代替肉のシェア拡大に挑むスイスのスタートアップ「Planted」 ベジタリアンの悩みにアプローチ
地元スーパーで見られた植物由来製品の存在感
今回のツアーでは4店舗ほどのスーパーに立ち寄ってみたが、植物由来製品は一定の市民権を得ているようだった。
代替肉を作っているのはPlantedだけでなく、チョコレートやコーヒーで知られるNestle(ネスレ)も「センセーショナルバーガー」を筆頭にさまざまな製品を展開している。
また、マヨネーズや卵の代替商品もあった。
これは、健康やサステナブルといったコンセプトが、受け入れられやすい土壌になっているからかもしれない。
というのも、筆者はMIGROSというスイスを代表するスーパーに行ったのだが、そこは1928年からアルコールの販売が禁止されているそうだ。
2022年6月には、10の地域協同組合の63万人を超える組合員がMIGROSにおけるアルコール販売を解禁するか否かの投票を行った結果、引き続き販売禁止を維持する方向で決まったという。
ツアーに同行してくれたスイス人に話を聞いたところ、「国内で最も親しまれるスーパーでアルコールが販売されていると若者がアルコールに手を出しやすくなるから販売禁止は賛成」と言っていた。
国民が国を代表する大手スーパーに求めるものが、利便性よりも健康や国民への潜在的なポジティブインパクトなら、代替肉をはじめとする植物由来の製品が比較的豊富に取り揃えられているのも納得できる気がする。
日本における代替肉の存在感は薄いが、2020年ごろからスーパーでの取り扱いは着実に増えてきている。レストランやバーガーショップでも代替肉のパテを提供する店が現れるようになった。
Plantedのブーニー氏は、代替肉に日本の発酵技術を取り入れていることもあって、日本への展開にも意欲的だ。
筆者は、代替肉の選択肢は増えてほしいし、あの日Plantedで食べた代替肉の歯応えと旨みを思い出しながら、再び日本で食べられる日を心待ちにしている。