きのこ帝国、バックドロップシンデレラ、感覚ピエロ……今聴くべき若手実力派バンド12選
レコード会社やレーベルに頼らずとも、ライブでの活動はもちろん、ネットなどをうまく使えば多くの人に自分の音楽を聴いてもらえる現代。情報も流行も音楽も与えられるものではなく、リスナーが選ぶ時代となっていて、その取捨選択の自由度はバンドの音楽性の多様化にも繋がっている。
特にインディーズ・シーンにおいては、ヒットチャートを席巻するようなポピュラティーを追求するのではなく、オリジナリティーを突出させたバンドも多い。そのどちらが正解でもないが、「何が出てくるか解らない」期待感は、インディーズ・バンドの魅力の一つだ。現在のシーンを引っかき回してくれそうな独創性があり、かつ実力派のバンドたちに注目してみたい。
きのこ帝国
耳の早いギターロック好きに注目されてきたバンド。シューゲイザーやポスト・ロックの流れを汲んだオルタナティブ・ロック。淡々としながらも、どこか神々しさを感じる佐藤のボーカルと、狂気さえ漂うギターが鮮烈。轟音や爆音という言葉だけでは形容できないサウンドは、ふと聴き入ってしまうもので、時にハッとさせられる。実に不思議なバンドだ。
空きっ腹に酒
今のシーンにおいて、変わったバンド名は珍しいわけでもなく、逆に突っ込んだら負けだとさえ思うのだが、その音楽を聞けば「狙っているわけじゃないのかも」と考えてしまう。楽曲ごとに印象が異なり、つかみどころのなく、バンドを表すのに適した言葉が見つからない。強いていうならばヒップ・ホップ調のボーカルと、心地良いカッティングギター、やけにグルーヴィーなリズム隊にただならぬモノを感じるわけだが、90年代のミクスチャーでもゼロ年代のオルタナティブ・ロックでもない。「空きっ腹に酒」というバンド特有の音楽性を持っており、その名称と同じようにとても“変わっている”のだ。
バックドロップシンデレラ
一聴してキワモノバンド?と思いきや、聴けば聴くほどパンクやハードコア、メタルをミックスして昇華し、オリジナルのものにしていることがわかる。自らの音楽性を「“ウンザウンザ”と呼ばれる祝祭感溢れる東ヨーロッパ民族的リズム」と、多くの人が首を傾げそうな言葉で説明しているが、何故か「ああ、東欧民謡ね」と妙に納得させられてしまう。得体の知れない中毒性とともに、気が付くと深みにハマっているタイプ。
ビレッジマンズストア
ガレージロック、R&B、ブルース、パンクに歌謡曲的なユーモアを融合した名古屋発の5人組。ソウルフル剥出しなボーカルとキレッキレの演奏が男臭いロック。パフォーマンス、キャラ立ち含めて申し分ない“熱苦しさ”が特徴のバンドだ。