上坂樹里、『風、薫る』で“これから”を担う女優に 大家直美と歩んだ成長の軌跡

NHK連続テレビ小説『風、薫る』が終わろうとしている。この半年間の私たちの朝は、ヒロインたちとともにあった。いや、朝だけではないか。起床後の彼女たちとの交流は、その後の一日を支えるものだった。いったいどれだけ多くの気づきを得て、学びを得てきたことか。ここでは本作の主演俳優である見上愛と上坂樹里のうち、後者の功績について言葉を綴ってみたい。ひとりの若き演技者が登場した、この幸福について。

本作は、激動の明治期を舞台に、ふたりの“トレインドナース(=正規に訓練された看護婦)”の活躍を描いてきた。そのふたりとはもちろん、りん(見上)と直美(上坂)である。出自も性格も大きく異なる彼女たちは水と油だったが、いまではまさに“最強のバディ”そのもの。ふたりが手を取り合う姿に、いや、肩を組んで走り続ける姿に、何度も心を震わせられてきた。その多くは作劇と演出によって用意されたものだが、十二分に演技で応えることのできる俳優の存在がなければ実現しない。『風、薫る』が視聴者に提示するメッセージを体現し続けてきたひとりが、上坂なのである。
本作をとおして彼女を知ったという方は、少なくないのではないだろうか。俳優デビューから、まだ5年。そのバイオグラフィーをのぞいてみると、決して出演作が多いとはいえない、これからの才能であることが分かる。『いちばんすきな花』(2023年/フジテレビ系)では田中麗奈の、『TRUE COLORS』(2025年/NHK BSプレミアム4K・NHK BS)では倉科カナの、そして『いつか、無重力の宙で』(2025年/NHK総合)では森田望智の、彼女らが演じる人物の若き日の姿に扮していたことが、その証だ。映画出演はまだ2作だけだが、『御上先生』(2025年/TBS系)がそうであったように、次代を担う若手俳優が集った作品には、上坂の姿がある。これもまた、彼女がこれからの才能であることの証だといえるだろう。
そして早くも、彼女の本当の“これから”がはじまった。『風、薫る』のダブル主人公のひとりに抜擢され、「朝ドラ」という大舞台に立つことに至ったのだ。

半年間も視聴者の前に立ち続けられるだなんて、“これから”を期待される者たちにとっては、このうえなく最高の活動場なのだろう。しかし、いち視聴者の立場からいうと、これは大きな賭けでもあるのではないかと思う。半年間も放送される長い物語の世界を、本当に歩み続けられるのか。ひとりの人物の生涯を、果たして生き続けられるのか。オーディションで見事に役を勝ち得たとしても、これらを体現できるかどうかは、はじまってみなければ分からない。



















