2014年のハロプロを完全解析! ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」の結果から考察する

楽曲部門2〜3位:Berryz工房「永久の歌」「ロマンスを語って」

◆Berryz工房「永久の歌」
◆Berryz工房「ロマンスを語って」

 2位と3位にはどちらもBerryz工房のシングル曲がランクインした。奇しくもこの2曲はベリーズのラストシングルとして2014年11月12日に両A面でリリースされている。3位の「ロマンスを語って」はモータウン・サウンドを下敷きとし、メンバーのコーラスワークも可愛らしく、ウィンターソングのキラキラ感が全編に散りばめられた素敵な1曲。言ってみれば、この曲は「イイキョク愛好家」にとっては一聴しただけでその良さがすぐに伝わる鉄板曲である(断言)。

 それに対し、2位の「永久の歌」は、サウンドだけ取ってみればシンプルかつストレートなパワーポップであり、「何故これがベリーズ最高位?」と首を傾げる人もいるかもしれない。その秘密は歌詞にあると考える。つんく♂の弁によれば、作曲していた頃はBerryz工房の無期限活動停止という話は具体化してなかったとのことだが、作詞については明らかにそれを意識した作りになっている。本当は全文引用したいぐらいだが、やはりもっとも重要なのは2番のサビの「一緒に居た素敵な空間 最高に幸せな時間」のくだりだろう。これはBerryz工房のライブを一度でも楽しんだことのある者なら実感としてすぐに伝わり、それと同時にもうそんな時間を味わうことができなくなるという儚さも併せ持つ、ラストシングルならではのキラーフレーズであり、(MVでの10年前のライブ映像をフラッシュバックさせる手法と同じく)反則技である。ズルい!

 そんな異なる良さのベクトルを持った2曲が上位に来て、だが1位を獲ることはできないというのも楽曲大賞が生んだひとつのドラマである。このようなドラマは毎年起こっている。過去の例で言えば、2・3位がモーニング娘。「涙ッチ」「大きい瞳」で1位が℃-ute「Danceでバコーン!」だった2010年の事例を想起させるものがあった。

楽曲部門4〜10位

◆モーニング娘。'14「時空を超え 宇宙を超え」
◆スマイレージ「ええか!?」

 モーニング娘。'14が3曲ランクインし、グループとしての強さを感じさせる。エディットされたピアノの音色などで美しく構築されたサウンドを聴かせるバラード「時空を超え 宇宙を超え」、勢いのあるシャッフルビート曲「What is LOVE?」、2014年の一大トピックだった道重さゆみの卒業曲「シャバダバ ドゥ〜」と、どれも納得の上位。

 スマイレージのグループ最高位となる7位「ええか!?」は、1位の「イジ抱き」と同じく2013年12月のリリース。楽曲大賞2013で2位だった「ヤッタルチャン」と同じく関西弁テイスト含有曲で、「ヤッタルチャン」は3コードロック+セリフというトリッキーな構成、「ええか!?」はヒップホップ風の導入部+明快なサビ展開部の二部構成、という共通したところがあり、どちらも高い支持を得たようだ。

 異彩を放つのは10位のハロプロ研修生「おへその国からこんにちは」。ライブでは2013年から披露されていた曲だが、DVDシングルでリリースされたので2014年度のノミネートとなった。つんく♂の独創性もしくは変態性(「おへその国」って……何?)とハロプロ次世代メンバーのフレッシュな魅力が高次元で融合した人気曲で、ベストテン入りはお見事。なお、ハロプロ研修生の1stアルバム『①Let's say “Hello!”』は2015年度のノミネートとなっており、収録曲の多数ランクインが既に予想される。

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