木村文乃&ラウール、『愛の、がっこう。』に“手応え” 「愛の原点みたいなものがある」

木村文乃×ラウールが“愛”について語り合う

 7月期のフジテレビ系木曜劇場『愛の、がっこう。』は、35歳の高校教師と23歳のホストという“出会うはずのなかった2人”の恋愛模様を描く、完全オリジナルのラブストーリー。主演を務める木村文乃とSnow Manのラウールが、“禁断の関係”に挑む。演出は『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)、『昼顔』(フジテレビ系)の西谷弘、プロデュースは『ブルーモーメント』(フジテレビ系)の栗原彩乃。注目のスタッフ陣と共に、今作はどんな化学反応を生むのか。

 そんな本作で主演を務める木村とラウールに、撮影が始まって1カ月が経ったタイミングでインタビュー。現場での手応えやお互いの印象、そして“愛”というテーマとどう向き合っているのかについて、じっくりと語ってもらった。

教師・ホストという職業に対する印象の変化

――木村さんは本作がフジテレビの連ドラ初主演となります。出演が決まった際のお気持ちは?

木村文乃(以下、木村):井上由美子さんのオリジナル作品に関わることができる喜びと同時に底知れぬ緊張感もありましたが、私のキャリアの中でも恋愛ものというのは珍しいので、このタイミングでお話を頂けたことにご縁を感じ二つ返事でやります、でした。「どうやってこの物語に向き合おうか」。愛実という人物をどう立体的に魅力的に描けるか、ずっと模索している感じです。

――ラウールさんはGP帯連ドラ初出演で、しかもホストという役どころです。最初に話を聞いたときの印象はいかがでしたか?

ラウール:ホストという職業については、はじめは自分とはかなりかけ離れた世界だなと思っていました。ですが、実際に役と向き合ってみると、意外と共感できる部分もあって。表面だけを見ていたら気づけなかった感情がじわじわと見えてくる感覚がありました。

――現場の雰囲気はいかがですか?

ラウール:すごく楽しい現場ですね。おじさまたちが多いので、ユーモラスな空気が漂っていて。僕が一番笑っている自信があります(笑)。

――西谷弘監督と初めてご一緒されて、印象はどうでしたか?

木村:“西谷マジック”にかかると、現場に嫌な人が1人もいなくなるんです。今回の登場人物は、際どい設定の人たちが多いのですが、どこかチャーミングさも滲んでいて。それは監督の演出があってこそだと思っています。

ラウール:僕も現場に入る前、少し身構えていたところがありました。ですが、1〜2カ月かけて監督と何度も話して、演技の稽古というより、人としての会話を積み重ねることができたのがすごく大きかったです。その過程が、演じることの意味とか、“色物”じゃないあり方に気づかせてくれたんです。今では心から信頼を寄せてますね。

――お2人が演じるのは、真面目な高校教師と、文字もろくに書けないホストという対照的な職業の人物です。それぞれの役柄や、今まで持っていた職業への印象に変化はありましたか?

木村:私は、まだ“怖い先生”がいる時代に育ったんですよね。特に私が通っていた中学校は厳しくて、怒鳴られるのも当たり前みたいな環境で。でも今は、生徒に手を上げるなんてもってのほか。教師という立場の難しさや、接し方に悩む時代だと思います。だからこそ、愛実自身も“どうやって生徒と向き合えばいいのか”という葛藤を抱えていて。私自身も、教師という職業は本当に尊敬されるべき仕事だと感じるようになりました。

ラウール:今回、助監督の方が何度も通って、実際のホストクラブを取材してくれたんです。その記録を読むうちに、これは100%理解できる職業とは言い切れないけど、どこかに誰かを救いたい、癒したいという気持ちもあるのかなと思えるようになって。カヲルにもどこかピュアな部分があるんじゃないかと感じるようになりました。

――実際にホストの所作を学ぶ場面もあったと聞きました。

ラウール:現役のナンバーワンホストの方から、名刺の渡し方やお酒の作り方などを一通り教えてもらいました。ある日、監督が「じゃあ、やってみてよ」って言うんですよ。「まさか本番じゃないですよね?」って思いながらも、スタッフさん相手に“初回接客”を体験しました。結果は……苦笑いされました(笑)。でも、その難しさと奥深さにはすごく惹かれました。何より“言葉の力”で空間を支配しているような感じが、ちょっと俳優業にも通じるなと思いました。

――本作は“禁断の恋”を描いていますが、お互いの役柄が恋に落ちていくプロセスをどう理解し、演じようとしていますか?

木村:愛実は、恋愛がものすごく下手なんです。過去の恋で傷ついて引きこもってしまった経験があるので、感情の出し方がぎこちない。でも、大人なのにどこかピュアで……そんな“青くさいところ”を大事にしたいなと思っています。しかも今回、オリジナル作品なので答えがないんです。まだ第4話くらいまでの台本しか読めていませんが、彼女がどう変わっていくのか、私自身も楽しみにしています。

――愛実としては、カヲルの裏の顔にはまだ気づいていない?

木村:全然気づいてないですね(笑)。個人としては「いや、それ信じちゃダメでしょ!」と思いながら演じています。でも、愛実はどこまでも信じちゃう。人の裏を読まない、見ない、ピュアに信じようとするから、余計に痛い目に遭う。そこが愛おしくもあるんです。

ラウール:カヲルは逆で、“愛を知らない”人間なんです。恋愛感情を演じるのは得意だけど、それが本物になることはほとんどない。今回、実際にホストの方々に取材した際、「愛って何ですか?」って聞いたら、みんな「わからない」って答えていて、なんかすごく腑に落ちました。彼らにとって“愛”はビジネスの中にあって、本物とフェイクの境界線が曖昧なんですよね。カヲルもそういう世界で生きてきたからこそ、愛実との関係を通じて初めて“本物の愛”を知るのかもしれません。

――「愛とは何か」については、作中でも、お2人の対話でも重要なテーマになっているようですね。

木村:“愛とエゴってすごく距離が近い”と思っていて。相手のために何かをするつもりでも、実は自分の満足のためだったり。“与える”つもりが“押し付ける”になっていたりして。

ラウール:うわ、それすごく深い。まさに“大人のアンサー”です(笑)。僕も今、自分が愛を知っているかと聞かれたら、正直まだわからないです。たぶんまだ模索する年齢なんだと思います。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる