代替肉のシェア拡大に挑むスイスのスタートアップ「Planted」 ベジタリアンの悩みにアプローチ
建物に入った瞬間に、理念や企業のモチベーションがビシバシ伝わってくる会社はそう多くないかもしれない。
だが、筆者が訪れたスイスにある「Planted(プランテッド)」という代替肉を作るスタートアップは、そういった数少ない企業だった。
スイスのメディアツアーに関するレポート第2弾では、筆者が日本進出を強く望む代替肉の企業について語っていきたい。
ガラスの壁
チューリッヒ中央駅からそれほど遠くないKemptthal(ケンプタル)の倉庫街の一角にあるPlanted。
人の行き来は少ない場所だが、工場の一部がスイス最古のプラントベースのレストラン『Hiltl』と共同で経営しているヴィーガンレストランなために、昼時になると建物全体が活気付く。
Plantedの最大の魅力は、なんと言っても「透明性」だ。作業場はガラス張りになっており、どんな機械を使って、どんな工程で、どんな人たちが作業をしながら製品を作っているのかが丸わかりになっている。
代替肉を作る企業のモチベーションやモットーはさまざま。畜産に起因した二酸化炭素やメタンといった温室効果ガスの削減や、動物愛護、健康目的などがあげられる。
だが、工場がガラス張りなのを見て、Plantedは動物愛護を強く意識していると思った。
約9年前、ポール・マッカートニーはPETAとともに『Glass Walls(ガラスの壁)』というドキュメンタリー動画を作った。食肉を取り巻く問題点をエシカルに解説しつつ、繰り返し「食肉解体場がガラスの壁でできていたらみんなベジタリアンになるだろう」とメッセージを送ったものだ。具体的な動画の内容は刺激的な部分もあるし、個々人が判断すべきことだから割愛するが、Plantedはこの『Glass Walls』への答えのように感じられたのだ。
事実、Plantedの共同創業者であるルーカス・ブーニー氏に代替肉を作るモチベーションはなんだったのか聞いたところ「豪州に旅行したときに珍しい肉を食べようと楽しみにしていたが、色々知ったら食べられなくなってしまって」と経緯を話してくれた。