YAMATOがNAOTOと語る、NEENEEの“混然一体”の魅力「背伸びせずにありのままでいること」

NEENEE、“混然一体”の魅力


ゴールが決まっていないから、掛け算によってどんどん変わっていく(NAOTO)

ーー今回はTAKASHIさんが作曲にかかわっている曲もありますし、2作目に際して、メンバーそれぞれの新しい要素が加わっているんですね。

YAMATO:そうですね。TAKASHIが曲を持ってきたのも、『N1』以降の活動の中で「俺も曲を書きたい」という意欲や楽しさが出てきたからなんだと思いますし、そうやって、メンバー全員にとって新しい扉を開くような経験になっているというか。

NAOTO:僕もアルバムを聴いて、『N1』よりもさらにはっちゃけ感が増してるなと思いました。楽器の種類も音も以前より広がって、表情が豊かになって。中でも「Go! Go! 島人!!」は、YAMATOの歌とTETSUSHIの歌詞がいいコンビネーションで、その極みが出ていますよね。終盤に沖縄特有の苗字をまくしたてるところとか、すごいと思う(笑)。

YAMATO:「Go! Go! 島人!!」の歌詞は沖縄のあるあるがテーマなんですけど、結成したばかりの頃、TETSUSHIは「沖縄感は出したくない」って言っていたのに、「いや、めっちゃ沖縄やん!」って(笑)。タイトルにも「島人」って付いているわけで、これってむしろ沖縄感100%じゃないですか。

NAOTO:(笑)。でも、僕から見ていても、それがNEENEEというユニットの面白いところなんだと思います。ゴールは全然決まっていないからこそ、最初に言っていたことが、メンバーの掛け算によってどんどん変わっていくというか。もともとNEENEEのメンバーはみんな人間的にも面白い人たちばかりなので、今の感じはすごく“らしい”と思いますね。

YAMATO:結局、背伸びせずにありのままでいることがNEENEEの個性なのかな、ということが、活動を続けていく中で分かってきたんですよ。あと、TETSUSHIはクラブミュージックを突き詰めている人なので、ORANGE RANGEとはメロディの作り方が全然違うのも大きな特徴ですね。TETSUSHIの曲はあまり動きがないメロディが中心で、NAOTOの場合はメロディがはちゃめちゃに動く。その辺はバンドサウンドとクラブサウンドの違いでもあって、そこが自分としては面白かったし、刺激的でした。

NAOTO

ーーちなみに、NAOTOさんから見て、『N2』の中で音楽的に好きな曲というと?

NAOTO:これはメンバーにもずっと言ってるんですけど、「Don't Stop Me」ですね。テンポ感も、90年代のアメリカのポップスみたいなプロダクションも、YAMAHAのシンセサイザーの音も、「これを今使う人ってなかなかいないんじゃないか」と思うので。最初にデモを聴いたときから、「これ最高!」ってみんなに伝えていました。

YAMATO:今回の収録曲自体は前作のツアーを終えてすぐに取り掛かっていたので、2015年ぐらいからあったんですよ。だから、自分たちの中で流行りが過ぎたようなメロディや歌詞、構成~アレンジは、アルバムとしてまとめるときに改めてリアレンジしたんですけど、「Don't Stop Me」の音色やテンポ感は残しました。逆に、「ずっと・・・」はデモの頃と比べて大きく変わった曲ですね。最初はもっと暗い、がっつりクラブサウンドの曲で、ボーカルもほとんどラップだったんですよ。でも、そこからラップを少なくして、“踊れると同時に聴ける”ものに変えていきました。NEENEEの場合、その時その時のメンバーの興味がストレートに反映されやすくて、流行りが大切な音がすごく多いんですよね。

ーー思えば、『N1』には今回のアルバムよりEDM的な要素も多く入っていましたが、あれも当時の時代感やみなさんの興味がストレートに反映されたものだったんですね。

YAMATO:そうですね。当時はEDMがかなり流行っていた時代でもあったので。でも今回は、その流れも引き続き大事にしつつ、同時にメンバーそれぞれにまた新しく自分の中での流行りを持ち寄っていて、その結果ジャジーな音が加わったりもしました。そういう興味が、このバンドの場合は本当に4人様々なんですよ。普段はそれぞれ全然別のバンドをやっているだけに、その違いが大きいというか。たとえば、僕自身はクラブはたまに行くぐらいですけど、その流行りはTETSUSHIがちゃんと押さえている、という感じで。

ーーNAOTOさんが作詞作曲を担当した、「最初で最後のダンス」はどうでしょう? ORANGE RANGEや、NAOTOさんがRie Fuさんとやっているdelofamiliaと違って、NEENEEだからこそ意識したことはありましたか?

