Berryz工房&℃-ute、一貫して歌い続けた“女性の生き方” サブスク解禁で知ってほしい必聴ソング

 ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)が手がけてきたアーティストの一部楽曲が、1月3日より各音楽ストリーミングサービスで聴けるようになった。

 今回サブスク解禁となったメロン記念日、月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。)、Buono!……どのアーティストも名曲ぞろいなので、そのすべてを紹介したいところだが、本稿ではパフォーマンス力や人気、知名度などにおいて双璧をなした「ベリキュー」ことBerryz工房と℃-uteを取り上げたい。

 Berryz工房と℃-uteは、2002年に開催されたオーディションで合格し、ハロー!プロジェクト・キッズに加入したメンバーで結成されたグループである。Berryz工房は2004年1月に結成。独特な“ぶりっ子キャラ”でバラエティ番組に欠かせない存在となった嗣永桃子をはじめ、個性的なメンバーが魅力のグループで、現役時代は彼女たちの持ち味を存分に活かした楽曲とステージに定評があった。彼女たちは2015年3月、日本武道館公演を最後に無期限の活動休止となった。

 一方、℃-uteは2005年6月に結成され、2007年にメジャーデビューを果たした。しかし、結成以後、しばらくは苦難の日々が続いた。メンバーの卒業が相次ぎ、最終的に5名で活動することになったほか、メンバー間で絆がうまく結べない時期もあったという。そうした苦労を乗り越え、初の日本武道館公演や海外公演を成功させると、2014年頃からグループに明るい変化が起き始める。2015年には結成10周年にして横浜アリーナでのワンマンライブを実現。「アイドルが憧れるアイドル」として存在感を発揮するなかで、2017年6月、さいたまスーパーアリーナ公演をもってグループを解散した。

 Berryz工房と℃-uteは、活動休止/解散を迎えるまで、本当に幅広いジャンルの楽曲を発表してきた。そのなかには、“女性の生き方”をテーマとしたものも多い。ハロプロ所属アーティストは、女性の心情の機微と、一筋縄ではいかない等身大の生き様をさまざまな角度から歌った楽曲で評価を受けているグループも多いが、「ベリキュー」はその先駆者と言っても過言ではないかもしれない。ここでは、そんな女性の生き方をそれぞれのカラーで歌い上げた楽曲を紹介しよう。

 まず取り上げたいのが、Berryz工房の「ライバル」。ロックなエレキギターが印象的なポップソングだ。この曲の歌詞は、冒頭から〈恋するだけならなんとかなるけど/愛するとなるとねぇ…/勇気も必要 それより相手よねぇ〉と、なんとも示唆に富んだ深い言葉からはじまる。筆者が特に共感したのが、〈ちょっと際どい/ミニを穿いたら/先生ボヤいてた 「大人には わっかんねぇだろなぁ」/そういう部分 言うとおり無くしていけば/いいとこ無くなるよ〉という箇所。自分らしさを追求するなかで周囲から沸き起こる否定の声を〈「わっかんねぇだろなぁ」〉と軽やかに一蹴し、誰かの言う通りにばかりしていたら自分の良いところも消えてしまうと、あくまでも自分の想いを信じて突き進む女性像は、昨今の国内外のアイドルグループが描く“セルフラブ”に通ずるものがある。私らしく生きていきたいと願うすべての女性の背中を、爽やかに押してくれる一曲である。

Berryz工房「ライバル」 (MV)

 ゴスペル調のミディアムバラード「VERY BEAUTY」も捨てがたい。冒頭の〈また 鏡を見つめてる/ああ どうしてこんな顔よ/明日の朝 目が覚めた時には/美しくなってたらいいな〉というフレーズを聴くと、思春期の頃のいてもたってもいられない心情を思い出してしまうが、歌詞を書くつんく♂はどうしてこうも女子/女性の気持ちをいつも的確に代弁してくれるのだろうか。一方で、サビの〈ステキな女性になりたくて〉〈ステキな人生見つめてる〉という言葉には、日々目標に向かって頑張る女性の姿が頭に浮かび、共感を覚える。この楽曲も、アンセムソングとしての側面が感じられる。

Berryz工房「VERY BEAUTY」 (MV)

 似たような曲調で、R&Bっぽさのあるピアノバラード「まっすぐな私」も必聴ソングだ。つんく♂がBerryz工房のメンバーに、「まっすぐに成長してってほしい」(※1)という願いを込めて作ったというこの楽曲。一途な恋心を持ち続ける凛とした女性像を描いた物語性のある歌詞が秀逸なので、聴くときはぜひ歌詞を眺めながら、その世界観に浸ってほしい。

まっすぐな私

 これに近しい女性像を描いているのが、「ヒロインになろうか!」である。刻むビートとデジタルサウンドが印象的なダンスチューンのなかで歌われる〈さあ 輝いちゃおうか/私から/新しい私/ほら みんなみんな注目のヒロイン〉という歌詞は、自分の人生は自分のもので、いつでも自分の望む姿になっていいのだという、忙しい日々のなかでは忘れがちな事実を思い出させてくれる。

Berryz工房「ヒロインになろうか!」 (MV)

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