城田寛治✕北村亮介が考える、WEFUNKの将来ビジョン「空間全体を楽しめる“ライブショー”に」

WEFUNKが作る「音楽✕ダンス」の魅力と未来

 “ストリートダンスとライブバンドの融合”というコンセプトを掲げ、音楽とダンスの新しいエンターテインメントして注目を集めているWEFUNK。先日公開したSPEEDSTAR RECORDSレーベル長の小野朗氏との対談(「WEFUNK城田寛治✕SPEEDSTAR RECORDS小野朗が提示する、音楽とダンスの新たな関係」)に続き、WEFUNK代表の城田寛治氏と、イベントの振付とディレクション、宣伝などを手がけている北村亮介氏の対談を掲載する。WEFUNKのイベントの魅力、この先のビジョンなどについて語ってもらった。(森朋之)

「ダンサーがとにかく楽しそう」(北村亮介)

ーー北村さんは2015年6月に行われた「WEEKEND HERO Vol.1」でショー出展後WEFUNKのイベント制作に参加。以前からクラブイベントのショーケース、学生ダンスサークルの公演の振付などを手がけてきたそうですが、WEFUNKに関わるきっかけはどんなことだったんですか?

北村亮介(以下、北村):知り合いのダンサーがWEFUNKのイベントに出演していて、それを見に行ったのが最初です。そのときは「みんな、気持ち良さそうだな」という印象でした。ダンサーのみなさんがとにかく楽しそうにやっていて。羨ましいなという気持ちもありました。

城田寛治(以下、城田):北村さんはWEFUNKのダンサーとつながりがあって、出会う数年前からfacebookでも常に“知り合いかも”の上位に表示されていたんですよね。彼は「TAP JAM CREW」という団体にも所属していて、以前から「お会いしてみたいな」と思っていたんです。

北村:「TAP JAM CREW」はミュージシャン、タップダンサー、ストリートダンサーなどによる100人くらいのグループなんですよ。ショーというよりも、セッションの要素が強いんですけどね。

城田:実際にお会いしてみたら、すごくウマがあったし、音楽にも精通していて。ぜひWEFUNKにも参加してほしいな、と。

北村:WEFUNKの取り組みはおもしろいと思いました。ストリートダンスがすごく流行っていて、ダンススクール、イベントも多いですけど、CDの音源を編集して踊ることがほとんどで、生バンドで踊る機会はまずないと言っていい。しかもこれだけ大規模にやっているイベントはWEFUNKだけです。

ーーCDの音源と生バンドでは、ダンスの感覚もかなり違うんでしょうか?

北村:違いますね。生バンドは、そのときのテンションによって演奏のニュアンスが変わってくるじゃないですか。その変化はダンサーにも影響するし、チームとしての広がりがあるんですよね。

城田:ダンサーからも「(イベントの)収録映像を見て、自分がすごく速いリズムに合わせて踊っていてビックリした」みたいな話をよく聞くんですよ。ミュージシャン的に、いい意味で「走る」という現象が、生演奏のWEFUNKではダンスにも起こるんでしょうね。

ーーなるほど。北村さんがダンサーのまとめ役でもあるんですよね?

北村:そうですね。以前はバンドマスターの方がダンサーもまとめて見ていたんです。でも、ミュージシャンが求める音楽とダンサーが求める音楽は、微妙に違っているんですよ。僕は音楽が好きだし、ダンサーが考えていることもある程度わかるので、ダンサー側のディレクションを担当させてもらって。ミュージシャンとダンサーの間をつないで、WEFUNKとしてのショーを作り上げるということですね。

城田:僕は元々シンガーとしてWEFUNKでパフォーマンスしていたので、どちらかと言えばミュージシャン側の人間なんですよね。だから「ダンサーのトップとして、どんな人がいればいんだろう?」ということがずっとわからなくて。北村さんと知り合って、やっと適任の方が見つかったという安心感がありました。ダンサーで幅広い音楽に精通する方って、なかなかいないんですよ。

北村:ダンサーが使いたがる曲はちょっと独特というか、一般の方が聴いてもおもしろくないことが多いんですよ。ずっと同じビートがループしている曲だったり。

城田:ブレイクダンスの“ブレイク”も、間奏をつなぎ合わせたブレイクビーツのことですからね。ずっと同じビートを繰り返して踊るっていう。そういう音楽のおもしろさもありますが、誰でも楽しめるものではないのかな、と。

北村:ダンサーが好む音楽と、一般の方が好きな音楽の共通項を探して、ひとつにまとめるのも自分の役割だと思ってます。ダンスが好きな人だけではなく、バンドの生演奏が好きな人にももっとWEFUNKのショーを見てもらいたいので。

ーーWEFUNKのイベントでは70〜80年代のソウルミュージックや山下達郎さん、広瀬香美さんなどの楽曲も使われていて。ダンス用のアレンジも重要ですよね。

北村:そのまま演奏するだけでは踊りづらい場合もありますからね。ファンク、ソウルミュージックはやりやすいんですが、ヒップホップなどの打ち込みの楽曲はけっこうなアレンジが必要になることもあって。ダンサー、ミュージシャン、お客さんが納得できるアレンジにするのが難しくもあり、おもしろいところでもありますね。

城田:北村さんは出演する各ダンサーが選んだ曲に対し「逆にこういう曲はどう?」とライブ全体の演出を加味した提案をしてくれるんですよ。そうすることによってダンサーのクリエイティブが誘発されているところも大いにありますね。

ーーダンサーのみなさんにとっても新たな発見につながっている、と。

北村:ダンサーのみなさんの過去のショーを見れば、だいたいの好みや傾向はわかるつもりです。そのうえで「こういうやり方はどう?」と提案させてもらっています。「いまのやり方では、ダンスを知らない人には刺さらないよ」ということも言いますね。

城田:ダンスの発表会みたいになるのは避けたいんですよね。音楽のテイストはいろいろあったほうが、お客さんも最後まで楽しめると思うので。イベントを制作するときは、まず起承転結のストーリー作って、そこにハマるダンサーを選んでいくんです。

北村:流れを作ったほうが、「この場面はこういう役割だから、こういうテイストの曲で踊ってほしい」という提案もやりやすいんですよ。

城田:運営側からそういう提案をすることは、他のイベントではほとんどないと思います。たいていは持ち時間を振り当てられて、あとはそれぞれ自由にやるだけなので。

北村:ダンサーがディレクションを受けることもほぼないでしょうね。最初はどうなるか不安だったのですが、ダンサーからも「やってみたら、意外とハマった」という声を聞くことも多くて。共通項を見つけられているという手応えはあります。

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