『愛の、がっこう。』木村文乃×ラウールが“文字”で伝える心 “議論白熱”ドラマになる予感

文字には良くも悪くも、“その人”が映し出される。だから、あまり他人には見られたくない。片腕で隠しながら文字を書く姿を見て、途端に彼を近くに感じた。『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)第1話では、別世界で生きていた愛実(木村文乃)とカヲル(ラウール)が文字を通して巡り会う。
人間のあらゆる欲望を満たす東洋最大のネオン街・歌舞伎町。夕方以降に街を歩いていると、「お姉さん、ホストの初回どうですか?」とキャッチに声をかけられることがある。「知ってるようで知らない世界」とは愛実の親友・百々子(田中みな実)の台詞だが、ホストクラブはまさにその類で、今の時代いくらでも情報は入ってくるが、実態はよく分かっていない人がほとんどだ。興味本位で覗いてみたい気持ちもあるが、きっと一生関わることはない。

そんなに多くの人にとって無縁の世界に思わぬ形で足を踏み入れたことによって、高校教師・愛実の凪のような日々は突如終わりを迎える。生徒の夏希(早坂美海)がホストに入れ上げ、親のキャッシュカードを使い込んでいることが判明。教師として夏希を連れ戻すべく、初めて訪れたホストクラブで出会ったのがカヲルだった。
対極的な世界で生きる2人の会話は最初から全く噛み合わない。ひとまず嫌がる夏希を強引にタクシーに乗せて帰宅させた愛実だったが、保護者を納得させられず、今後一切連絡を取り合わないことを約束させる念書をもらうため、二度と会わないはずだったカヲルと再び接点を持つことに。そこで愛実はそこでカヲルの秘密を知る。

カヲルが愛実の要求をはぐらかし続けてきたのは、読み書きが苦手だからだった。愛実に促され、殴るように書いた文字はまともに読めたものではなく、その過酷な生い立ちが見えるかのよう。そんなカヲルに「あなたのこれからのためにも」と文字を教えようとする愛実。今まで誰にも手をかけられず、刹那的に生きてきたカヲルにとって、愛実は初めて自分の将来を気にかけてくれた人だったのではないだろうか。愛実に褒められながら少し照れ臭そうに文字を書くカヲルが、彼自身とっくの昔に置いてきたであろう“小さな男の子”に見えた。一方、その美しく整った字から覗く正しくあろうとする愛実の窮屈な心もまた、素直なカヲルとの時間の中で解けていく。鷹森大雅と小川愛実。すれ違うことすらもないはずだった2人の人生が一枚の上で交わった。

真面目すぎる高校教師と夜の世界で生きるホストが織りなすラブストーリーという、センセーショナルなあらすじからは想像もつかない美しく繊細なはじまりとなった本作。しかし、『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)の脚本家・井上由美子と演出家・西谷弘が描く2人の恋は、やはり一筋縄ではいかない。
愛実に心を開いたかと思いきや、客として狙いを定めるカヲル。かたや清廉潔白そうな顔の裏に激情を秘めている愛実も危なっかしいこと、この上ない。出版社勤務時代に交際していた男性から結婚を目前に「他に好きな人ができた」という理由でフラれてしまった愛実。お堅い家で育った箱入り娘は心変わりを受け入れられなかったのだろう。相手の気持ちもお構いなしに自分の思いだけで突っ走り、ついには警察に通報されてしまった。






















