『ふてほど』SPが教えてくれた“未来は変えられる”希望 2026年を優しくも熱い時代に!

未来は、今この瞬間からいくらでも変えられるという希望

例えば、政治の話。報道局に異動になった渚(仲里依紗)が、都議会議員の平じゅん子(江口のりこ)との出会いをきっかけに、政治についての考えを深めていく。だが、渚が政治を話題にするほどに、夫の秋津(磯村勇斗)をはじめとした周囲の人間は、のらりくらりとしたリアクションを見せる。
現代では長らく「政治と宗教の話はするな」などと言われてきた。それほど政治と宗教の話はデリケートだということだが、いつしかタブー視すらされている空気感があった。口をつぐむことで異なる主義がぶつかることを避けるのも、日常を平穏に過ごすためのひとつの知恵だが、そこから加速していく良いエネルギーだってあるはずなのだ。
もちろん、言葉にすれば相いれない主義主張のぶつかり合いが生まれる。どうしたって、ひとつの考えには収束しないのが、この世界から争いがなくならない理由だ。今の日本では、本気で何かを変えようとなんて思わないほうが楽だし、大きな流れに抗うことなく流されてしまったほうが、世渡り上手であるとすら思えてくる。

だからこそ、何も言わない無難さよりも、物申すことのリスクを取った人たちが苦悩するのだ。そもそも常人ではない“芸”や“能”を持った人が集まった芸能界。そして社会全体を動かそうという人並み外れた活力を持った人が挑むのが、政治の世界なのだ。そう思うと、多くの人ができないことをやり切る気力を持つ人が、プライベートでどんな発散をしていたかについては、もう少し「知らんけど」でいたいところ……と、ここには「※あくまで個人の意見です」とテロップを入れておきたい。
リスクを徹底的に排除した結果、「オールドメディア」と言われてしまうくらいなら、そろそろ繊細な話題を「避ける」という選択ではなく、「それは不適切!」と言い合いながらも、小さな衝突を笑えるような空気を作りたい。本当はあけすけに言い合える、そんな番組だって作りたいんだよ、という、それこそテレビ業界にくすぶってきたエネルギーが作らせたのが、今回のスペシャルドラマなのだろう。

しかし、驚かされたのは、市郎が「いつでもドア」で見てきた2036年に、じゅん子が初の女性首相になるという未来だ。しかも「このドラマは2025年4月に撮影されました」とのテロップに、さらに驚かされる。好きな時代を行き来できるようになったからこそ、「未来を変えてはいけない」と言う2026年のイノウエ(三宅弘城)に、サカエ(吉田羊)が「本当にそう? 決まってる? 例えば10秒後、私が何をするか決まってる?」と問うシーンが秀逸だった。目の前にある水の入ったコップを見つけ、「その水を引っかけるつもりだろ」と言ったイノウエの顔に、サカエは躊躇なく水をぶっかける。これは、イノウエがそう言ったからこそ生まれた、新しく変わった未来だ。
古くから「言霊」や「引き寄せ」といった言葉があるように、私たちの生活は小さな小さな発言の積み重ねによって、未来を作り上げているということが信じられてきた。このスペシャルドラマが制作され、そのなかで初の女性首相が誕生する未来を語ったからこそ、約10年も早く現実がやって来てしまった――そんな見方もできる。

奇しくも高市早苗首相が発言した「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」という言葉も、頑張れる人がもっと頑張れるエネルギッシュな時代の到来を示唆しているように思えた。2026年、もしかしたらこれまで以上にエネルギーがまっすぐに燃焼していく、「いてこましたれ、のいてまえ!」なムードになっていくのかもしれない。丁寧なコミュニケーションを経たからこそ行き着いた、優しくも熱い時代に。そんな幕開けを予感させるスペシャルドラマに背中を押され、誰もがそれぞれのペースでやりたいことに挑んでいくような、意欲的な1年になることを祈っている。
■配信情報
スペシャルドラマ『新年早々 不適切にもほどがある!~真面目な話、しちゃダメですか?~』
U-NEXT、TVerにて配信中
出演:阿部サダヲ、仲里依紗、磯村勇斗、河合優実、坂元愛登、三宅弘城、袴田吉彦、中島歩、山本耕史、古田新太、吉田羊、江口のりこ、小野武彦、成田凌、小泉今日子
脚本:宮藤官九郎
プロデュース:磯山晶、天明晃太郎
演出:金子文紀
編成:松本友香
製作:TBSスパークル、TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/futeki_tbs/
公式X(旧Twitter):@futeki_tbs
公式Instagram:futeki_tbs
























