BOYS AND MEN・水野勝と田中俊介が語る、山田悠介原作『復讐したい』に込めた情熱

BOYS AND MEN『復讐したい』インタビュー

 東海エリア出身・在住のメンバーで構成された11人組ユニット・BOYS AND MENのメンバーが出演する映画『復讐したい』が、2月27日(土)より中部地方で先行ロードショーを開始し、2016年3月5日(土)からは全国で公開される。同作は、山田悠介の同名小説を原作としたサスペンスアクション。凶悪事件の被害者や遺族が加害者に復讐できる制度が敷かれた近未来を舞台に、憎しみに駆られた者たちが壮絶なリベンジ・デスマッチを繰り広げる物語だ。水野勝は、最愛の妻・泉(高橋メアリージュン)を殺害された中学校教師・高橋泰之を、田中俊介はテロ被害者の会のリーダーを務める板垣潤也を、それぞれ演じている。情熱溢れるパフォーマンスで人々を魅了するBOYS AND MENのメンバーは、“復讐”を題材とした本作にどのような心境で挑んだのかーー。

水野「葛藤を持ちながら、役に挑みました」

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水野勝

ーーまずはBOYS AND MENがどんなグループなのか、教えて下さい。

水野勝(以下、水野):BOYS AND MENは“名古屋のエンターテイメントを世界に発信する”をコンセプトに、東海地方出身のメンバー11人で歌やダンス、芝居を行うグループで、今年で結成6年目になります。東海地方ではラジオやテレビなどでレギュラー番組が10数本あって、いまは全国進出を目指して奮闘しているところです。

田中俊介(以下、田中):名古屋は日本三大都市のひとつで、“芸どころ”とも言われるように御園座などの劇場もありますが、現状ではコンサートツアーでも“名古屋飛ばし”があったりと、エンタメの街としてはまだまだな部分もあります。僕自身も愛知県出身で、かつては芸能の夢を叶えるには東京に出なければいけないと考えていました。でも、そうではなく名古屋からエンターテイメントを発信することで、上京しなくてもちゃんと夢を叶えられるということを証明したいと思っています。僕らが全国進出することで、“夢は諦めなければ必ず叶う”というメッセージを届けるとともに、名古屋のエンタメ界を盛り上げていければ。

ーーBOYS AND MENはもともと舞台での活躍が中心だったそうですね。

水野:はい、僕たちはもともと演技をやりたい人間が集まっています。舞台で行っていたミュージカルが原点で、だからこそステージ衣装もド派手だし、歌を披露するときも表情や身体表現にこだわったパフォーマンスを心がけています。言ってみれば、生身のパフォーマンスというか。

田中:思いっきり気持ちをぶつけて、泥臭くやっていくのが僕らのやり方なんです。だから楽曲でも、歌詞には自分たちのいまの状況が反映されているし、ストレートに熱い感情を乗せた応援ソングが多い。僕らの歌を聴いて、自分も頑張ろうと思ってもらえたら嬉しいです。

ーー映画『復讐したい』は、BOYS AND MENにとって『サムライ・ロック』(2015年)に次ぐ主演作です。山田悠介さんの原作で、この作品もメッセージ性が強いですね。本作の主演が決定した時はどう思いましたか?

水野:山田悠介さんの小説は中高生に大人気で、僕らももちろん学生時代から親しんできたので、お話を聞いたときはすごく光栄でした。ただ、原作のファンもたくさんいらっしゃるので、プレッシャーも大きかったです。

田中:本当に夢中になって読んだ世代だから、決まったときは本当に驚きました。家族や周りの友人も「あの山田悠介さんの作品!?」って驚いていました(笑)。これはもう、120パーセントの力を注ぐしかないな、という感じです。

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(C)山田悠介 / 幻冬舎 / 「復讐したい」製作委員会

ーー山田悠介さんの原作はどんなところが魅力でしょう。

水野:直接的でわかりやすい表現が多いところが、親しみやすくて好きですね。小説というと抽象的な表現が多いから難しく感じるけれど、山田さんの作品はすごく鮮明に絵が浮かんできて、ぐいぐい読み進められる。山田さんの作品で本の面白さに目覚めるひとは多いんじゃないかな。

田中:すごく疾走感もあるよね。展開が早いから、「次はどうなるんだろう?」って読み出したら止まらない。その魅力は映画でもちゃんと引き出したいと思っていました。

ーー“復讐”をテーマに据えつつも、なぜそれがダメなことかを考えさせる、寓話的な側面もありました。

水野:そうですね、実際に僕が主人公と同じ境遇になったらどうなるだろうというのは、演じていてもずっと考えていました。現状、犯罪被害者に対してどういった制度が用意されているのかも勉強しましたし、実際に犯罪被害者となった方の手記なども読みました。家族を犯罪によって亡くした方は、本作でもそうであるように加害者に対して復讐しようという心理があるし、それとずっと向き合わなければいけません。すごくキツいことだと思います。それでいて、その心理の核には深い愛情もあるんですよね。そういう葛藤を持ちながら、役に挑みました。

田中:僕は両親を殺害される役で、もし自分も同じ立場になったらと想像すると、やっぱり絶対に相手を許せないと思うんです。でも、作中と同じように“復讐法”が合法だとしても、簡単に人を殺められるかというと、そうではないと思います。僕が演じた板垣潤也はテロ被害者たちのリーダーとして、何人もの被害者の思いを背負っていくのですが、彼の気持ちに寄り添うのはかなり大変でした。

水野:被害者がどうすれば報われるのかというのは、簡単に答えが出せないですよね。この作品はほかにも現実の社会問題と重なる部分があって、命の大切さや制度の難しさというものを考えさせられます。僕が演じた高橋泰之は中学校教師として生徒たちに道徳を教えながらも、妻が殺されたことから犯人に復讐することを決意するのですが、どちらも本当の彼の気持ちなんですよね。道徳はとても大事だけれど、それでは報われない気持ちも抱えている。

田中:僕自身もたくさん考えたけれど、なにが正解かは結局わからなかった。ただ、考えた時間は無駄ではなかったと思うし、この作品に向き合ったことでより一層、家族や友人やファンなど、周囲にいてくれる人を大切にしたいと思うようになりました。

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