2014年のハロプロを完全解析! ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」の結果から考察する

楽曲部門11〜12位:℃-ute「I miss you」「Love take it all」

◆℃-ute「I miss you」

 11位と12位は共に℃-ute曲がランクインしたものの、ベストテンに曲を送り込めなかったのは若干寂しい感じがある。ちなみに2013も最高位は15位だった(「アダムとイブのジレンマ」)。

 ここ数年の℃-uteは、「高度なダンスをフィーチャーしたアッパーなポップ曲」というひとつの路線を追求している感があり、その現時点での到達曲が「Love take it all」または「THE FUTURE」(41位)ということになるのだろう。もちろん、ひとつの路線を突き詰める潔さというのはあり、その高みに上ったパフォーマンスに魅了されたファン層が厚くなったからこそ、横浜アリーナ単独公演(6月11日)が決定したという面はあるはずだ。しかし、楽曲ファンというのはわがままなもので、1曲ごとに異なったアイデア、新鮮な驚きをつい求めてしまうもの。そういうニーズに応える曲が℃-uteには少なかったのが、楽曲大賞での低調に繋がっているのかもしれない。3つのメロディーラインが入り乱れるという攻めた構成の「I miss you」がグループ最高位というのもそれを裏付けている、とは言えないだろうか。

 この辺りの問題はオリジナルアルバムがリリースされれば多少解消されるはずだが、2014年は℃-uteに限らず、どのグループもリリースされなかった(例外はモーニング娘。'14)。

楽曲部門16位:オールキャスト「Eli, Eli, Lema Sabachthani?」

 16位はオールキャスト「Eli, Eli, Lema Sabachthani?」。これはモーニング娘。'14とスマイレージが合同で行ったミュージカル『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』の劇中歌であり、オリジナルサウンドトラックがリリースされたのでノミネートとなった。2014年の楽曲大賞ランキングの特徴のひとつが「リリウム楽曲の高評価」で、上位50位中、リリウム関連曲は実に7曲がランクインした。

 末満健一演出+和田俊輔作曲によるハロプロミュージカルは2012年の『ステーシーズ 少女再殺歌劇』に始まり、以降『我らジャンヌ 〜少女聖戦歌劇〜』(2013年)、『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』『SMILE FANTASY!』(共に2014年)と回を重ねるごとにその評判が増していった。およそアイドルが演じるのは異例のダーク・ファンタジーな世界観が各作品に通底するモチーフだが、それがハロプロメンバーの新たな魅力を引き出し、ファンに熱狂を持って迎え入れられた。劇中歌サントラがリリースされるようになったのは『リリウム』からであり、今回の楽曲大賞ランキングにも反映された形だ。

 なお、35位のモモ (鞘師里保)&コーラス:モーニング娘。「キマグレ絶望アリガトウ」は『ステーシーズ 少女再殺歌劇』の劇中歌。コンピレーションアルバム『ハロー! プロジェクトの全曲から集めちゃいました! Vol.2 吉田豪編』にこの曲のみイレギュラー収録されたところからのランクインとなった。末満&和田ミュージカル楽曲の支持の高さがうかがえる結果である。

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