KANA-BOON、クリープハイプらが入賞 他の音楽賞とは異なるCDショップ大賞の「意義」とは

 第6回CDショップ大賞の入賞作品が2月3日、発表された。今年の入賞作はKANA-BOON 『DOPPEL』『僕がCDを出したら』、クリープハイプ 『吹き零れる程のI、哀、愛』、ゲスの極み乙女。 『踊れないなら、ゲスになってしまえよ』、サカナクション 『sakanaction』、パスピエ 『演出家出演』、Perfume 『LEVEL 3』、星野源 『Stranger』、マキシマム ザ ホルモン 『予襲復讐』、miwa 『Delight』、ONE OK ROCK 『人生×僕=』の全11作品。特筆すべきはCDショップ大賞の歴史上、はじめて2作品ノミネートされたKANA-BOONの躍進だ。BUMP OF CHICKEN、サカナクションに続くヒップランド系列の新星として2013年にメジャーデビューを果たした彼ら。まだ一般的な知名度こそ高くはないが、ライブでの動員力を伸ばしている若手実力派ロックバンドだ。他にも入賞作にはゲスの極み乙女。やパスピエなど、現時点では他の賞レースで名前が挙がってこない(と思われる)ミュージシャンが選出されている。

 CDショップ大賞はかつてタワーレコード新宿店に勤務、現在は下北沢にあるmona recordsで店長を務める行達也氏らが中心となって2009年よりスタートした 音楽賞。開始当初は知名度も低く、渋谷のHMVで行われた第一回授賞式に出席したのは大橋トリオのみという寂しいものであったが、大賞を受賞した相対性理論(2009年)やTHE BAWDIES(2010年)、準大賞の大橋トリオ(2009年)、清竜人(2010年)がCDショップ大賞ノミネート後にセールスを大きく伸ばしたことからメディアやレコード会社、音楽ファンの注目が集まるようになり、今では「次に来るミュージシャン」を先取りして知ることのできる音楽賞として地位を確立し、存在感を示している。

 CDショップ大賞の特徴を一言で表すなら「極めて民主的な音楽賞」といえるだろう。他の音楽賞がミュージシャンの知名度やセールス、これまでの功績などから「音楽評論家」によって選出されるという、その過程がある意味でブラックボックス化したものであるのに対し、CDショップ大賞はレコード店で実際に働くアルバイトやパートも含んだ店員が、お客さんに「聴いてもらいたい」と思う音楽を推薦しあうもの。各人が3作品を選びウェブや携帯電話から投票、集計結果の上位20作品が二次審査に進み、そこではノミネーション作品を審査員がすべて聴いた上で投票が行われる。このような民主的な手続きによって選ばれた受賞作は、メジャーの第一線で活躍する大御所からインディーズの駆け出しミュージシャンまで幅広く、ジャンルもミクスチャー・ロックからエレクトロ、弾き語りまで多種多様。一見バラバラに見えるそれら受賞作を繋ぎまとめる共通点は、そのどれもが「良質な音楽」であり「CDショップ店員が自信を持って勧める楽曲」であるということ。シンプルで明快な選考基準であるからこそ、CDショップ大賞がここまでの支持を得るようになったのだろう。

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