『ジークアクス』になぜ誰もが夢中になったのか 毎週放送の“TVアニメ”の喜びを再確認

そうした1クールで閉じてしまうには惜しいという、描き方への物足りなさを感じつつ、これだけ大きな注目を集めた『ジークアクス』を俯瞰して見ると、毎週放送のTVアニメだったから成功したのだろうと思える。先が読めない展開が繰り広げられ、「次回はどうなるんだろう!?」とワクワクしながら翌週の放送を待つ。その間にプロの漫画家やアアニメーターが描いたファンアートを眺めながら、考察を読んだり自分で考えたりする週1アニメの楽しさが本作にはあった。だからこそ盛り上がったのだろう。
Netflix独占の配信アニメは、作画のクオリティが高く、優れた作品が多々あるが、一気に最終回まで観られる独占配信アニメでは、どれだけ面白くてもネットで話題になりにくい。そこはやはり、週に1回、全国のファンが同時に物語を咀嚼しながら一喜一憂するリアルタイム視聴の良さ、1週間に一度、高い波が押し寄せてくる現象をみんなで楽しむライブ感こそが重要で、それを改めて感じた3カ月であった。
テレビが娯楽の王座から転げ落ちて久しい今でも、週に1話を観る形式の連続TVアニメでなかったら、OVAや配信アニメの『ジークアクス』は、ちょっと変わった1年戦争のもしもアニメぐらいの認識で終わっていたかも知れない。『ジークアクス』も地上波放送からわずか数時間後に各種配信サイトで観られ、配信の利便性を実感できたが、最終回まで全部まとめて観られることと、週に1話ずつのエピソードを観るのとでは全く意味が違う。これからも『ジークアクス』のように、良い意味でリアルタイム視聴者がライブ感を共有しながら楽しめる、そんなTVアニメが出てきてほしいものだ。






















