万能札、Tチケット……コンサートチケットに変化の兆し 多機能化はどこまで進むか?
コンサートチケットが、単なる入場券としての機能にとどまらず、さまざまな他サービスと連携する方向に“進化”しつつある。それは来場者にとってより便利で、主催者のリスクを軽減させるものになるかもしれない−−そう予感させる、新たなコンサートチケットのスタイルがいくつか誕生しているので紹介したい。
まず、10-FEET主催のフェス『京都大作戦2015 ~いっ祭 がっ祭 感じな祭!~』で導入されたICカードチケット「万能札」だ。
これは、今年開催されたB'zのZeppツアーで顔認証の来場システムを導入するなど、チケットのネットオークション対策に積極的に取り組んでいるテイパーズによるチケットシステム。記名式ICカードにより、チケットの転売を防ぐ効果がある。
また、この「万能札」と呼ばれるカードは、入退場、荷物を預けるクローク、 イベントオフィシャルグッズの物販や飲食での支払いに対応しており、イベント全体を通して、まさに“万能”な機能を兼ね備えている。このICカードを機械にかざし、かんたんに入退場ができるのはもちろん、荷物を預ける際の手続きや本人認証をスムーズに行うことができ、電子マネーとして利用することで現金を持ち歩くことなくイベントを楽しんだりすることができる。
万能札に備わった電子マネーのシステムは「リクルートかんたん支払い」と連携したサービスだ。電子マネー機能を利用する際には、事前にリクルートIDを使用してICカードにクレジットカード情報と4桁のパスワードを設定する。電子マネー利用時にパスワードを入力するため、カードを紛失した際の不正利用を防ぐことができる。さらに、貯まったリクルートポイントは電子マネー対応の販売スペースで買い物に利用することができるという。
同システムの関係者に話を聞いたところ、初導入となった今回は全体の約3分の1の来場者が「万能札」の電子マネー機能を利用していたとのこと。『京都大作戦』のように、できるだけ荷物を減らしてモッシュピットで盛り上がりたいという来場者にとって、かなり魅力的なサービスといえるだろう。