『初恋DOGs』ナ・イヌが笑顔の裏に滲ませる孤独 “ただのソハ”を肯定する愛子の優しさ

“将軍”が巡り合わせた快(成田凌)とソハ(ナ・イヌ)の不思議な共同生活が始まった『初恋DOGs』(TBS系)第4話。2人の傷が少しずつ明かされた回でもあった。
「友情、絆なんて俺には要らない」と言い張る快は、獣医学部の学生時代に何やら人間不信になるようなことがあったらしい。「ずっと一緒にいられると思ったけど、そうはならなかった」と言う快の言葉に、優香(深田恭子)の「本当に好きな人を選べなかった」という言葉が重なる。愛子(清原果耶)とのことを「ただの犬の保護者同士」「今後も何もないから」と言って退ける快は、誰かに深入りするのを避けているかのようだ。
一方、「明るく振る舞って何も考えていないような振りをして争い事を避けて」きたソハだが“お気楽お坊ちゃん”で“生まれながらに勝ち組”かに見えて、高校時代に実力で特進クラスに進もうが「財閥三世だから」で片付けられ、コネを求めて近寄ってくる人も少なくなかったようだ。ウロアグループの権力の座を巡って争う兄姉の姿を常に目の当たりにし、祖母が大切にしていた犬のことを懸賞金としてしか見ていない家族の様子にも心底辟易としていた。

愛犬の血統自慢をして、さも自身のアクセサリーかのようにペットを扱う飼い主が引き取り日に現れず、それでも健気に飼い主を待つ犬にひたすらに寄り添っていたソハの姿が印象的だった。「ウロアグループのソハ」としての自分に価値やメリットを感じて勝手に近づいては去っていく周囲とそれに疲弊する自分自身を、この犬が置かれているシチュエーションに投影していたのかもしれない。
しかし、ソハの孤独にそっと触れたのが愛子の何気ない一言だった。姉から“将軍”を連れて帰らないなら「何もかも失くす」「もうあなたに期待している人なんていない」「ウロアのウ・ソハではなく、ただのウ・ソハになる」「一人ぼっちになる」と畳み掛けられたソハは、「ずっと一人だよ、昔から」と何かを諦めながら、でもどこか寂しげに答えていた。

そんなソハに愛子は「ここではソハさんです。お金も家もないただのソハさんです。つまり自由です。(中略)今まで以上に自由を楽しんで下さい」と迷いなく声を掛ける。姉からは絶縁の意味合いや無価値なものとして言い放たれた「ただのソハ」という脅し文句を、愛子は事もなげに何のしがらみもなく自分らしく生きられる自由として言い換える。それは何だか、“そのままでいい”という存在丸ごとの全肯定であり祝福でもあるかのようだった。





















