バックドロップシンデレラ、なぜ名曲を“ウンザウンザ”で踊る? 各国民謡とBUCK-TICKカバーが並ぶ異色作を分析

バクシン、なぜ名曲を“ウンザウンザ”でカバー?

 今年結成10周年を迎え、3月にワンマンツアー<10周年でウンザウンザを踊る>を終えたばかりのバックドロップシンデレラが、カバーアルバム『いろんな曲でウンザウンザを踊ってみた』を5月11日にリリースした。

「前々からメンバー内で『カバーアルバムを作りたいね』という話はしていてたんですけど、10周年の節目としてちょうどいいかなと思って」(豊島“ペリー”渉/Gt & Vo)

 得体の知れない音楽性と破天荒な存在でシーンを掻き乱している連中(参考記事:音楽シーンを撹乱する異能バンド、バックドロップシンデレラ登場 10年のバンドキャリアを紐解く)だけに、カバーアルバムとはいえ、一筋縄では行かない内容である。世界民謡から『おかあさんといっしょ』、ピンクレディー、BUCK-TICKに至るまで、我々の想像の遥か斜め上を行く全10曲。一見、ブッ飛んだ選曲であるが、音を聴けばインパクトや話題性に特化したような企画モノでないことが解るはず。日本人誰もが慣れ親しみ、一度は耳にしたことのある無差別なジャンルの名曲群を、見事なまでの華麗なる“ウンザウンザ”に昇華しているのだ。

「前から考えていたことなので、いくつかやりたい曲はあったんです。『これはこういう風にやればいいな』というイメージがあったりもしていて。曲決めが一番時間掛かったし、大変でしたね。曲が出揃った段階で、もう制作の半分は終わった気分でした(笑)」(ペリー)

 タイトル通り、本作は彼らの掲げるウンザウンザがこれまで以上に炸裂している。ロマ音楽、アイリッシュ、フォルクローレ、スカ……、あらゆる民族音楽をきちんと体現しているところにバンドの本気と実力を見る。ただのカバーアルバムで片づけられないほど、聴き応えのある作品である。
 
「ウンザウンザにすることがテーマなので。僕らがやってるイメージがちゃんと浮かぶものを絞っていきました」(ペリー)

「みんなで候補曲を出し合って、原曲聴いて、ああだこうだ話合いました。『だんご3兄弟(おかあさんといっしょ/速水けんたろう・茂森あゆみ)』と『bubamara(ロマ民謡/エミール・クストリッツァ)』が最初にやりたいと決まって」(アサヒキャナコ/Ba)
 
「『だんご3兄弟』をやりたい、というのが先ず最初にあったんです」(ペリー)

 結成10周年というバンドの大事な節目に「だんご3兄弟」を持ってくるセンスに脱帽する。しかし、自由奔放に見せながら、タンゴ調の童謡をあやしくも奥ゆかしいジプシーな雰囲気の無国籍な音楽として深化させている。

「ウンザウンザとはなんなのか? 細かい説明の前に『だんご3兄弟』を聴けば、だいたい理解できる仕組みになっています」(ペリー)

『だんご3兄弟』 捲し立てるリズム、急変する展開……、マニアック要素を次々とぶち込みながら、コミカルに仕立てる手腕は流石である

「バンドとは別にDJをやったりもするんですが、民族音楽やウンザウンザっぽいものをかけて……あまりウケないんですけど(笑)。そこで前から『だんご3兄弟』をかけたいなと思っていて。でも、ロックではないじゃないですか。テンポも遅かったり、フワフワしている曲だし。DJでかけられるようなガシっとしたものになっていればいいのになと。だったら、自分がそういうアレンジでカバーしてしまえばいいんだ、と思ったんです。DJの持ちネタになるようなイメージですね」(ペリー)

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