、何かメンバー間で話し合ったりはしましたか?

YAMATO:すごく簡単に話はしました。でも、『N1』を出して、全国ツアーをやって、その流れで色んな人たちの反応を見る中で、今回のアルバムに取り掛かる頃には「NEENEEってこういうバンドなんだな」ということが自分たちでも分かってきていたんですよ。前作のツアー後すぐにTETSUSHIが制作に入ったんですけど、そこで上がってきたデモの時点で、すでに『N1』を経たからこその振り幅があるものになっていましたね。

ーー確かに、『N1』は最終的にはTETSUSHIさんらしいクラブサウンドが前面に出ている作品でしたが、今回の『N2』はより様々な要素がチャンプルーになっていますね。ミクスチャーロックっぽいものもあれば、テクノ/ハウスもシンセポップも、カントリーもトロピカルな曲もあって、本当に色々な音楽が平等に混在している印象です。

YAMATO:それは、活動をしていく中で、僕ら自身に「何をやってもいいんだ」という自信が出てきたからだと思いますね。実は、NEENEEを結成する頃に話していたのは、もっとアンダーグラウンドな音楽性にして、顔すら出さずに活動しようということだったんですよ。でも、それが活動を続ける中で全然違うものになっていった。みんなカッコイイことをしたいんだけど、そもそもかっこつけられるような性格の人間じゃないから、ボケに走ってしまうんです。だから、最初はクールでかっこいい音だった曲も、みんなでやるうちに最終的にはすごく明るい曲になっていったというか(笑)。

ーー(笑)。今回の『N2』で言うと、トロピカルでユーモラスな「Go! Go! 島人!!」からカントリー風で陽気な「俺オレゴン」に続く流れは、まさにその真骨頂ですよね。〈行け行け島人~〉という歌詞が出てきたときにはビックリしました。

YAMATO:『N1』の頃はそういう自分たちに不安を感じる部分もあったんですけど、お酒を飲んで、BGMをかけながらバカやって……というノリが本来の僕らだし、活動していく中で、「ああ、これでいいんだ。かっこつける必要はないな」って気づいたんですよ。「Go! Go! 島人!!」や「俺オレゴン」はまさにそういう曲ですよね。『N1』のときは、詞はほとんど僕がやっていましたけど、このあたりの曲ではTETSUSHIが曲も詞も作っていて、「えっ、こんな詞書けるんだ?!」という驚きも感じました。これは自分には出せない色の歌詞なので、最初に聴いたときは新しい振り幅が生まれる可能性を感じました。

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