『ジークアクス』シュウジが沼すぎる! 土屋神葉が引き出す“謎めいた魅力”と“奥行き”

――「戦え」とガンダムが言っている。
ふわふわとしていて、何を考えているのか読めない。近いようでいて、遠い。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(以下、『ジークアクス』)のシュウジは、最初からずっと、そういう存在だった。
冒頭の印象的なセリフが初めて登場したのは、特報PVのワンシーン。マチュに「一緒にクランバトルやってくれるの?」と聞かれたとき、彼が返したのが「戦え、とガンダムが言っている」という一言だった。
このフレーズは瞬く間に話題となり、「◯◯、とガンダムが言っている」という大喜利やファンアートがSNSを席巻。公式も「グッズが出る、とガンダムが言っている」と煽るなど、いわば“シュウジ構文”ブームを加速させていった。
オフィシャルインタビューでは、マチュ役の黒沢ともよやニャアン役の石川由依が、シュウジを「女の子が一番好きな沼タイプ」「でも危険な香りしかしない(笑)」(※)とコメントしていたが、それも納得できる。心の奥が見えそうで見えない。その“見えなさ”に惹かれて、もっと知りたくなってしまう。でも、近づこうとすればするほど、彼はどこか遠くを見ているようで、胸がざわつく。それはきっと、マチュ自身が一番感じていることなのだろう。
少し脱線するが、筆者はガンダム作品についてはライト層であり、どちらかといえば明確に女性をターゲットにした作品の方が馴染み深い。前作『機動戦士ガンダム水星の魔女』も、「展開が乙女ゲームっぽい」という前評判に釣られて観た口である。スレッタをめぐる人間模様から意図は確かに伝わってきたものの、正直なところ「そこまでか……?」というのが本音だった。ところが、『ジークアクス』でシュウジが登場したときには、「これだよ、これ!」と直感的に惹かれてしまったことは否めない。もちろんコアなファンからすれば思うところもあるだろう。とはいえ実際、彼に心を持っていかれたライト層の女性ファンは多いのではないだろうか。
ビジュアル、物憂げな佇まい、そして何より声がいい。そんな沼の素養を兼ね備えたシュウジを演じる土屋神葉は、『ハイキュー!!』の五色工や『バクテン!!』の双葉翔太郎など、可愛らしさやフレッシュさの光る役を多く演じてきた。筆者にとってはまず『ツイステッドワンダーランド』のエペル・フェルミエが思い浮かぶ。柔らかい声の奥に宿るのは、凛とした芯だ。その声がシュウジに宿ると、ほんのりとした色気を帯びて響くから不思議だ。そのギャップがたまらなく魅力的で、『ジークアクス』では、これまで演じてきたキャラクターと比較しての新鮮さも際立っていた。
実際、第7話まではストレートなラブストーリーとしても楽しめる。だからこそ、マチュにどこまで感情移入できるかで、作品の印象は大きく変わるはずだ。アンキーに「これはと思う相手なら、頭空っぽにして追いかけてみるのも悪くないよ」と背中を押され、シュウジのためにすべてを投げ出すマチュの姿は、まっすぐすぎるほど“ヒロイン”だった。




















