ベストアルバム『BEST All Singles & Covers Hits』インタビュー(後編)
BENIが考える、これからの音楽の届け方「ユーザーと音楽が近くなったことに可能性を感じる」
「メジャーとクラブシーンの両方で刺激を受けた」
――90年代後半はまさに、日本で音楽における新しい大きい波が起きた時期でした。それを受け継いだ2000年以降のシーンについては、どんな風に捉えていましたか。
BENI:ちょうどBENIとして活動し始めた頃で、メジャー系の人たち以外にも、クラブツアーとかやってる子たちが着うたで売れたり、名前が浸透するようになった時期だと思います。当時は着うたで「1位獲ったよ!」と言われても、私はCDの世代なので「ほんとに聴いてるのかな?」と実感が湧かなかったことを覚えていますね。でもライブをしていくと、目の前に全部の歌詞を一緒に歌いきれる女の子たちがいっぱいいて、「ここまで届いてるんだな」っていうリアリティを感じたりもしました。私もクラブツアーで、年間で120本くらいライブして、ほぼ全都道府県をまわりました。私はメジャーとクラブシーンのどっちも見ていたから、いろんな刺激を受けました。R&BもHIPHOPも一時期落ちていたイメージがありましたが、そこでまた復活したと思います。自分のサウンドも、シーンとともに盛り上がっていたので、いいタイミングでした。
――メジャーと生のクラブシーンの両方の良さを知っているのは強みですね。
BENI:その差を感じることが未だにあります。例えば、この間沖縄で初めてのワンマンをしたところは、ライブハウスでした。大きなアリーナとかで歌うこともありますけど、やっぱり、同じセットリストでも届け方は全然違いますし、受け取る側も違うと思います。私はどっちも好きですけど、クラブツアーをしていく中でいろいろ成長できた部分があるからか、やっぱり小さいハコは自分にとって特別です。一人一人の顔を見ながら歌って、その人の反応を直に見ながら、本当に一緒に音楽に浸かっている感じが好きなんですよね。見る方としてもやっぱり小さいハコが好きですね。アンダーグラウンドとまでいかなくても、そういうカルチャーもすごく大切にしています。
――地方のクラブで特に印象的だったところはありますか?
BENI:北陸ですね。盛り上がり方が海外に近かったというか。一番が終わった短い間奏でクラップが起きたりとか、アドリブやフェイクをかませるとみんな凄い盛り上がって、瞬間でストレートに反応があって面白かったです。石川、福井、富山とかですね。名古屋は足踏みをしたり、下半身で盛り上がっていたり、九州はほっこり温かかったり、やっぱりそれぞれ特徴がありますね。