NAOTO:僕はNEENEEのライブも観ていたし、アルバムに入る曲のラインナップも聴かせてもらっていたので、その雰囲気に合わせて「こんな曲が合うかな?」と作っていった感じです。『N2』に入る曲のデモを聴いていく中で、「Don't Stop Me」や、四つ打ちでひたすら攻める「Black Water」が好きだったので、そこをもっと強調したいなと思ったんですよ。

YAMATO:でも面白いのは、NAOTOの曲をラインナップに入れると、やっぱり異質に感じるというか。「最初で最後のダンス」は、NAOTOが投げてくれた曲をベースにTETSUSHIがNEENEEの音に寄せていったんですけど、それでも他の曲とは違っていて、作品の幅がさらに広がったと思います。「こういうチャンプルーもあるの?!」という曲が加わったことで、TETSUSHIにとっても、きっと刺激的だったんじゃないかと思いますね。NAOTOが作詞まで含めて全部やったというのも新鮮でした。あと、レコーディングにもNAOTOがいたんで、この曲ではORANGE RANGEで作業をしているような感覚になりました(笑)。NAOTOもNEENEEでやってる感覚はなかったでしょ?

NAOTO:なかった(笑)。ORANGE RANGEとの違いを感じたのは、レコーディングのときにお菓子がいっぱいあったことぐらいですね(笑)。

ーー(笑)。真面目な話、ORANGE RANGEとは違う場所で活動をすることで、そこでの経験がORANGE RANGEの活動にも反映される部分を感じることはありますか?

YAMATO:ORANGE RANGEはフロントマンが3人いるわけで、ひとりでフロントに立つのは自分にとって初めての経験でした。自分にとっては初めてのバンドがORANGE RANGEだったこともあって、ひとりで人前で歌うというのはこれまでにしたことのない体験で。そのおかげで、より「前へ、前へ」という我が強くなった感じがあると思いますね。

NAOTO:僕もNEENEEでのYAMATOを見ていて、ひとりだから色々と考えているんだろうなと思っていたんですよ。でも、それからORANGE RANGEに帰ってきたときに、よりはっちゃけているような雰囲気を感じました。

YAMATO:ORANGE RANGEでは、フロントの3人の中にも長年やっていく中で生まれた阿吽の呼吸があって、言い方は変かもしれないですけど、何も考えなくて済むんですよ。それに気づいたことで、より自由に振り切れられるようになったんだと思います。NEENEEではみんなコーラスすらしてくれないんで、「ひとりで歌うのって、こんなに寂しいのか」って思っていたので(笑)。だからこそ、NEENEEではひとりで歌をどう表現していくのかを色々と考えていきたいし、ORANGE RANGEに戻ってきたときは、もっと何も考えずに自由に振り切れてもいいんじゃないかな、って思うんですよ。もちろん、NEENEEの場合も、3枚目では誰かが歌ってくれるようになる可能性もあるかもしれないですけどね。

NAOTO:僕からしても、YAMATOがORANGE RANGEとは別に、もうひとつそういう場所を持つことってすごくいいことだと思うんです。だから、「どんどんやってくれ!」という感じですね。これはYAMATOに限った話ではなく、メンバーそれぞれが色んなことをやってくれたら嬉しい。今回のYAMATOもそうだと思いますが、それがミュージシャンとしての成長にも繋がるだろうし、ミュージシャンである前に、人として色んな経験を積むことって、僕はすごく大事だと思うので。

ーーでは、今回のアルバム『N2』に2人が感じる最大の魅力というと?

YAMATO:『N2』はTAKASHIが持ってきた要素が増えたり、NAOTOの曲が加わったり、TETSUSHI自身も作詞をしたりと、新しい要素が加わったアルバムで、英詞ばかりの曲が出てきたのも今回からですよね。そういう新しい挑戦が、このアルバムにはたくさん詰まっていて、よりNEENEEの個性が出たアルバムになったのかな、と思います。だからこそ、これからのNEENEEとしての活動もより広がっていきそうな感じがするというか。

NAOTO:個人的には、 SEIJIさんがどう自分の殻を破るのかも見守っていきたいです。音楽的な知識や経験はある人なので、それが出てくるのか、それとも出ないのか……(笑)。

――結局、2作目を作り終えた時点でも、まだNEENEEがどうなっていくかは全然分からないということですね。そして、それが何よりもNEENEEの魅力である、と。

YAMATO:そうですね。もちろん、メンバーはそれぞれに理想のイメージを持っていると思いますけど、僕としては、これからもっとはっちゃけていけたら嬉しいです。

(取材・文=杉山仁/撮影=外林健太)

■リリース情報
『N2』
発売:2017年10月25日
価格:¥2,800(税抜)
〈収録曲〉
01. Kick Ass
02. Go! Go! 島人!!
03. 俺オレゴン
04. JUNK!
05. Don't Stop Me 
06. Ding Dong Sound 
07. Black Water
08. ずっと・・・
09. COME ON BABY 
10. 最初で最後のダンス
11. Memory 
12. Dream Dream Dream

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